反射と逸脱

脊髄で情報が折り返される<反射>の過程には、僅かな時間が介在する。
火傷の危険を回避するには、運動神経に命令を伝えるための最小限の時間がかかる。

すべての生命現象には、生命を維持するための固有のズレを補正する
<可動舵 (trimtab)>が形成される。
たとえば、筋肉に命令をより速く伝達するために、
運動神経は筋肉よりも相対的により太くなる。

こうした遅延を補正する逸脱システムは、生命には固有のものであるが、
政治は、意見の相違を支配力で無化し、
経済は、時差を隈無く利益として独占することによって
大多数の人生の可能性をより短命にしている。

逸脱を排除したい社会システムには、
危険を回避するための個人による微小で多様な<可動舵>が反射的に形成されるに違いない。