コクゾウムシ

2週間の旅から帰ると
無農薬玄米の米櫃の表面は
黒い小さな動きの鈍い昆虫で覆われていた。
購入した玄米にコクゾウリムシはすでに産卵していたのか、
飛行能力に優れているので、畑からやってきたのかもしれないが、
彼らの成長は恐ろしく早かった。
コクゾウリムシにとって
一粒の穀物は食料の貯蔵庫であり住居である。
コクゾウリムシが白米よりも玄米の方が好きなのは、
玄米には自分が隠れて成長できる
外皮という繊維で強化されたシェルターが付いているからだろうか。
明らかに彼らは自身を玄米の大きさに収納できるように
進化している。
一粒の穀物の外皮をシェルターとして利用することで
外敵から無数の卵を守り
長期的に生存できるこのモバイラーたちは
内部を空洞化したシェルターに水が進入しても
しばらくは水に浮いて死んだふりができる。