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先験的思考

先験的シナジー情報は、思考からは到達できない。

先験的思考力によって獲得された全情報は
思考した人には属さない。

先験的なシナジー情報は、すでに宇宙に存在しているが
それらは、しばしば観察結果には現れない。

観察結果は
先験的シナジーに含まれない
自惚れた理論によって変化するだろうから。

先験的思考は存在するが
それを証明することは
シナジェティクスの目的ではない。

シナジーを求めて

地震学という科学では
現在の情報から全体や未来は予測できない。
観測され蓄積された過去のデータから
過去の事実を<未完成な理論>から解析できる段階にある。

シナジェティクスにおいては、
〈昨日〉の情報や方法に対して
いかなる差異を導入できのか、
一つの僅かな差異を概念モデルの<現象>から求める。
しばしば、その差異が新たな構造とパターンの発現として認識されるまでになる。

想像し得る一つの全体や未来の計画から出発して
<現在>を理解しようとはしないというメタフィジックスが前提にある。

なぜなら、シナジーはどの現在の部分的情報からも
シナジーを形成する全体情報は予測できないという無数の経験と
その経験に基づいたシナジーの発見があるからである。

『シナジェティクス』は、
エンドレスなこれらの発見のインデックスに満ちている。
『シナジェティクス』のインデックスは
未知なる分類学からやってきたのである。

全体はつねに想像し得る一つの全体を超えているがための分類学を
樹立した『シナジェティクス』は、インターネット社会が到来する前に
1975年、ディレクトリ型検索エンジンの原型を最初に書物に導入している。

☆この驚くべき方法は、つねにその内容と不可分にある。
SYNERGETICS

権力の物質化

構造としての城と城壁は
人間の生存には否定的だった。

圧縮材の集積は
統合力よりも
権力の物質化でしかなかった。

(数十億円かけた原寸大の破壊実験は
1回目で十分にその視覚化に成功した。

原爆ドームと同じように
圧縮材の破壊のプロセスの歴史を保存すべきだ。

エネルギーと対抗した構造の歴史を)

脱復旧(deconstruction)

自然には復旧はない。
自然は、より高い安定と調和を求めて
振動によって再結合(つまり、現状回復)しているのである。

振動で壊れゆく人工物を再び現状回復させるほどの
非論理性と非経済性はない。

受動性への否定は、出来事への注意から始まり
受動性の批判に至る時は、寛大さが形成される。

宇宙は角度と振動数である。
それらと対抗し、敵対する批判なき受動的工学は
圧縮材の集積である城と共に衰退する。

反形態学

形態学がシナジェティクスについて真理を語りうることは決してないだろう。

なぜなら、形態を現出させるメタフィジックスの真理を保留しているのは
シナジェティクスだからだ。

コスモグラフィーが宇宙形態論だとしても。

風がない場所から

シナジェティクス原理の実在への探究において
その実在を主観性へと疎外する心像と
実在が客観的事実から秩序を形成するためのモデリングとの
決定的な分岐点を見出す根本的瞬間が
夢や、しばしば瞑想の中にもやって来る。

むしろ、客観的事実から秩序を形成するために
その根本的瞬間が訪れるのだろうか。

その瞬間が生まれる毎に、幸福な風が吹いてくる。

風は、風がない場所から吹いてくる。
夢を見る前の場所からにちがいない。

不可視の視覚化

<構造とパターン>という数学概念の背後に隠れているものを
シナジェティクスによって発見し、
モデリングによって初めて形成されるモデル言語と不可分な視覚化とによって
解放しなくてはならないのは、
それまで不可視であった<構造とパターン>は
モデル言語自体で語ることは困難であるが
それなしでは視覚化することさえできないからだ。

知られざる『シナジェティクスvol.3』

シナジェティクスにさらに未知なる原理を導入するために
シナジェティクスの思考を問い直すということは、
バックミンスター・フラーの遺産であるアーティファクトの現実的な不可欠な破壊や解体、
そして別な次元への転換と応用、
こうしたものへと自発的に到るような何かを経験することを意味している。

例えば、私には、
ジオデシック理論(球面上の2点間の最短距離の前提の否定)の破壊、
テンセグリティ理論(圧縮材の不連続性)の解体、
シナジェティクスモジュール理論の拡張と更なる一般化などが可能かどうかの
挑戦と実験を繰り返すことを含んでいた。

フラーなき最初の時代に、幸運にも私の挑戦した諸結果を直ちに最初に評価したのは
半世紀に及んだ『シナジェティクス vol.1&2』の編集者アップル・ホワイト氏であった。
それは、彼が3日間の私のシナジェティクスワークショップに参加した時である。
(バックミンスター・フラー研究所が主催した1980年代後半から90年代かけて始まった
このカリフォルニアでのいくつかのワークショップには
当時のすべてのフラーの後継者たちが世界中から参加した。)

フラーの遺言で彼は、シナジェティクスの編集権を単独で継承していたが
驚くことに『シナジェティクス3』の編集にすでに関与していた。
その編集のために、私にコンタクトしてきたのである。

『シナジェティクス3』を未完のままで終わらせたくはなかっただろうが
後に彼は健康上の理由でその編集作業を辞退してスタンフォード大学に委託した。
現在デジタル化の準備がなされている。

レイマンとして自己規定したアップル・ホワイト氏は
『コスモグラフィー』(白揚社 2008)の日本語版の編集協力者でもある。

シナジェティクスの技法

シナジェティクスの探究というものが
もっぱら新しい幾何学上の知識の獲得のみへの
願望によって遂行されるならば、
そうした探究にどれほどの価値があろうか。

真理を発見する技法が発見されたとしても
それは新しい幾何学上の知識によってではないからだ。

(もちろん、バックミンスター・フラーはそれを発見していたが
遺書となった『コスモグラフィー』(白揚社 2008)には
不完全であるが記録されている。)

テンセグリティ・ストレス

圧縮材の細長比が適切であれば
テンセグリティの自重や外力から生じるすべてのストレスは
張力に変換される。

真の構造では、ストレスはなくなることはない。
そのストレスで構造はより強化されていく。

しばしば局所的に
その対称的な均衡が減衰しているように見えるだけである。

テンセグリティ・ストレスは
結合力に変換される。