月別アーカイブ: 2014年7月

表看板

日本の博士号を授与する審査機構は
現代人の生活に必要な基本的なテクノロジーの開発に
どれほど貢献しているのだろうか。
初期の船や航空機と自動車
そしてパソコンは
すべて大学の外で開発されている。
ライト兄弟は
自転車屋を経営しながら機体の開発を続け
エンジン付きの有人飛行に世界で初めて成功している。
そのパイオニアたちが
博士号の取得に専念した歴史は存在しない。
大学の博士号の審査機構がこの真実の歴史を隠蔽するために
科学者の生活を破壊しない配慮を持ち出しているならば
科学や学問の自由を追求する場などは表看板にすぎない。
彼らの行為はまったく黄昏れている。

具体性について

具体性に置き換える認識上の誤謬は
グランチが意図的に引き起こしている。
武器製造のテクノロジーの歴史では
圧倒的に理系学生の青田買いは
教育的効果の一つとして公認されてきた。
具体性に置き換える認識とその教育は
個々人に小さな権力構造と専門分化の加速とを
手っ取り早く再現する習慣に過ぎない。
具体性に置き換えるプロセスでは
メタフィジックスへの認識が
ほとんど生成されないばかりか
観察行為が不在になるように
試験を前提にした学習などによって
情報が予めパッケージされるのである。
そして、未知なる存在への探査方法の情報は
このパッケージには含まれていない。
未知なる存在への探査こそ
具体性に置き換える認識方法を
破壊するシナジェティクスの起源である。
シナジェティクスは存在のすべてを扱うのである。

2つの虹(RainbowとMoonbow)

夕暮れ時の雷雨が引き起した虹の後は
梅雨が明ける。
プリズムでは内部での屈折は2回だけど
虹は球体内部に入る時と外部に出るときの
2回の屈折だけはなく
内部反射が複数回ある。
内部反射の回数を重ねると光の強度はより劣化する。
水滴の半径がほどよく小さい場合
赤から紫までの虹の幅が広いスペクトルが現れる。
もっとも美しい幅の広い虹の内部反射は
最大2回程度で生成しているだろう。
観察者が地上にいるかぎり
虹はつねに半円型のアーチである。
Rainbowは<雨の弓>ではなく
空気中の不連続な水滴による
太陽光の屈折と反射の集積なのである。
太陽があるかぎり、虹の見えない場所はない。
十分な光を放つ満月の時に
月光による月虹(Moonbow)を見ることができるが
星空のなかで月虹の見える場所は
地球上では限られている。

続)テンセグリティのユーザ

有用さ(=utility)は
目的ではなく、人間の知性の変遷過程なのだ。
メタフィジックスなくして
宇宙の知性を真の有用さに変換できない。
太陽系から細胞まで
すべての構造はテンセグリティである。
無生物にも有機体生命にも、
テンセグリティのユーザの境界線はなかったのである。

テンセグリティのユーザ

テンセグリティを知り
テンセグリティモデルを学ぶと
テクノロジーへの応用を考えるはじめる人がいる。
例えば、ロボットや構造物などへ。
あるいは人体の骨格と筋肉の関係を
テンセグリティ構造に置換する人がいる。
理解するために
抽象性を具体性に変換できる知性を優位にしたいだけである。
これらはすべて具体性に置き換えて有用性(=utility)を引き出す
頭脳の条件反射なのだ。
テンセグリティは、それ自体が
張力と圧縮力との相補的な原理を応用した
テクノロジーである。
人間がテクノロジーを独自に考え出すことなどないのだ。

シナジェティクスの方法

バックミンスター・フラーの
シナジェティクスにはいくつかの間違いが存在する。
他人とは違う新しい事を探究する過程で
他人の間違いを指摘するのも科学論文に成り得る。
しかし、それらの論文が
シナジェティクスを前進させたことはない。
シナジェティクスは
シナジェティクスを探究する過程で
先行する概念をより包括するシナジェティクスを生成する。
包括する行為は
陳腐化する行為から生まれない。
包括的理解は
自らの経験を秩序化するプロセスを含む。
シナジェティクスは
シナジェティクスをより包括する方法を発見する。
その発見には、Webに公開されたバックミンスター・フラーの
テキストとビデオ講義で十分だ。

『コズモグラフィー』

真実をのぞき込む時
深淵に引きづり込まれるように
モデル言語を発見する時
シナジェティクスとデザインサイエンスの
絶えざる相互作用に魅了されるのだ。
『コズモグラフィー』バックミンスター・フラー 著
梶川泰司 訳(白揚社 2007)は
その動的な過程が記述された最初の書物である。

未知なる構造とパターン

梅雨の満月は
大気中の水分のために
すこし大きく見える。
雲間を素速く移動する満月はとても幻想的だ。
洞窟からみる満月から
テンセグリティ内部からみる満月まで
350万年以上も経過しなければならなかった。
真に未知なる構造とパターンは
複数の人が同時に再現できない。