新米偽装

採れたての新米の季節になった。
寒冷地ではいまが稲刈りの最中である。
炊きたての無農薬の新米は格別である。
時折ぬか漬け用の糟のために精米するが、
このときばかりは新米の玄米を白米にしようかと迷うほどである。
無農薬の稲穂を脱穀したあとの稲藁を自然乾燥させる時には
特につよい香りが漂う。
これ以上のアロマセラピーがあるだろうか。
この藁をベッドの下に敷き詰めると深く熟睡できる。
稲と人間は神秘的な出会いがあったに違いない。
スーパーで販売される新米はブレンド米である。
ブレンドされるのは、異なった農家で栽培された新米だけではない。
古米がブレンドされる。
さらに、古々米もブレンドされている。
問題はその割合であるが、農協経由のパケージ商品は
通常全体のわずか2割程度である。
人間の味覚の曖昧さが証明されたような数字だ。
しかし、100%の新米を食べ比べる経験があるなら、
新米の占有率は、あきらかに味覚で感じられる。
さらに無農薬の100%の新米を食べ比べる経験があるなら、
新米の名状しがたい香りは、あきらかに嗅覚で感じられる。
休耕田を減少させて食料自給率を向上させたいなら、
もっとも優先すべきは100%の新米と表示した
パッケージ商品を他と区別すべきだ。
人間の五感を蔑んだ食品に未来はない。