月別アーカイブ: 2017年8月

シナジェティクス方法序説

言葉は、自分の考えや経験を記録していく不可欠な道具であるが
その道具は、記録していく過程で変容する。
なぜなら、考えや経験は書くことでほとんど形成されるという相互作用を受けるからだ。

例えば、発見したシナジェティクスモデルを自らの手で具現化する時、
適切な材料の構成だけではなく、
それらを加工するための新しい方法の発見を伴う複数の経験から
モデル言語の形成過程と方法が露わになってくる。

しばしば、新たな方法の実験によって
更なるシナジェティクスモデルの発見もやって来るという相互作用は
確実に存在するメタフィジックスである。

この方法は、やがてシナジェティクスの独自な概念に変換される。
すべての発見されたシナジェティクスモデルには、モデル毎の経験の履歴が内包されるが
その情報は階層構造となっているので、非同時的に観察者の思考と経験にしたがって解読されていくかぎり、
理解における半世紀間のタイムラグはそれほど珍しくない。
理解は包含(comprehension)するための時間を必要とする。

「真の理解(comprehension)はつねに非同時的である。」(バックミンスター・フラー)

森の朝霧

森の朝霧を遠方から望めば森を覆う雲である。

空気中の水蒸気の量が増えると、
物質の粒子はますます電荷を帯びる。
大気中の水が電荷を蓄積し、
接触した他の物質にその電荷を移動する雲の生成過程において
森の無数の葉は、朝日によって大量の水蒸気を雲に提供する。

朝霧も雲も太陽と光合成との関係からみれば
バイオスフィアの電気的な作用とみなされる。
偏西風だけが雨雲を運んでくるのではない。
雨雲は移動しながら森から水分を補給する
パッケージされない浮遊体である。

水冷システム

石畳に打ち水をするとしばらくすると
3度程度周囲の気温が下がるが、石の表面温度は再び50度以上になる。

庭の雑草を抜かないで10㎝程度に刈っておけば、
草の葉の温度は、猛暑日でさえ30度以上にはならない。
日本の庭先は、植物の光合成による葉の水冷システムに任せるのが自然だ。
雑草は大地を被覆する優れた保湿システムでもある。
雑草の多様性はイネ科の多年草の芝生よりも美しい。

非鏡像的な独裁者

資本主義と共産主義の核兵器は、共に同じ原理でデザインされている。

しかし、資本主義と共産主義は反対称的だからこそ
長期間互いに拮抗できるというシナリオによって、
トランプとキムは、互いに非鏡像的な独裁者として共存できる関係なのだ。
ーーーー陽子と電子のように。

井戸と畑とシェルター、そして流木

サバイバルの生活空間はバラックから始まっていた。
私の場合は、都市が核兵器によって殲滅された後の
廃墟のなかでのサバイバル方法から幼年時を過ごした経験が
都市生活者の<構造とパターン>を完全にリセットしていたのである。

後年、テンセグリティはバラックの最高峰として認識できたのは
サバイバルの現実性からであった。

井戸と畑とシェルター、そして流木でする焚火の夜空は
内部と外部が放射性セシウム137を媒介して一体となっていたにもかかわらず。

テンセグリティは流木を圧縮材とすることができる。
2点間距離を維持する目的で。

観察者の観察方法が自らの経験によって浸食される場合、
<構造とパターン>を生成する概念が、もっとも変化しているのである。
しばしば、場所の喪失やその移動によって、あるいは異文化との邂逅によって。

包括性

起こりえる他の可能性があるにも関わらず、
なぜある特定の出来事の流れに限って、他のプロセスに転位することができず
特殊な枷(かせ)だけが現実に生成されたかを問うことから、包括性への兆しが生まれる。

個別の出来事に包括的な情報が先験的に備わってはいないからこそ、
出来事と出来事との関係から発見される包括性は
他者と共有できる非同時的なリアリティをもたらす。

クリティカル・パス

正しい方法を学習する場合、
無数の間違った方法を避けることを学習することはできない。
間違いから学ぶ方法が理解への最短の学習方法である。

しかし、間違いを安全に避けるためには
最長の試行錯誤のプロセス(クリティカル・パス)を経なければならない。

クリティカル・パスは完全な理解の経路を形成する。
したがって、クリティカル・パスは
他者に対して最短の経路と最良の方法を提示することができる。

不誠実でケチな人間には不向きであるばかりか理解不能である。

外部化した道具

光が少ない雨天が続き、高温多湿が定常化すると、
グリーンハウス内の植物も加速度的に成長しはじめる。
彼らは外部と繋がっている。

一方、車やカメラなどの精密機械はそれぞれ孤立しながら
著しく劣化しはじめる。
外部化した道具類の森での生存率は極めて低い。
外部化した道具類にもシェルターが必要だ。

他の方法

微生物には宇宙エネルギーを受容する他の方法があるのだ。
「地下深部からの湧き水に含まれる微生物のゲノムを調べたところ、
呼吸をつかさどる遺伝子がないばかりか、
体内でエネルギーを生産するための遺伝子も見当たらなかった」

