月別アーカイブ: 2010年1月

生産性

驚くことに、生産性(productivity)という概念が仕事に応用され始めたのは、
第2次世界大戦中のアメリカである。
1950年代のコンサイス辞書にはまだ記載されていない言葉だった。
1907年ヘンリーフォードがT型フォードを
量産するための工場の機械化を考案したが、
主に手作りの部品のアセンブルを合理化するためであった。
しかし、製造過程を機械化するための設備投資が
肉体労働者の生産性を直接向上させたわけではない。
バックミンスター・フラーの金属製のダイマクション・ハウスは、
第2次世界大戦中に試作され、
1950年代以降ツーバイフォーによる住宅建築の構成要素である
バスユニットやシステムキッチンに応用された。
T型フォードは当時の労働者の年収の4倍以上の価格であったが、
ダイマクション・ハウスは年収分で所有できるように設計されている。
この違いは、住宅機能のユニット化を経済的に可能するために、
モジュールまたはユニット(構成単位)という知識を
工場内の労働者に教育したからである。
(少なくともバックミンスター・フラーのクリティカル・パス方は労働者に
共有されることを前提にしている)
モジュールまたはユニット(単位)という知識の起源は
「究極の分割不可能な単位」を考案した古代ギリシャのデモクリトスにまで
遡れるが、それは仮説的な存在を前提にした思考実験であった。
ラザフォードと長岡半太郎にはじまる原子モデルを構成する電子の発見によって、
実在する物質の構成単位という概念が工場労働者の生産性に転換されるまでは
数千年を経過している。
われわれは、知識を物質に変換するテクノロジー以上に生産性を
高めることはできない希有な時代を生きている。

失業

明日、何をすべきか自分で決められない状態を失業という。
知的労働者はより頻繁に失業している。
しかし、失業毎に知識を確実に生産性に結びつけようとしている。
労働者の生産性および知的労働という概念は
マルクスの時代にはなかったことだ。

2つの中央銀行

中央銀行はアメリカにもあるが、旧ソ連にも存在した。
後者の中央銀行は計画経済の管理統制をした。
この2つはともに各イデオロギーの教義となった。
預金金利と貸出金利の差益で富を独占できる権限を銀行に与えるための。
つまり、金融資本主義の理論である。
金融資本主義と言う概念は、1910年にドイツで誕生している。
自然の経済はこの理論では運営できないだろう。
なぜなら、自然はあらゆる権限を生まない。

動的基地

軍事的援助が同盟国の相互の信頼を形成できたことはない。
世界でも最も住民にとって危険な軍飛行場の一つである
普天間基地の軍事的な必然性は
前世紀にすでになくなっているが、
われわれには敗戦国としての
軍事費の負担義務しか知らされていないだけである。
普天間基地を撤退させたいのは住民だが、
普天間基地を陳腐化したがっているのは、
衛星という動く基地をすでに統合した
大気圏外型軍事テクノロジーである。
日本は宇宙輸送船HTVの建造に着手している。

乾雪

雪には乾雪と湿雪がある。
気温が低い場所ではさらさらの雪になる。
本州以西と以南の雪はほぼ湿雪である。
湿雪の水分の密度は高いので、除雪にもエネルギーが必要だ。
(冬山のドライブは乾雪のほうが走りやすいし滑りにくい。)
しかし、周囲に高い山があれば
標高が低い場所でも、雪の含水率は低下する。
高山はブナの森の落葉だけではなく、
雪の結晶化過程でも水分を長期に貯蔵するために
より低温で雪を生成するからだ。

安全値

リダンダンシーの起源は、
無知であるがゆえに
潜在意識的な恐れから
保証を求める社会システムにある。
われわれの住居は、
高コストな安全値を過剰にした疑似構造だ。
航空機の安全値は建造物や自動車に比較すると
もっとも低く設定される。
安全値でラッピングされた無知と政治的保証は、
建築の専門分化が支えている。

反重力装置

季節風は大量の寒気と水分を移動させるが
山があると雪雲が集まりやすいのはなぜだろうか。
雨雲の雲粒の集団が周囲の大気に比べて数百倍以上も濃密になり、
ついに数百万トンもの水分がどうやって、
地上から数キロメートルも上空で浮遊できるのだろうか。
このパッケージのない巨大な貯水池は明らかに電気的な現象だ。
例えば、
嵐の雲の最上層はプラスに帯電し、底面はマイナスになるのは、
2つの雲を1つにするためだ。
自然は二酸化炭素を増加しない輸送テクノロジーを
45億年間使用している。

非論理的思考

圧縮材は、長くなるとたわんで挫屈する傾向がある。
張力材は、長くなっても張力の限界は変わらない。
この事実を統合するとテンセグリティになる。
圧縮材をたわまない長さに分割し、
張力材を閉じたネットワークで使用すれば、
テンセグリティ球の直径は無限化する。
この非論理的飛躍を発見するまで、
構造とは何かは定義できなかった。
シナジェティクスは
構造とパターンに関する科学である。

真実

テンセグリティシステムは、
破滅的な破壊を回避するために
局所的な破壊へと分散する。
それゆえに、
テンセグリティシステムは真実を隠蔽しない。
より重要な部分に真実は存在しないから。