月別アーカイブ: 2011年1月

無為自然

人智を捨て「無為自然」に還るために
人智の象徴であるテクノロジーを捨てる解釈がある。
(例えば、産業界は「無為自然」は
東洋的な哲学だとして実用性の対極に置いている。)
物理的なシナジーによるdoing more with lessの極限が
非物質化するdoing everything with nothingであり、
ついに「無為自然」に到達するならば、
テクノロジーは先験的に自然に内在するだろう。
この先験的エフェメラリゼーションの原理を
数学的に工学的に変換するシナジェティクスは
「無為自然」を無機化学的に再構成し
視覚化することに成功してきた。
しかし、バイオスフィアにすでに実在する
「無為自然」(例えば、大気中の酸素の一定な含有率)に
課金メーターを付加できないことを
知っているグランチは
人々にテクノロジーを悪いモノだと思わせてきた。
その結果、人々は無為自然を稀少性に満ちた桃源郷に
求めるようになったのである。
(例えば、ナショナルジオグラフィックが提供する
ネイチャー映像システムに組み込まれた写真家と
世界中に待機しているその予備軍への配慮、
科学者でさえその映像に魅入ってしまう。)
それこそが21世紀のエコロジー運動の主要な戦略であった。
そして過去最大のこの非政治的な心理戦争に、
膨大な資金が使われてきたのである。
(例えば、先進工業国のエコ減税はその僅かな部分だ)

ネットワーク

情報を共有しても
情報共有を目的化すると
事実は稀にしか生まれない。
思考と言葉と行動が調和しているとき、
ネットワークは不要だ。
それ自体が外部を形成する
最小限のネットワークだから。
そして、
外部を形成するためには
つねに移動しなければならない。

陽電子

絶対量が電子と等しいプラスの電荷を持ち
電子と同じ質量を持っている反・電子の存在を
P.ディラックが概念化して
C.D.アンダーソンが発見した。
この陽電子が電子と衝突すると
対消滅してしまう。
この陽電子の概念を人間に当てはめると
才能豊かだがほぼ同じ程度の個人の集合のなかで
才能が一つ少ないと
あたかも一つ多いように
機能する現象である。
不足によって
プラスの電荷を生成できる原理は
まだこどもの教育に利用されていない。

従順

自分に命令するものを求める理由を
誰も知ろうとしないし
誰も教えないので
食糧危機とエネルギー危機が発明された。
株価の上昇よりも
食料とエネルギーの不足は
どの国にも属さないで
どのイデオロギーにも属さないで
そして
どの宗教にも属さないで
誰をも従順にさせることができる。

支持率

メニューを見ないで
行列をみて
レストランの評価をするのは正しい。
しかし、
支持率を上げれば
より支持され
下げれば
より支持されなくなるのは
正しくない。
その行列を数える方法と公開の仕組みを
市民が監視できたことはないから。
それは最初にヒットラーが成功した
メディアを利用したバーチャルな方法であり
権力というテクノロジーの変形である。

外部化

鳥は一カ所に卵を産まない。
人間は都市で主に人口を増加させてきた。
鳥も人間も
自分の巣を一番好むのは変わらない。
しかし、巣が子宮とは違って
分離移動可能なのは
巣がつねに利用しない
外部化された身体の道具だからだ。
人間は2番目の人工物としての巣を
移動困難にデザインしてきた。
そのほとんどを銀行の担保物件にするために。
あるいは
国家の所有にするために。

善良な意図

未熟なデザイナーは
賞賛をもとめて自然の形態を模倣し、
熟達した構造家は
自然の方法を求めて
自然からの拒絶の試練を受け入れる。
より少ない言葉でより多くを説明できないかぎり、
真実への過程は言語化できないだろう。
例えば、
テンセグリティとその視覚化の起源について
あらゆる論理的な不快さを解消させた
建築家やデザイナーはいない。
形態と構造の違いは
これまでの幾何学では扱えないが
それゆえに
テンセグリティを表現手段にするのは
善良な意図による虚偽である。
まして人が住めないテンセグリティは
浮かばない船の模型にすぎない。

コロニー

女王蜂がいなくとも巣別れして
コロニーが形成できるテクノロジーは
十分に備わっている。
この思想がアンチ・石油系グランチの火星地球化計画である。
40年前から始まった
宇宙移民計画とデザインサイエンス計画の違いは
宇宙服を着けていないだけである。

世論

不安と欲求から生まれた知恵に
見せかけた言葉からは
だれも暖められない。
一つの真理も含まれないばかりか
事実を隠すための解釈だから。
事実を隠す言語こそ
自発的に命令する力を求める
21世紀の見えない戦争機械である。

閃き

アイデアが閃くと言うことはありえない。
それはどこかで見た誰かのアイデアだ。
熟考したとしても
原理を発見するまでは
だれも本当の発明を為し得ないだろう。
宇宙で機能するための
本当の閃きは
電磁誘導のように
非接触で遠隔でも可能な
ミュート・コミュニケーションを通してやってくる。
人間がデザインできないこの閃きは
いつとは言えないが
風のように確実にやってくる
と私は感じている。