南極がない国連のロゴマーク 

国連は、60周年を経過した。

国連ロゴの使用に厳格な規定があるのは、
ロゴには国連の重要な政策問題が含意されているからである。
したがって、国連法務局からの署名による同意が必要とされる。
国連のロゴを使用する権限が与えられるのは、
その主目的が特定の国連の目標を進展させる場合に限られている。

しかし、世界の環境問題にも深く関わってきた国連のロゴマークには南極がない。これは、60年前に温暖化問題が存在していなかったからであるが、現在ではまったくロゴの精神に重大な欠陥をもたらしている。
http://www.unic.or.jp/new/unic_60yr.htm
その原因はロゴが正距方位図法によってデザインされたからである。

正距方位図法は中心からの方位と距離だけを完全に正確に表現する図法である。円形の方位図法から、全方位の全世界を描くことができるので航空機のナビゲーション表示に利用されている。
中心から90度までの範囲ではひずみは少ないが、より外周では円周方向の拡大が極端で、最も外側になると地図の機能は崩壊する。
しかし中心地点と他の地点との位置関係を表すには有効な図法であり、
局所的な中心主義には有効である。
投影中心の裏側の地点(対蹠点)は最も外側にドーナツ型に投影され、
全ての海洋はその中の湖になってしまうという重大な欠陥がある。
ゆえに、国連のロゴは、実際は南極の氷に囲まれた状態になるはずであるが、
この無意味な投影結果はロゴから意図的に削除されたのである。
そのかわり、豊穣を表す麦の穂が、世界を取り囲んでいる。
(けっして、稲作ではないことに、さらに隠れた意味があるだろう。)

国連の環境デザインおよびその政策の最優先課題に、
全地球の海岸線をより矛盾のない投影図法で
本質的に改善することが含まれなければならない。
つまり、国連では、未だに地理情報の民主化がデザインされたことはないのである。  Y.K

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