シナジェティクス研究所のブログから引用
「コスモグラフィー」カテゴリーアーカイブ
構造的思考
この21年間に、巨大地震を少なくとも3度も経験した建築構造学は
単に構造や形態デザインに関する学問であるだけではなく、
生命を保護する空間形成が安全な構造を保障する知識であることをも意味し
人間存在に対して規範的な態度をとる学問になるはずだった。
そもそも構造に対する定義が科学的になされていなかったことを
批判しないのは、構造学ではないのである。
法的に正常な構造に対して予測を超えた地震という考えではなく、
どんな地震に対しても正常な構造が存在するための構造的思考が
明らかに意識されることになった。
真に宇宙に適応した構造は、大地と人間社会には依存しない。
構造の歴史
構造は構造安定性について、
振動を有害なものとして疎外する言語でしか語ることができなかった。
構造への批判または構造学自体への批判を通してしか
耐震・制振・免震に関するすべての構造の概念は
存在できないのである。
しかし、テンセグリティ構造は
振動を有益な者として受容するのではなく
外力などの振動を分散する過程で
振動そのものが構造自体を形成しているのである。
しばしば地震によって
テンセグリティ構造はより強化されるのである。
振動しない原子核が存在しないように。
偽装したエコロジー
エコロジーの起源は
ダーウィン一派の適者生存説を推進していた
動物分類学の権威ヘッケルにより、
生物学の一専門分野として創設されたにすぎない。
科学で偽装したエコロジーは
先験的メタフィジックスが決定的に不足したまま開始された。
分断されたエコロジーは
その後、地球温暖化説に利用されたのだ。
思考衛星
宇宙の諸規則の対する忠誠(faithful)という考え方が
前世紀から消滅しつつあり、既に消滅してしまった。
『コスモグラフィー』(バックミンスター・フラー著 梶川泰司 訳 白揚社 2007)は
最晩年のバックミンスター・フラーによるシナジェティクスへの入門書でも、遺稿でもない。
神秘とメタフィジックスの不在に応え
かつ<integrityの存在>に応えるべき探求は、
シナジェティクス原理の発見とそのための思考方法となったのである。
地球外探査衛星のように
バイオスフィアを外部から自在に探査する
重さのない一つの思考衛星なのだ。
メタフィジックスの段階
シナジェティクスが原理的発見の場を生成すると共に、
デザインサイエンスによって
知性、行動、知覚や感性という全体を拘束する
生産的選択に関わることが可能になる。
そのすべてによって原理的選択という
メタフィジックスの段階にいる。
浮遊する構造
構造物の基礎部分が大地に依存するかぎり
そして、大地にその構造物のすべての自重を流し続けるかぎり
すべての構造は、マントルに浮かぶ大地につねに浮遊しているのである。
不動産を支える疑似構造学が
注文住宅のオリジナルデザインによって
建築ビジネスに埋没している間に、
外洋の荒波や乱気流でも
破壊されないで快適に浮遊する空間構造は
すでに開発済みだ。
船舶や航空機以外で大気圏内を浮遊し移動する空間構造は
テンセグリティによって
もっとも現実化したのである。
すべての浮遊し移動する構造は、
もっとも安全である。
アンチ・リダンダンシー
建築ビジネスに於いて
構造設計家は安全率を高くするために
構造計算の結果よりも
数倍の無駄な補強を構造に与える保守的な態度によって
自らリダンダンシーの奴隷になっているかもしれない。
安全率が大きい場合、予測の不確実性が大きいので
リダンダンシーという概念を用意したとも言える。
より高く長距離で飛行するための
より大きな鳥の翼は
余剰の多さを受容する方法を排除して
歩行にはまったく不向きになっている。
航空機の構造デザインでも
予測の不確実性のために
素材の重量増加に依存する習慣は排除されてきた。
必要最低限のものに加えて余分や重複を許容する態度や
そのような余剰の多さを受容する方法は
有機体生物の場合は確実に絶滅の要素となっている。
その絶滅の要素こそが
リダンダンシーによって利益率を高くする方法であり
ほとんど詐欺師のノウハウである。
<構造>という言葉の背後
この複雑に破壊されていく構造を、単純に分析することは困難であるが
それなしでは人間も権力構造も生きることができない。
<構造>そのものではなく
<構造>という言葉の背後に隠れているものを
一つ残らず解放しなくてはならない。
その場合、政治や経済だけではなく、
構造とパターンに関する科学、すなわち数学が関与するはずである。
岩石のように
自然のエネルギーが、未曾有で未知であり
そして自在である現象に対して
岩石のように、固定的に固体的に
人間の住居を構造をデザインすることは
もはや非科学的である。
すべての岩石は、移動した結果である。
不動と見立てた岩石や大黒柱から
科学的な安全率と安全性は形成できない。