バックミンスター・フラーとイサム・ノグチ展

デザインサイエンスは個人的に所有できる人工物デザインを除外した最初のコロニーである。
この展覧会はこのコロニーの貴重な軌跡を再現した。
例えば、ダイマクション・カーは、車体とタイヤが受ける空気抵抗を軽減するために、風洞実験から生まれた人類初のエアロダイナミクスデザインである。

フラーとノグチという独立したオリジナリティの強い結びつきには、パウリの排他原理が働く。
1つの原子軌道に属する2つの電子は、全く同一の量子状態を持つことはできない。
2つの異なった粒子は、自転軸の向きに対して90度の方向を中心として唯一の大円軌道上を回転しているのが見える。共通した軌道が、あたかも人工物という同一の中心テーマを仮想的に存在させている。

「所有は、社会的な喜びより重要とは思われない。この新たな目的なくして、彫刻という意味は、存在し得ないのである。」
このイサム・ノグチの言葉から、「彫刻」を「デザインサイエンス」に入れ替えても、2つの異なった粒子は普遍的にふるまうことができる。
こうした軌跡は、この原子核コロニーに最初から属していたもう一人のアーティストサイエンティストであるショージ・サダオ氏しか編集できなかった。

だが、気をつけなければならない。
これらの交換可能な目的には、対象物に衝突しないとき、元にかえってくるブーメランのようなプリミティブな張力プリセッションがいまも存在する。
目標に到達しない過去のエネルギーはわれわれ自身に激突する。
われわれとは天才たちの仕事を伝記のように尊敬ばかりしている主観的傍観者の場合である。
“Man knows so much and does so little. ” RBF
これは彼の忠告だろうか。 
否、傍観者に容赦なく飛来するメタフィジクスのブーメランだ。

バックミンスター・フラーとイサム・ノグチ論というもっとも困難な評論は21世紀に持ち越されている。

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Best of Friends: R. Buckminster Fuller and Isamu NoguchiOn view at The Noguchi MuseumMay 19, 2006 〜 October 15, 2006
http://www.noguchi.org/exhibitions.html

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