自己の自己への関係においてしか
シナジェティクスモデルは発見されないだろう。
自己と環境
宇宙と自己との相互作用を再構成することは
おそらく根本的な課題であり、
デザインサイエンスにも不可欠な緊急課題である。
そして、
自己の自己への関係においてしか
政治的権力に対する永続的な抵抗方法も存在しないだろう。
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黎明期モデル
シナジェティクスモデルの再現では、
外面的な形態とそれを構成する素材の選択などに
エネルギーが注がれる。
内面的なメタフィジックスモデルの表現として
エネルギーがほとんど使われない場合は、
その表現とは無縁な数学モデルだと考えているからだ。
シナジェティクスモデルは
原理を再現する過程の観察者によって
観察者の内面を外部化する希有な手段である。
私のスタジオには
30年以上も前に制作したモデル群が
今なお、宇宙を外部化するために待機している。
シナジェティクスモデルには
それぞれの外部化のための黎明期がある。
黎明期に入ったモデルは、つねに単純で野性的である。
それは、観察者の思考言語を変革するモデルの特徴である。
古びたモデルは、突然新しく輝く始める。
プリセッション(precession)
プリセッションは
シナジェティクスの主要な概念用語の一つであり
また最も翻訳しにくい概念の一つである。
天文学の歳差運動が
プリセッションのもっとも分かりやすい
物理的現象を表しているわけではない。
現象に対して先行[優先]する存在を対象化しないかぎり
専門用語がさらに分岐していくばかりだ。
階層的モデル
発見されたシナジェティクスモデルは
新たなモデル言語を内包している。
そのモデル言語は
熟考によってはじめて発見され、
そのシナジェティクスモデルは
モデル言語によってはじめて発見される。
ひとつのシナジェティクスモデルは
じつに階層的である。
別な方法(precession)
自分が既に知っていることを正当化するための知識は
それを正当化する代わりに別の方法で思考する知識よりも豊富だ。
別な方法とは、すでに知識ではなく
思考自体を批判する作業過程に属しているからだ。
幾何学的思考自体への批判作業でないとすれば、
シナジェティクスとは一体何なのか。
テンセグリティもジオデシックスも
批判する作業過程が引き起こす
別な方法(プリセッション)の発見から生まれている。
プリセッションとは偶然の副作用ではない、
予測不可能な、しかし、確実性からやってくるシナジェティクスは
数学的証明よりも概念モデルの発見の探究から始まる。
構造と過程
構造を定義するということは、
その現実的な破壊、あるいは非破壊実験、
その効果的な構築方法、
そして、
これまで存在しなかった変換作用の発見、
あるいは統合作用などの理論形成、
これらの過程を経験することを意味している。
概念モデルから原寸大モデルまでの
テンセグリティシェルターの定義は
過去には存在しない。
非軽量化のテンセグリティ
テンセグリティを個人的な芸術作品にするための
芸術表現の正当化は、モービールに影響された
彼の初期の彫刻作品から後の
軽量化を排除した非工学的な歴史である。
たとえ、現代美術の美の諸基準に従っていたにせよ。
彼はインタビューで
テンセグリティは人間の住居にはもっとも<危険な構造>と
考えていたことを告白している。
一本の張力材の破断が構造の破壊を引き起こすという
幻想に浸れる美学は
作品の緊張感の維持のために
非工学的な歴史は拡張された。
太いステンレスパイプの圧縮材と
ステンレスワイヤーのテンション材から
浮遊するテンセグリティは生まれない。
非軽量化されたテンセグリティはもっとも危険な非構造である。
彼が閉じたテンションネットワークを発見できなかったのは、
表現の根拠が、しばしば表現の自由という概念に覆われたまま
それは古代における道徳的経験の
道徳的意志の中心にあったものと変わらなかったからである。
最適化(Optimization)
いかなる種類の安定も持たないシステムは
最適化とはほど遠いシステムである。
断片化を解消するのではなく
そもそも断片化が形成されない
テンセグリティにおいては。
肯定的デザイン
ほとんどのデザインは
自己規律から逸脱した
肯定的情況から生まれる。
宇宙がテクノロジーであることを
否定する情況から生まれる
デザインの短命さがそれを物語っている。
シナジェティクスが
政治的権力(グランチ)への抵抗に関わるのは
自己のテクノロジーとモデル言語との峻烈な関係性に到達した時だ。
それこそが、自己からの離脱を可能にする
肯定的デザインをもたらす唯一の方法だ。
自然のデザイン
構造安定性を言葉ではなく、
<構造とパターン>によって表現しようとすることは
簡単ではない。
ほとんどいつも形態(Form)を模倣してしまうからだ。
自然を知るための抽象化において
もっとも困難な闘いは
自然の観察だけからは<構造とパターン>は
発見できないという限界から
モデリングを始めることにある。
自然のデザインの99%が可視的ではないからではなく
テンセグリティはジオデシック数学よりも早く
誕生している事実からも
自然は模倣できないようにデザインされているその場所から、
モデリングを始める時
風が吹きはじめるよりも
早くその瞬間を見分けられるだろう。