そもそも軍事技術は非同時的である。
これまで軍事技術が民間で一般化するのは、平均30年後であった。
外洋上の兵站線で、
兵士の新鮮な食料を長期間保存するための冷蔵庫は
第1次世界大戦中のアメリカの海軍でより実用的に開発されたが、
100万台以上の冷蔵庫が一般家庭の台所で普及し始めたのは
1927年以後である。
現代の優れた軍事技術は特許出願されていない。
特許出願後に、特許審査請求の有無にかかわらず
特許公報で世界中に公開されるからである。
(例外的に、原爆の製造技術は第2次世界大戦後に
イギリスで特許出願されているのは、アメリカの覇権に対して
世界権力闘争内部での抗争だったにちがいない。)
この非同時的な戦略は、独創性の拡張よりも
より敵の殺傷能力をもった秘密裏の兵器生産の必要性から生まれている。
グランチの非同時的な戦略は
各国の特許制度を確立する前に確立されている。
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帰還兵士
アフリカ分割以後のテロとは
自国内の自発的な非同時的な戦争なのである。
工業先進国内での非同時的なテロは、以下の条件で生成されている。
1. 差別的社会において、経済的な貧困以外の選択肢がない。
2. 祖国と地理的な隔たりがある。
3. 多国籍の移民のなかで、幼年期に支配者の言語を習得する。
4. 最初から帰還兵士として志願し、祖国での軍事訓練を受ける。
この条件はアフリカ分割の成功と引き替えに
自国に持ち帰ったタイムラグを伴う反撃のための条件だったのである。
帰還兵士を帝国主義が自動生成するエネルギーは
原因と結果をつなぐ歴史的なカルマなのである。
アフリカ分割という最大のテロ
アフリカの人々はヨーロッパの人々より
人種的・文明的に劣等であるという思考が
植民地獲得を正当化した結果、
産業革命後の鉄道や船舶を利用する前提で
アフリカ全土の分割を始めたヨーロッパのわずか7か国が
今回のフランスでの反テロ行為キャンペーンを始めた時
その首脳たちがデモに参加したのは
ヨーロッパ帝国主義の持続方法でしかない。
その帝国主義の持続方法は
今や搾取のための強大な軍備を備えた民主主義なのである。
アフリカ分割は
現在のアフリカ諸国の国境線の直線的な分割線から分かるように
他の大陸の国境線とは異なった方法で
つまり、大陸全体が明確な外部から<分断されて支配>されたので
内部と外部の激しい衝突の痕跡がないまま
最短距離を保つ直線でなされたのである。
しかし、いまその外部は自身の内部からの
激しい非同時的な衝突に出会っている。
同時性から非同時性へ
真に新しいことは誰も知らないから
同時的な競争は生まれにくい。
競争では、短時間を競うゆえに、しばしば古い道が採用される。
単独者として思考した場合
他者と同時的に新しい同じアイデアに到達することは不可能である。
独創性は、社会に同時性を求めないだけでなく
他者によるアイデアの評価にはタイムラグがあるから
意図的に評価を他者に求めない行為をどれほど持続できるかに関わっている。
(同時的な評価は、むしろアイデアの新規性の乏しさ、そして
しばしば革命性の排除を意味するだろう。)
学習が同時的競争意識と同時的な評価基準で方向づけられている限り
既成の知識の理解度の競争しか生まれない。
にもかかわらず、この同時的な競争方式が採用されやすいのは、
簡単に管理し予測しやすかったからであるが
この競争が科学研究分野で適用されば、独創的でも
そして、経済的でもなくなる。
同時的な学習
インターネットにあることや
本に書いてあることを話すと
すぐに検索できる時代では
真に思考していく人間以外は、より忙しくなるだろう。
———-互いに似るための同時的な学習によって。
宇宙のすべての出来事は
非同時的な思考によってのみ理解できる。
リセット(続)
燃料電池車は
ハイブリッドカーをリセットできなかった。
地球温暖化理論を歓迎する原子力エネルギー社会は
燃料電池車の購入に補助金200万円の税金を投入させるために
宇宙ではありふれた水素原子を石油から取り出すテクノロジーに
依存したからである。
ライト兄弟が人類初の動力飛行機の開発に
政府からの研究補助金をいっさい受け取れなかったのは
そもそも官僚に真に革命的なテクノロジーが理解できなかったからだ。
それはいまでも変わらない。
革命的なテクノロジーを政府がリードできた産業史は存在しない。
目的存在
夢には二つのタイプがある。
それを追いかけるタイプとそこから逃げるタイプと。
それを分かつのは
欲望(desire)ではなく、志(high aim)である。
志の高さを決めるのは
知性(intelligence)ではなく、動機(know why)である。
動機なき欲望をもとめる知性に具現化する夢、
つまり、独創性は宿らない。
燃料電池車
環境を変えたい時、
古い方法で変えると人間は確実に衰退する。
例えば、水素を石油から取り出して
水素ステーションを5億円で建造する似非エコ社会。
主観的な現実
現実とは、目の前に存在しているものと
それらを送り出している仕組みからデザインされている。
未来を暗く描けば、現在も暗くできる。
何も変わらないと感じて生きているのは
その仕組みが変わらないのではなく
そのように感じるようにその仕組みが
正確に機能していると考えられる。
政治経済が主導する非人格的な仮想化マシーンが描いた
かつての未来を頼りに生きているかぎり
主観的な現実は人間を何も変えない。
人々の傍観に消費されるエネルギーで
その仮想化マシーンは動き続ける。
強欲な法律家資本主義
STAP細胞の特許権を強奪するために
理研は独創的な研究者を退職金のない立場で雇用して
アイデアの独創性に関与していないにもかかわらず
論文の共同研究者に参画した時点で
実質的に個人としての特許権を放棄させている。
そして、懲罰的解雇(=自主退職に追い込む手口)によってそれは確定した。
彼らは、解雇する前にアイデアの独創性を
記号のテクノロギーに変換した後に
国際特許の審査請求をしたのである。
発明の才はないが、博士号というライセンスを得た科学研究者のほとんどは
強欲な法律家資本主義の下部構造に甘んじている。