月別アーカイブ: 2019年11月

テンセグリティはモバイル生活器の元型

バックミンスターフラー研究所の
60トンものクロノファイルを検証した時、
驚くことに、テンセグリティ概念の発見とそのモデルに
ケネス・スネルソンはまったく関与していない事実が分かった。
彼がフラー独自のテンセグリティ概念を使用したこと以上に
その原理を構造として開発していないのだ。
つまり、美的価値に絶えず惹かれて
古典的表現様式へ固執する行為こそ
反シナジェティクスであり、
シナジェティクスの発展に貢献したとは考えにくい。

スネルソンが自分芸術作品に対して、
フラーのテンセグリティ以外の名称を考案していない事実は、
独創的な表現様式へ固執する行為にも反する。

テンセグリティ構造は、人類のためのモバイル生活器である。
展開型テンセグリティ構造 直径11mの縮小モデル図面  
制作 シナジェティクス研究所 梶川 泰司
バックミンスター・フラー生誕100年祭 1995 ニューヨークで展示

「基礎と応用」という自然に対する最初の細分化

失敗というドン詰まりの繰り返しの過程にこそ
予測できない発見が待ち伏せしている科学史が存在する。
「失敗の神秘」を遠ざける「失敗を繰り返さない勉強」の教育的支配が
「基礎と応用」という自然に対する細分化を生む。

宇宙で最も豊富な水素原子が他の原子の基礎ではないように
どんな部分からも全体を推測しないシナジェティクスに
「基礎と応用」は存在しない。

この木の根は、すでに自然を細分化した専門性の概念から形成されている。
この図は「自然の木」を意味しない、ただのツリー構造だ。
http://www.appchem.t.u-tokyo.ac.jp/kyouyou.html

「失敗の神秘」を遠ざける「失敗を繰り返さない勉強法」

修士号を取得して実社会に飛び込む学生に
革新的アイデアは思いつけないので
劇的アイデアの源を専門を勉強した大学院生に期待する理由が
斬新なアイデアを思いつく
自由と失敗を繰り返さないための勉強にある場合、
「失敗を繰り返さない勉強」と「自由」という関係が
すでの科学的に哲学的に間違っている。

右勝手の遺伝子は左勝手の失敗作ではない。
人間の手のような鏡像の相互作用から生まれない。

「一を識り十を観る」

「一を聞いて十を知る」は知識欲からの学習方法に終わる。
「一を識り十を観る」は、
経験から誘導される直観と想像力がなければ到達できない
抽象性ではなく、具体性なのである。
「一を識り十を観る」は、
観察に依存しない「存在の見立て」であり、
抽象性に置き換える誤謬からの脱却に始まる。

SYNERGETICS RBF 1975
Fig. 608.01 Instability of Six Vectors Except as Tetrahedron:
The alternate consequences of six vectored configurations.
Only the tetrahedron is fully stable. It is synergetic.

飛行するテトラヒリックス(Tetrahelix)

鳥の翼の左右に分断された飛行軌跡(下図の連続写真)を
さらに統合すると、
2重の螺旋体(Double-Helix)を描いていることが分かる。
この螺旋体は円筒に内接し、
円筒上に位置する隣り合う連続する2点間距離は最短になる。
鳥は飛行エネルギーを最小限にする方法を数学的に確立している。
さらに、この2重の螺旋体は
3重螺旋体の総三角形化された
テトラヒリックスの構造の一部を再生している。
鳥が飛行する4次元軌跡は、正4面体が生成する。

ナショナルジオグラフ PHOTOGRAPH BY XAVI BOU
https://wired.jp/2016/09/09/xavi-bou-ornitographies/#galleryimage_236905-1199_5


SYNERGETICS RBF 1975
The tetrahelix: a helical array of triple-bonded tetrahedra.

自己を模倣しないシナジェティクス

ベクトル平衡体の発見は
ジターバッグの発見よりも17年も先行し、
テンセグリティの発見は
ジオデシックスの球面分割理論とその実践よりも22年先行した。
原理の相互関係の理解の順序は重要でないが、
シナジェティクスの起源には無数の驚くべき事実がある。
シナジーによって未知を内包していくシナジェティクスは
発見・発明における自己を模倣しない
R.B.フラーの「Total thinking」によって半世紀間も練り上げられた。

SYNERGETICS RBF 1975
Fig. 413.01 Vector Equilibrium:
Omnidirectional Closest Packing Around a Nucleus:

極地の裏庭に回帰したイヌイット

水も、食料も、エネルギーも欠乏しないデフォルトが形成され、
その後に、人間はバイオスフィアにやって来た。
大多数は、分断して支配される見えない牢獄に幽閉され、
幸運にもその牢獄の外で生き延びたとしても
「欠乏か、さもなくば過剰」という無知と引換に、
そのありふれたデフォルトは奪われ続けてきた。

しかし、移動するための人工物(外洋カヤック)を開発したイヌイットは、
住居構造の三角形化によって極地の裏庭に回帰できた。

クジラの骨でできた半地下の冬場住居=イグルーの元型(Wiki)
鯨の骨は、風雪に耐えるように互いに三角形化されている。
この強固なフレームは防水性に富んだアザラシの毛皮で被覆される。

伏流水は80年を経由する

早朝にコップ一杯の伏流水を飲む。
地下の温度が体内を巡る。
水分子を一つだけ分離して印を付けたとして
この分子が再び私の新陳代謝に加わることはないだろう。
もしバンアレン帯がなかったらこの確率さえ消えるだろう。
この現実は他の惑星との最良の出来事から成り立っている。 

北アルプスからの伏流水は80年を経由する。

自律した最初の裏庭「栽培植物起源論」

収益のためではなく、人々のために行動する仕事によって、
自分が経験するものを他者と分かち合うべきだと考えているのは
希有な政治家でも、孤立したデザイナーでもない。
人間は他の惑星に到達する前に
宇宙の中のバイオスフィアの役割を捉える
テクノロジーを最初に裏庭で獲得するだろう。

「栽培植物起源論」
中国新疆伊犁州における野生リンゴ
リンゴ、西洋ナシ、サクランボ、アーモンド、クルミ、ネギ
などの重要な作物の起源地とされている。
https://www.yunnan-k.jp/yunnan-k/hsm/16-201503/823-himalayan-study-monographs-16-224-ooishi.html

全方向的に思考する存在 Total thinking.

Who are you? と尋ねられたなら
動揺を隠しながら名前と職業を答えるにちがいない。
仕事と寿命が短時間に変容する時代に、
「I am who am I.」の現実は、ますます遠ざかる。
1949年、バックミンスター・フラーは、
「私は全体を全方向的に思考する存在」(Total thinking)」と捉えた。
人間は局所的に分断して部分から思考するシステムから抜け出ようとしている。

SYNERGETICS RBF 1975
Fig. 401.00 Tensegrity Tetrahedron with “Me” Ball
Suspended at Center of Volume of the Tetrahedron: