月別アーカイブ: 2009年7月

リダンダンシーの排除

あらゆる冗長(リダンダンシー)な構造物は、
それと対照的な冗長でないテンセグリティの潜在的な寿命に比べ、
構造自体を破壊しているのである。
構造の部分的な破壊が、より全体に加速的に作用しないようにするために、
テンセグリティの圧縮材は相互に非接触である。
そして、張力のネットワークは連続している。
付加的なリダンダンシーの排除は、
安全で軽量な構造には最優先すべきデザイン行為だ。
付加的な免震装置や耐震装置は、航空機や自動車には存在しない。
自身を破壊する振動を無視した最後の構造物は、
不動産として分類されつづけた建築物であった。

工業化(industrialization)とは、
すばらしいことを大量生産することである。
経済恐慌(great crush)とは、
担保なしで紙幣を大量生産した結果である。
前者は富の分配を、
後者は富の略奪を目的にしている。

方法

間違った理由で新しいことを発見し、その新しさを証明できても、
なぜそれに出会ったかは、除外される。
除外しない方法について、
まっとうに話をすることができない。
バイオスフィア内の宇宙体験は、まだ言語化されていない。

自由

自由について考えない人はいない。
そして、思想の自由についてしばしば議論する。
北朝鮮にも思想の自由はある。
人々は自由に思考し、思考することは誰にも止められない。
おそらく本当の違いは、イニシアティブの自由にある。
この自由が、まだ日本にあると思わされている。
いまは心理戦争の真っ最中だ。

吸収権

本当に生きることは、
生きる用意をすることではない。
保険とか、貯金とか・・
植物も動物も未来を抵当に入れないで、
二酸化炭素と酸素を交換しているんだ。
人間に排出権があるなら、植物にも吸収権があるだろう。
経済的思考は、科学的思考とは限らない。

サンプリング

エネルギーの変換過程という動的なパターンの意味を理解するために、
エコロジー(生態学)という概念が生まれたわけではない。
ダーウィンが持ち帰った目新しい動物たちが、
ロンドン近郊にある植物種では飼育できなかったからだ。
動物と植物の包括的な相互関係が、はじめて生物学の対象となった。
このサンプリングの手法は、
環境から自分を除外する単純なコラージュである。
初期の「何をサンプリングするか」よりも、
「自然をどんなにサンプリングしても、自然は模倣できない」
というメタフィジクスがエコロジーには不足しているのである。
エコロジーは到達すべき段階ではない。
月の引力を調整できないように。

キノコ雲の外破と内破

真空管が破裂することを、内破(implosion)という。
内側に向かって爆発するという意味である。
この概念は、正しくない。
内破は、重力現象として見るべきである。
ヒロシマの原爆は、空中爆発(explosion)であったから
爆発と共に強大な球状空間が真空化され、
ついに、内部に強力な吸引力が発生した。
このもう一つの重力はやがて、上昇する螺旋運動を形成し、
キノコ雲の球体を形成した。
原爆はけっして都市を吹き飛ばす爆発力だけではない。
原爆の瞬間を表したヒロシマ原爆資料館の最新のCGのように、
爆発の放射(=圧縮力)のみに注目する原爆の物理学には、
内部への吸引力としての張力は不在である。
秩序を見分ける方法は、
もっとも大きなパターンの存在を発見すること以外にない。
そのパターンは、概念によってはじめて投影される。
kinoko_01.jpg
映像1
最初の原爆のニュースは、共同通信社の特派員による手書きのイラストだった。
キノコ雲の下には、巨大な螺旋状のトルネードが描かれている。
kinoko_02.jpg
映像2
アメリカ空軍が撮影した高度1万メートル上空からのキノコ雲。
キノコ雲よりもトルネードの方が黒いのは、爆発によって形成された放射性物質を吸い上げているからだ。このキノコ雲は排気と吸引の機能を持っている巨大な掃除機と考えられる。電気ではなく、原子力で作動した最初の掃除機だ。
多くの瓦礫と死体、そして元安川の水を大量に吸引した。
これが後の黒い雨となって落下した。
ヒロシマに川がなければ、もっと被爆者は少なかっただろう。

レシピ

カレーのルーではなく、
カレー粉からカレーを最初に作ったのは、
小学3年生の時だ。
小さなカレー粉の缶に印刷されたレシピにある材料を切りそろえ、
必要な香辛料やオイルなどを同時に鍋で煮込んでいった。
レシピの手順をまったく無視しても、
味は同じと考えていた。
この合理化は見事に失敗した。
次の日、手順通りに従った結果とを比較する実験を思いついた。
その結果のあまりの違いから、レシピを尊重する習慣が生まれた。
レシピは秘法の集積かもしれない。
料理は見えない生化学反応の連続だ。
知識もまた同じである。
相互作用する順序やタイミングを無視すると、
かなりまずい結果になるだろう。
知識も複雑な生化学反応をする。
レシピ(recipe)とはreceiveであり、受け取ることである。
しかし、思考とは受け入れることではない以上、
思考のレシピは、存在しない。
思考の自発的な生化学反応は、個人の経験から生まれる。

序の口

原爆で破壊されたのが、第1の戦後、
吸い取られて、破綻したのが、第2の戦後、
その間、森も杉で破壊されてしまった。
これで、だいたい全部が貧しくなった。
しかし、これからが本当の始まりだ。
まだみんな、ゆう貯に現金があると思っているから。