日別アーカイブ: 2008年1月22日

冗長度の経済

構造工学では、ある構造物の支点にどれくらいの余裕があるかを判断するための
冗長性(redundant)を求めてきた。

その結果、冗長性(redundant)は余剰的な豊かさと誤解されている。
つまり、これまで冗長性の獲得は歴史的に
重量の増加なしでは達成できていない。

テンセグリティ構造はこうした概念に対立する。
重量を劇的に軽減しながら、機能の劣化がないばかりか
機能と安全性がむしろ増加する原理を示しているからだ。

1960年代の宇宙工学が最初にテンセグリティ理論の導入に関わったのは、
大気圏外まで必要な効果的な機能だけを
安全にかつ経済的に移動させるためである。

大型ジェット機の全重量を収容乗客数で割ると、
最新の機体ほど劇的な重量の軽減に成功していることが分かるだろう。
燃費が大幅に改善された最新の自動車は、
もはや限界に達したエンジンの燃焼効率の改善ではなく、
車体の剛性を向上させながらも、安全性を劣化することなく
車重を劇的に軽減する方法で燃費が改善されている。

一方、最新の耐震設計に合格した構造物は、例外なくその自重は増加している。
大気圏内の住居テクノロジーが
こうした冗長性(redundant)で利益を確保する時代遅れのテクノロジーである限り、
冗長性を排除するには不向きである。

人々が成功の象徴として重厚な家を指向しているかぎり、
大気圏内の住居テクノロジーに関わるすべての専門家たちは
もっともらしい冗長性(redundant)がもたらす安全性と経済性において
つねに消費者を欺くことができる。

テンセグリティ原理が形成されて半世紀が経過している。
これは20世紀に発見された科学原理の応用段階に到達するには例外的な懐胎期間である。

懐胎期間の意図的な引き延ばしが容易なのは、
専門分化されたテクノロジーの冗長性への見えない依存度のためであるが、
過剰な重量増加は、つねに二酸化炭素の増加問題である。 Y.K