月別アーカイブ: 2006年5月

斥力モデル

重力は常に引力であり、斥力としての重力は存在しないが
電磁力(磁力や静電力)には引力と斥力の両方が存在する。
適切にテンションが調節され構成されたテンセグリティモデルにおいて、
互いに隣接する不連続の圧縮材の2カ所をそれぞれの手で保持して、
ゆっくりと確実にその両端を隔てる距離を接近させると、
球系テンセグリティ全体の直径がある範囲内で縮小されるのではなく
拡張されることを観察できるだろう。
この発見は『シナジェティクス』には記載されていないが、
これは一種の斥力であり、最初の電磁気学的モデルでもある。

この原理によって
テンセグリティモデルの張力が正しく機能しているかが検証できる。
もちろんゴム材を使用した疑似テンセグリティモデルなどでは
この原理は検証不能である。  Y.K

斥力モデル=動的なテンセグリティ構造

引力モデル

シナジェティクスを
ゴムひものような弾性のある素材で構成しているテンセグリティモデルで学ぶ
学生たちにあえて助言するとするならば、
宇宙に浮かぶ惑星地球の物理学に接近しなければ、真のモデルとは言い難い。
さらにモデルとは現在の建築学で扱う縮小モデルとも異なっている。
モデルは3Dバーチャルに扱うべきでもない。
モデルは大きさに制限された形態ではないからである。
モデルはメタフィジクスを媒介する思考の言語である。  Y.K

ephemeralization

合金や高抗張力繊維の素材革命によって引っ張強度をますます高めるにつれて、
テンション材をますます長く細くし、
とてつもない長さでありながら同時に断面積がない状態に接近できる。
ただし、テンセグリティを構成するテンション材だけが、
その長さと断面積の比率に限界がなくなるのである。
究極のテンション材は引力である。
宇宙は理想的に構成されている。  Y.K

「こし」

グルテンは小麦にしか存在しない蛋白質の1種で、麺の「こし」であったり、
パンの骨格を担っていると考えられてきた。
しかし、これは間違いである。
こしや骨格は圧縮に関する概念を含んでいる。
「こし」とは容易に折れたりしないで、元の状態を保とうとする力であり、
練り上げた物のねばり、板・棒などの弾力などを意味する。
こうした靭(じん)性は金属にもあるが、
グルテンはグルテニンとグリアジンがから形成され、
弱い結合(水素結合・疎水結合)のため形を変えることができ、
パン生地のような柔らかいが固まった状態になる。
酵母の発酵によって炭酸ガスを保持する機能がある以上、
パンの生地中の気体は圧縮材として機能しているのである。
パンにはもっとも張力が強く発生する強力粉が使用される。

うどんの場合は、グルテンによって連続的で立体的な網目構造の
張力構造体が形成されている中にでん粉粒が存在していることになる。
でん粉粒自体が結晶性を示しているので、
このでん粉粒が圧縮を受けているのである。
引っ張り強度を最大にするこねる工程は、
うどんの「こし」を決定すると言われているが、意外にも5分以内である。
「こし」のあるうどんは柔軟な張力構造体を意味している。

グルテンは張力の機能を担っている。
「こし」の正体は骨格ではなく、張力のことである。
固体的な石の歴史はわれわれの食感にも及んでいる。  Y.K

交換価値

私が住む村には大万木山がそびえる。
あまりに険しくそして積雪が深く、開墾や放牧ができなかったので
まだブナの原生林が残っている。
その山の湧き水を一回に75リットル汲むくのが日課になった。

古典経済学によれば、空気と天然水の交換価値はゼロであるが、
その使用価値の可能性は増大して、
天然水関してはついに1リットルのガソリンの価値よりも高価になった。
(内燃機関が発明されるまで、石油でさえその交換価値ゼロであったことを思い出そう。)
しかし、サウジアラビアでは水のすべては海水を電気分解して生成されている。
その生成に要するすべてのエネルギーは石油を利用した火力発電である。
この場合は水1リットルはガソリンよりも高価であるのは当然である。

