流体地理学

サケの遡上が多かった年は木の年輪の幅が広くなる。
熊によって森の中に運ばれた窒素は遂に1ヘクタール当り120kgとなり、
造林業者が人為的に施肥する窒素肥料の量に匹敵するからだ。
樹木に含まれる窒素の中でサケからの窒素分の割合を同位元素別で調査した結果、
鮭の溯上の3年後に樹木中のサケの窒素の増加が認められ、
すべての森の樹木の窒素の30% 以上がサケからのものであるというレポートを読んだ。

流体地理学では熊はシナジェティクス的オペレーションでサケを森に加えたので
海の一部が樹木に化身したのである。
加えられたサケで未知でなる森の情報は明らかに生成されていることを意味している。
サケは森が雲という移動する淡水を生成するための媒介者である。
熊とサケはこの流体地理学を知らない。
サケと熊は異なったシナジェティクス的オペレーションを媒介する。

海と森の価値も知らないサケと熊の行動とは異なる人類だけが
シナジェティクス的オペレーションに<意識的に>参加することによって、
海と森の価値をはじめて理解できるのだ。  Y.K

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