日別アーカイブ: 2005年12月16日

動的なテンセグリティ構造

tensegrity2005_s.jpg

枯れてしまった樹木の枝が、少ない積雪荷重で簡単に折れるのは、導管に水分が満たされていないからである。生きた樹木における導管とその内部の水分は、自らの荷重を張力によって三重結合の樹木システムの表面全体に均等に分散させている。

同様に生きた人間の血管と血液は、テンセグリティ構造を担っている。デザインされた容器を完全に満たしている液体は、圧縮することができないからである。血管は長さは約10万Km、酸素と栄養を運ぶ動脈、二酸化炭素と老廃物を運ぶ静脈、毛細血管の3つに分けられ、1分以内で全身を一巡する。心臓は1日に10トンもの大量の血液を送り出す。血液循環の原動力は心臓ポンプであり、これに動脈では動脈自体の拡張・収縮、また静脈では筋肉の拡張・収縮のポンプ作用が補助している。

人間の骨格と筋肉、そして細胞だけがテンセグリティ構造ではない。
血管と血液は、動的で水力学的なテンセグリティ構造である。 
参照

Y.K