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(続)狡猾(cunning)

「試験がなければ勉強しない」
と信じるように教師を養成するマニュアルこそ
狡猾さ以上である。
間違った答えのことは忘れても、
カンニングしたことを覚えているのは
このマニュアルのお陰である。
学生の試験での不正行為を
大学側が犯罪とするには、
学習から
失敗することをことごとく除外する行為を
教育の目的の一つにすることから
始めなければならなかった。
気の利いたカンニングをした学生が逮捕されたのは、
狡猾(cunning)だったからではなく、
むしろ逮捕する側の
この歴史的な不正行為(cheating )を
隠蔽するためだった。

秩序

理解する前に知りすぎているのは
サーバーだけで十分だ。
彼らは眠らない。
記憶を再構成するための眠りを、
必要としない。
眠ると、
人間のように
互いの理解から秩序を生み出すから。

仕事

縁側にこたつを置いて
窓を開け、
木々の、風で葉の擦れる音や
鳥のさえずりを聞きながら、
春うららかな香りの中
そして
眠りそうな中で考える仕事をしている。
そんな風景しか思い出せないように、
今の仕事を生きる。
こんなことは
頭で理解できることではないが、
頭の中の出来事なのだ。
きっとこれは、
国家( image+nation=imagination)よりも
確かに意味のある幻想だ。

検索

私は検索が嫌いだ。
自分で考えたことを話してくれ。
検索エンジンではほんとうの旅はできない。
検索から現実を構成するのは
権力構造だけだ。

(続)宇宙店

宇宙服なしに生存できる大気圏内のことは除外して、
宇宙服がないと生存できない場所のことを
「宇宙」と定義したのは
冷戦時代に組織化されたNASAである。
「宇宙空間の開拓、科学的発見、
そして最新鋭機の開発における先駆者」によって、
人類の移動空間は放射状に拡張された。
しかし、
この拡張された「宇宙」で暮らせるはずの宇宙服は、
1着1億円するらしいが、
バンアレン帯を通過すると
宇宙線を全く防御できなかったので、
アポロ計画以降はだれも挑戦する気になっていない。
NASAがデザインした宇宙服で
人間が安全に暮らせるのは、
現在でさえ40年前と同様の
せいぜい高度400キロまでの宇宙でしかない。

宇宙店

インドに「インドカレー」店がないように、
田舎で「ふるさと」といっている人を信じてはいけない。
同じ理由で、
地球の「外側」が宇宙だといっている
科学者を信じてはいけない。
人類は400万年以上も
地球の外側の大気圏内で生きてきたから。
だれも「宇宙から帰還」することはできない。

読書

本をたくさん読みたいなら、
何よりも大切なのは、速読することである。
理解を深めたいなら、
何よりも大切なのは、ゆっくり読むことである。
真実を知りたいなら、
何よりも大切なのは、自分の経験を除外しないことである。
そして、何よりも驚きなのは、
人が10才までに
その内の一つをすでに無意識で選んでいることである。

自発的狂気

お酒を嗜みたい状態と
酔っぱらいたい状態とを区別できない場合
その違いは
密かな狂気に期待するかしないかで決まる。
飲酒を自発的に誘導する狂気は
社会に豊富にある。
たとえば、泡だった冷えたビールの豪華なTVコマーシャル映像。
これこそアル中患者が考え出したイメージだが
社会はこの自発的狂気を放任している。
酒税を稼ぐために。

(続)ワサビ

自身が生成する殺菌物質、
この物質こそ、ワサビの周辺に
一般的な植物が生えないようにしている
排他的物質である。
しかし、この物質は自らの成長をも抑制している。
ワサビが大量のきれいな水のある場所に
生育が限定されるのは
この排他的かつ成長抑制物質を水で洗い流して
より大きなワサビを収穫するためである。
根が長く太ったワサビは自然界には稀である。
ところで
私は自然界には稀なワサビだけを
このところ食べ過ぎたようだ。

ワサビ (山葵)

ワサビは水が綺麗でないと栽培できないのではなく
砂地などの透水性が良い土壌であれば
ワサビほど水をきれいにする植物はないのである。
生命力が強いので、栽培は簡単だ。
根の断片を土中に埋めるだけで砂地でなくとも
容易に発芽する。
根の先を下ろし金で摺り下ろされたワサビでさえ
冷蔵庫の中でも何日も鮮度を保っていられるのは
自身が生成する殺菌物質のお陰である。