外側の春

この山脈では、春は一年でもっとも長く、
もっとも過ごしやすい季節だ。
この山脈は、大気圏外から見た地球の地理情報からすれば、
「山奥」は、より「外側」に位置するからだ。
(ジャンボジェットは、零下40度の外側を飛行できる。)
広葉樹の新緑が、
葉の表面温度を低下させるばかりか、
森に無数の葉陰を作り始める。
衛星画像からその射影が見える。
しかし、都会の春は短い。
もう夏の気配がする。
都市の車は、
5月でも日中は冷房を使わないでは走れない。
剥き出しの道路で包囲された都市は、
より「内側」に位置している淀んだ凹みだ。