これまでの生命を維持する仕組みが否定されたのだ。
塩素や農薬でバイオマスをほぼ全体を支配する微生物の殺戮を繰り返すだけの
生物学が黄昏るほどの発見ではないか。

どのように生存しているのか分からない実験に
挑戦することを止める遺伝子が人類に備わっているわけではない。

黒い最短距離(再録)

黒い雨は、元安川の水と放射性物質から生成されている。
2010年8月6日 犬のしっぽから引用

ピカドン(ヒロシマ原爆)で
一瞬の内に焼かれて吹き飛ばされたという。
しかし、次の瞬間に大量の人間が
川の水と建物の破片とが一緒に吸われて
上空に螺旋を描きながら
成長して黒いキノコの笠を開こうとしていた。

巨大な核エネルギーは最短距離を選んだのだ。
原爆で吹き飛ばされたのではなく吸引されたのだ。
大量の放射性物質は1時間後には上空一万メートルまで上昇した。

これが黒い雨となって
夕立のように激しく降下した。
ヒロシマ平和記念館で今日も上映されている原爆の瞬間のCGは
科学的に根拠をもたない黒いキノコの成長である。

これらを監修した物理学者たちは
原爆を巨大なダイソンの掃除機と見立てていないようだ。
つまり、吸引と排気が動的に均衡したトルネードと
同じとは考えていないのである。

この兵器は2種の機能から成り立っている。
核爆発エネルギーによる大量殺人と
大気圏を利用した放射性物質の吸引とその効果的な拡散である。

キノコ雲の外破と内破

物理学者は、キノコ雲と黒い雨の生成過程を科学的に分析していない。
2007年の犬のしっぽから再び引用したい。

真空管が破裂することを、内破(implosion)という。
内側に向かって爆発するという意味である。
この概念は、正しくない。
内破は、重力現象として見るべきである。
ヒロシマの原爆は、空中爆発(explosion)であったから
爆発と共に強大な球状空間が真空化され、
ついに、内部に強力な吸引力が発生した。
このもう一つの重力はやがて、上昇する螺旋運動を形成し、
キノコ雲の球体を形成した。
原爆はけっして都市を吹き飛ばす爆発力だけではない。
原爆の瞬間を表したヒロシマ原爆資料館の最新のCGのように、
爆発の放射(=圧縮力)のみに注目する原爆の物理学には、
内部への吸引力としての張力は不在である。
秩序を見分ける方法は、
もっとも大きなパターンの存在を発見すること以外にない。
そのパターンは、概念によってはじめて投影される。

2次的な美的基準

テンセグリティが張力を生成するのではなく、
圧縮力が張力を生成すると張力が圧縮力を生成する時、
その非同時的な相互関係がテンセグリティを維持する。

テンセグリティは多面体から発見されなかった。
面は存在していなかったから。

テンセグリティを生成させるための対称的形態は、2次的な美的基準からである。

夜明けのドローイング

森の中でしばらく生活すると、例えばスピーカーからの音楽や過剰な光、
そしてある種の食物を必要としなくなる。

森でのサバイバルの経験を統合していくと知覚が変容しはじめ、
その知覚がより鋭敏に機能するような環境を短期間に生成すると考えられる。

環境は自己以外に属するという知覚によって
夜明けのドローイングが始まる。

驚くことに、人類が環境と宇宙と自己との相互関係を捉え始めて
まだ半世紀しか経過していない。構造とパターンにおいても。

防御と従属

アブに刺されると激しい痛みとその後も赤いしこりが残る。

この経験が繰り返されると、屋外でも屋内でもアブの羽音を聞いただけで
突然、以前に増した激しい痛みを体のどこかで感じるようになる。

受け入れがたいほどの痛みによって、想像した痛みであることに気づくまでに
仮想的なアブを虚しく探すほど滑稽な事態は周囲には不可解である。

痛みをあたかも待ち受けているかのような
無意識的な条件反射を人間は自ら装置化して再生産するようになる。

外部から痛みに対する防御と痛みへの従属は、表裏一体である。

家庭内禁煙

互いに異なった複雑な外部的な関係が単純な内部的な方向へ短時間に変化する。
それは、政治的な組織化では、ファシズムと呼ばれてきた。
憲法改正によって国内の基地化を永続するための見えないプロセスが進行する。
家族が家族を訴える習慣への条件反射。

熱中症(heat stroke)

人体の成分のほとんどは、かなり狭い範囲で凍結・沸騰・蒸発する水である。
内燃機関の冷却は、オイルではなく水である。

熱中症が脱水による体温上昇と、体温上昇に伴う臓器血流低下と多臓器不全なら、
暖めたエンジンを適切に冷却する水が不足するだけで、
エンジンには確実に後遺症が残る。
原子炉も水惑星以外では使用できない。

水惑星の大気と海は、内燃機関と原子炉のエントロピーの捨て場となっている。

単純さの方向性

膨大な利益確保のためのエネルギー資源の輸送を閉じた「パイプシステム」や
局所的な地域ごとの電力ネットワークで独占する国家によって
許可される住宅・都市建築との全面的対立をとるのは、デザインサイエンスの目的ではない。
自由を拡大するテクノロジーの単純さの方向性である。