コスモグラフィー」カテゴリーアーカイブ

父と母

私の両親はともに広島で被曝して
特に母は半径1.5キロ以内での被曝に苦しみながらも
共に長寿であったのは
私がデザインサイエンスに挑戦してきたからではないかと思う。
デザインサイエンスはまだ当時の北アメリカ大陸でも
職業ではなかったから
その困難な挑戦を理解したわけではないが
生物として本能的に支えてきたのではないだろうか。
平和を求めたわけではなく
人間が生き延びるように
権力が作り出す全放射エネルギーに
直観的に対抗していたのだ。
それは子供が期待する家庭的な愛情とは異なっていた。
父は私が生まれるまでに30回以上も引越しをするほどの
モバイラーだったことにも関連しているだろう。
それを知ったのは死の2年前であったが
彼はテンセグリティシェルターの実用的な機能を深く理解していた。
全放射エネルギーに対抗できるモバイラーのマシーンとして。

軍事利用

優れた科学技術者は
原子力を平和利用として考えたが
軍事利用をさせない方法を用意しなかったのは
その多くが軍産学複合体(Military-industrial complex)に
軍事利用のために雇用されたからだ。

権力構造(Power Structure)

科学テクノロジーのあり方を科学者が批判しないように
権力というテクノロジーの起源を哲学者が
分析しない時代にいる。
権力への批判だけでは
権力の起源を隠蔽した支配の歴史を存続させている。
分断し、分離するエネルギーをどれほど制御できたとしても
権力構造が求めているのは
物質を、出来事を、そして人間を分解し分離する
放射的なエネルギーである。
物質を、出来事を、そして人間をより豊かに結合していくのは
宇宙の統合的なエネルギーである。
———-距離を隔ててもつねに断面積がゼロの
重力(=万有引力)のように。

知性の原型

何を学んだかは重要ではない。
どうやって学んだかも重要ではない。
自分の興味が何かを知ることがなければ。
人間の興味は、誰かの知識からではなく
生得的な想像力から始まる
知性の芽生えにちがいない。
人間から原型を形成しない場合が
ほとんどの知性を作ってきている。
職業に結びついた興味のレベルは
集団のなかの条件反射でしかない。
知性は内部化した外部である。

無為

逃避する時は、過去に
忘却する時は、現在を
絶望する時は、未来から思うと
より効果的である。
無為は、こうした時間の操作からは発見されない。

シナジェティクスからコズモグラフィーへ

25歳までにシナジェティクスを習得していても
古典幾何学の延長にすぎない。
ダイナミックなモデル言語の習得と
予測的デザインサイエンスの修行期間は
人類最長の12年間である。
もし、その単独者が37歳を過ぎて
精神的に経済的に孤立しないで
デザインサイエンスを継続していれば
彼はシナジェティクス原理を発見できているだけではなく
宇宙における人間の目的と無為に目覚めているだろう。

致命的

手の指が火傷すれば
すぐに氷で冷やすだろう。
その同じ指が凍傷になれば
お湯で温めると細胞は死んでしまう。
氷でゆっくり温めなければならない。
温度と細胞の再生の関係は、反対称的である。
危機的な状況下で
しばしば、われわれが致命的な反応をしたのは
多数決を工作する条件反射である。

自己のテクノロジー

妥協することなく
反権力に接近する技術(=テクノロジー)があれば
クラッカーか、テロリストになれる。
妥協することなく
ノウハウに精通する技術があれば
ハッカーになれる。
妥協することなく
技術を発見する技術があれば
発明家になれる。
あらゆる権威を否定して
妥協することなく
自らの動機に接近する技術があれば
包括的な科学者になれる。

部分から推測される全体

すべての個人情報は部分である。
ビッグデータによる検索、共有、転送、解析、可視化などから
テロの防止、ビジネスの傾向の発見、研究のレベルの決定などが実行できる。
ビッグデータとは、そのすべての部分を集合させた全体から
部分のふるまいが推測可能なことを示している。
しかし、推測可能な全体を解析し、再び部分に応用するだけの世界が
しばしば完全に陳腐化されるのは、
人間が、部分からは推測不可能な全体の働きを突如発見してしまうからだ。
どの部分にも全体を予測できる要素は
まったく存在しなかった事実を認識する瞬間が訪れるのである。
つまり、個人の可能性は、すべての個人情報の集積をしても
部分からは推測できないのであるが
その経験から、もっとも怖れなければならないのは、
収集され捨てられていく個人情報ではなく
ビッグデータは重要な科学的発見の予測ができないにもかかわらず
ビッグデータの主導権が個人にないまま
ビッグデータの予測にしたがって、
群として現在を理解し未来を生きていく事実である。

ジオデシックライン

球面三角法に基づいた測量技術がなければ、
広大な領土を直線的に分割することは不可能である。
球面上の広大な領土を分割して、
地図上でその国境線が直線に見える場合は
その境界線はほぼ大円(ジオデシックライン)上に置かれている。
直線的に分割されて見えるかつてのオスマン帝国の国境線群は
数学的には純粋な大円という円弧によって囲まれているのである。
球面幾何学は、ルネッサンス以前も以後も
権力テクノロジーが主に教会内部で
古代の天文学と航海術から開発した数学である。