月別アーカイブ: 2013年10月

記号のテクノロジー

世界でもっとも美味しいエビは
広葉樹の森を流れる清流の岩影に生息する川エビたちを
メッシュの細かい網で採取した直後に
丸ごと唐揚げにすると真っ赤になる香しく甘い子エビだ。
自然採取と食物エネルギー摂取の間に偽装は起こりえない。
この淡水に生息する川エビたちに名前は不要だ。
偽装は
騙す側と騙される側との知識の
共通化を前提とした記号の擬態である。
無農薬野菜やサプルメントなどに拡大した食品偽装は
擬態という記号のテクノロジーを利用した
サバイバル方法の一つになっている。
知的産業社会においてこのテクノロジーは
創造性も開発費も不要な利益の直接的な採取方法なのである。

反偽装

それぞれ経営が異なるホテルが
偶然に食材を誤表示していたなら、
例えば、認識不足からより高価なエビを間違って使用して
実際に損をしていた反偽装のホテルが現れてもよさそうだ。
現実社会の多様な偽装に、このような反対称性が存在しないのは
どんな利益にも彼らはモラルを超越できるほど抜け目ないからだ。
その抜け目なさも
自然淘汰された哺乳類の固有の能力なのだろうか。
それとも、安い食材を判別できない
富裕層指向の欲望が利用されただけなのだろうか。

植物のように

太陽光発電システムが送電線から独立した
蓄電型発電所として、とりわけ災害時にも機能しなければ
太陽光を電気エネルギーに変換しただけでは
植物のような自律的で増殖するエコロジーシステムとは言えない。
求愛するカエルの鳴き声は
フクロウの家族にとって
豪華な食事の合図に他ならないように、
太陽光で発電したエネルギーを
電力会社の送電線を通じて売電すればするほど
電力会社にとっては電気料金値上げの根拠になっている。

質量欠損(mass defect)

大規模な宇宙の質量欠損問題 (missing mass problem) が
暗黒物質(ダークマター)の概念を形成した。
ダークエネルギーは
宇宙の質量及びエネルギーの約7割を占める。
この作業仮説上のエネルギーは
偶然にも、地球惑星の全表面積に対する海の占有率に等しい。
ダークマターが26.8%
すべての原子などを含むダークマターでない物質の占有率は
僅か4.9%程度なのである。
質量欠損(mass defect)の概念からは
宇宙の大半の質量を未だ説明できない。
defectとは欠点,欠陥を意味する。
質量欠損(mass defect)という思考言語に
すでに概念上の重要な欠損があるかもしれない。
シナジェティクスでは、defectではなく
崩壊や対消滅を意味するannihilationを使用する。
全体というデフォルトはけっして不足してはいないのである。

理論的洞察

シナジェティクス理論は
世界が如何にあるべきかという知識ではない。
シナジェティクス理論の形成過程は
思考の過程そのものである。
シナジェティクス理論とは、
洞察力の効果的な形式であり、全体を見ることなのである。
これまでの思考言語の牢獄から抜け出るためだけではなく
抜け出たときの世界の見方を表すためである。
言い換えれば、経験が洞察を生むのではなく
経験は洞察によって形成されるのである。
理論的洞察こそが、より有機的な全体を形成する。
そして、ついに洞察力のもっとも効果的な形式を超えた
<宇宙の原理>が発見されるのである。

直観的な実践

シナジェティクスの理論開発者もいない。
その指導者もいない。
何をなすべきか教えてくれる人は誰もいない。
それはシナジェティクス原理を発見するための
最良の条件である。
どのような状況からでも
シナジェティクスモデリングを始めることができる。
手は思考する精密機械であると同時に
作業仮説の直観的な実践者でもあるから。
そして、群れのための思考言語の最初の破壊者である。

2つの加速度

エフェメラリゼーションは
物質とエネルギーだけではなく時間に対しても共に加速する。
クリティカル・パスを学ぶだけではなく
デザインサイエンスを実践することで
はじめてこの2つの加速度を理解し経験できるだろう。
つまり、自分と宇宙との相互作用のことを。

改革者

政治的・経済的な改革者は
人間の根源的変革に対してではなく
社会システムに対して
もっとも有効な防御機能を果たしているように見える。
彼らはこれまでの思考様式
およびその全過程を否定する行為に対して
巧妙に回避するばかりではなく
むしろ妨害するシステムに従事しているだけである。
彼らの思考言語をことごとく否定できる
唯一の愛(=cosmic integrity)からより遠ざかるのは
その見えない統合力をもっとも怖れているからだ。
——–重力に対するように
距離からはけっして逃れることができないにもかかわらず。