月別アーカイブ: 2006年1月

インフレスパイラルvsデフレスパイラル

大地や海から労働が抽象的に分離すればするほど富裕層に接近できるという幻想に多くの人々を誘因してきた。個人投資家が増大するに従って、株で株を買い、お金で利子を稼ぐといった直接に労働しない欲望は、インフレスパイラルとデフレスパイラルとの間を振幅するエンジンとなる。それは、台風やハリケーンの破壊力は正負のスパイラル(吸引と排出)構造が時間的差異によって安定した空力的流体エンジンのように見える。  Y.K

シェルターの汚染

人間は、空気が3分なければ窒息死する。人間は、水が3日なければ脱水死する。人間は、食料が1週間なければ餓死する。無農薬食品、水道水の濾過器、空気清浄機という上記のほぼ逆の順番で人々が汚染に関心を持った理由は、空気と水が食料に比べれば、自然界に無尽蔵に存在すると無意識に期待してきたからである。コンビニで食糧や水を買うように、再生された有限な空気を買うことは時間の問題である。しかし、人間の温度に対する生存範囲は、摂氏±40度を超えられない。この大気圏の温度は、エアコンで調節できないばかりかお金では買えない。埋蔵地下資源の化学的燃焼は、温度という最終段階のシェルターの汚染である。   Y.K

融雪装置付き屋根

雪は一立方メートルあたり三百−五百キロもの重さがある。アメリカの南極基地のジオデシックドームはハリケーン以上の破壊エネルギーを持つブリザードや圧倒的な積雪に30年以上も無傷で耐えてきた。この構造は、屋根の機能を壁と分離する必要のない全方向的な外力分散の機能を備えている。降雪時に蓄積しておいた太陽熱とか水で雪を溶かすような特別な融雪装置付き屋根をデザインしなくても、ジオデシックドームはもっとも安全で経済的なシェルターである。通常の建物において毎年の除雪にかかる全エネルギーコストと耐久性、安全性を計算すれば、ジオデシックドームの優位な経済性および安全性は科学的に証明できる。  Y.K

アーティスト・サイエンティスト

われわれは、永遠性よりも日々変動するレートや株価、さらには瞬時に決められるオークションの方を信頼している。法則よりも人為的な偶然性を帯びた人生ゲームに興じることを優位においている。株式会社の平均寿命は25年以下であるにも関わらず、科学的普遍性をつまりは永遠性を容認しない傾向がある。その結果、科学者は総人口の0.1%以下のままである。不幸にも、人類に影響を与える発明家の数はさらに少ない。産業史で描かれる技術革命に実際に関わったのは、こうしたアーティスト・サイエンティスト達である。  Y.K

職業と仕事

利害を超越した独創的な仕事は、芸術や科学だけにあたえられているのではない。
しかし、生産的な活動と生活費を稼ぐこととを同一視しているのは、こどもの将来に愛情を傾ける両親や教師である。
職業と仕事を区別しない思考の条件反射が、義務教育課程で自動的に再生産されやすいのは、職業を決めてから受験科目を決定する思考なき習慣が、彼らが運営するPTA(Parent‐Teacher Association)によって維持されているからではないだろうか。

ライト兄弟は(おそらく最初の宇宙飛行士も)、職業を決めてから受験科目を決定しなかった人たちである。
なぜならそういう専門職は当時の社会に存在していなかった。
利害を超越した独創的な仕事は、しばしば生活費を稼ぐための大多数の職業の起源を説明する。  Y.K

デザイン・プロセス

惑星地球の基本アーキテクチャは、マクロ構造をミクロ構造から造るデザイン・プロセスである。見えない構造から見える建造物へ変換するプロセスである。
太陽系アーキテクチャのプロセスにも、重力という見えない非物質的な張力によって、テンセグリティ構造が介在する。  Y.K

リダンダンシー

テンセグリティ構造は原子核構造モデルから銀河系モデルを通底する普遍性を備えている。振動しない構造システムは銀河系では存続できないので、テンセグリティ構造は外力を振動によって、システム内で分散し、限界を超えた分散に対しては、部分的な破壊で衝撃を吸収してシステムの補償作用でバックアップする。テンセグリティ構造においては、リダンダンシー、すなわち想定される最低限の負荷と要求される最低限の性能に対し、それより多め、大きめに設計されたこれまでの「余裕」や「余地」は、反転する。
より大きくデザインする場合、テンセグリティ構造の構成要素はより細く、軽くデザインされる。原子核構造にリダンダンシーが極小化される理由に、より接近する。
テンセグリティ構造では、リダンダンシーはついに非物質化されようとしている。  Y.K

〈免震構造〉と〈耐震構造〉を超えて

〈免震構造〉とは建物の基礎部分に特殊なゴム層などを入れて地盤と絶縁し、地震の震動が地盤から建物に伝わるのを防ぐ仕組みであり、建物を丈夫にする耐震構造とは発想が異なる。〈免震構造〉は非固体的なメカニズムであるが、〈耐震構造〉はより固体的なメカニズムである。
大陸は、時計の長針のように目に見えない速度で常に移動している以上、非固体的なメカニズムでさえ大地と絶縁することは不可能である。
大地からの自律度という概念が、〈免震構造〉にも〈耐震構造〉にも欠けている。

大地からの自律度がもっとも高く安定した構造システムは、テンセグリティ構造である。  Y.K

構造システム

人間が物質と確認するものは、すべて構造システムである。
すべての構造は原子から成る。
その原子は、モノでない。
純粋な原理で発生するエネルギー事象である。
したがって、すべての構造は常にダイナミックで決して静的でない。
言い換えれば、すべての構造は、特例な場合の複合体による密接なシナジェティックな相互作用の結果である。

デザインとは、すべての構成要素が思慮深く秩序づけられるように構成する行為を意味する。すべての構造システムはデザインされたエネルギー事象のパターンを備えている。  Y.K