彼らから見れば、大万木山は自分の所有する油田と交換可能である。
だからと言って、大万木山を独占しようとする日本の銀行家はいない。
そもそもアジアには湧水などありふれているものだ。

今や経済学が真の富の定義とその運営方法を破壊しているのである。
世界の銀行家たちはノーベル賞経済学者を支援する一方で、
来るべき水戦争という21世紀の資源戦争に向けて多大な資金を集中させている。

来るべき水戦争は中東で始まるだろう。
水は石油と交換可能な液体であるから。  Y.K

地球上の建築

テンセグリティモデルの発見によって、
この宇宙での構造に関する同一の法則が
マクロレベルとミクロレベルで作用していることが連鎖的に発見されている。
この〈地球〉的建築とは、ミクロ構造からマクロ構造を造ること、
あるいは見えない構造から見える構造を構築するデザイン・プロセスである。

純粋なテンセグリティ建築に関して、建築基準法は現在適用されない。
運動会用のテントが基礎を持たないように
カテゴリーとしての建築物ではないからだ。
これは、構造と国家の記号体系との見事なズレだ。  Y.K

セミクジラ

セミクジラには背ビレがない。
北極海という氷の海を泳ぐのに適応したためだろうと考えられている。
そしてセミとは 小さい(semi )という意味ではなく、その背中の曲線の美しいセミ(背美)にある。
成長すると体重は60トンにもなるので小さい訳がない。
上あごと共に2本の下あごがアーチ状に張り出し、
ほぼ正三角形上の底面をもった特異な口元を形成する。
つまり4面体の構造の頂点部分が大きく開けたまま海面近くを泳いで、
細かい繊毛についたヒゲ板にひっかかる極小のプランクトンを食べていたのだ。
泳ぐ速度が遅く人間に容易に捕獲されつづけたのは、
この頭と口の抵抗があまりに大きいからだ。  Y.K

テンセグリティ

構造はエントロピックであり、エネルギーを放出するのである。したがって、
耐震強度をクリアーしたとしても構造と呼ばれるモノには、固有の寿命がある。

1949年、
構造を通過するエネルギーは構造をシントロピックに変換する場合が発見された。
真の構造はシナジーであり、発散性の圧縮力と収束性の張力との間で起こる
相互作用の結果としてのみ存在する。
構造とは常に動的であり、決して静的ではないということが明白になった。
資源とエネルギーを浪費させない構造は、シナジーを除外してはならない。

冗長度(リダンダンシー)は構造破壊につながるリスクを低減させ、
また、一部が破損したり機能を停止した状態でも、
その機能をある程度保持するために設けられる。
したがって、エントロピックな構造は、冗長度(リダンダンシー)を求めて
よりエントロピックになるが、テンセグリティ構造では、
冗長度(リダンダンシー)を設計から完全に除外しても
安全性をより向上させることができるのは、
決定的な破壊を回避する重要な機能が自己形成されているからである。

しかし、このことが半世紀以上にわたって専門家に理解できないほど、
テンセグリティは常識的ではない。
シナジーはハイブリッドでもないし、波及効果でもない。
シナジーは宇宙の原型なのだ。  Y.K

リンク

リンクにはきりがない。
自然は究極のハイパーリンクの階層構造だ。
インターネットと異なるのは、
人間にも、
30万台あると言われる Google検索ロボットにも、
自然のリンクは永遠に不可視である。  Y.K

情報の組織化

ウェブ上で使用可能な膨大な量の情報を組織化するグーグル(Google)とは
10の100乗を指す「googol」という数学用語が語源であるが、
2週間分の心臓の鼓動数は10の6乗で一光年の距離ですら10の28乗である。
最大の銀河の直径でも10の40乗である。  Y.K