コスモグラフィー」カテゴリーアーカイブ

構造とパターン

理想的な構造とパターンをデザインしている人たちは
存在できない非現実をデザインしているにすぎない。
しばしば自然とは無縁であり続けるがゆえに
人間の理想は生きながらえる。
この半世紀間、テンセグリティ以上の構造とパターンを
発見できなかったのは科学的現実である。

固有振動数

稲の生長期間は日照時間や積算温度、
そして品種によって左右される。
人間の健康な胎児は人種や文化の違いに関わらず
10ヶ月間以下では誕生できない。
この独自な期間は、固有な時間周期(または振動数)に支配されている。
そして、知的爆発期を迎える10歳までのこどもの成長過程は
まだその固有な時間周期に支配されている。

ユーティリティ(有用性 utility)

古いアイデアを持たないだけで
新しいアイデアに見える。
しかし、真に新しい
前例のないアイデアは無価値に見える。
なぜなら、まだ存在しない概念を含んでいるからだ。
だから、その概念の希有な探求者以外の誰かに
相談しても無益だ。
真のユーティリティ(utility)は
最大多数の最大幸福を求める記号言語から生まれにくい。
ユーティリティはモデル言語から生まれている。
異なった複数の言語間のシンタックスとセマンティクスのために
こどもたちが自然に作るフォーマットのように。

職業

教師や両親が愛情深く子どもの将来の具体的な就職を望んだだとしても
「過半数の子どもは大学卒業後には
現在まだ存在していない職業に就くだろう」
パソコンのように
人間の職業ほど時代から陳腐化されるものはないのだ。
学校が職業のために存在するのは、時代遅れである。
通学と通勤という過去の分かりやすい同時的な現実を
維持しているだけの教育は終わっている。

基本モジュール

震度7程度で建物は倒壊するか、損傷を受けるが
飛行場や港に停泊した飛行機や船舶、そして駐車中の自動車は
大地の激震そのものによって破壊されたことがない。
象や鯨は、巨体であるが地震で骨折などしない。
進化の過程で骨格はその形態のすべての変容過程で圧縮機能を担ってきた。
生物学は骨格の形態と変容について観察はするが
そのシステムの形成方法とその理由についてはほとんど考察しなかった。
建築学も骨組みの構造に始終した圧縮の構造解析が主流である。
生物学も建築学も人類の生存上の緊急事態から切り離されている。
すべての構造を形成するのは原子である。
その原子核の構造を圧縮力だけで説明する物理学は存在しない。
斥力(repulsion)と引力(attraction)の相互作用から
すべての物質の基本モジュールは形成されている。

知的爆発時期

バックミンスター・フラーからもっとも影響を受けた
操作主義的なシナジェティクスの直観的な研究方法を
こどもの教育理論へと変換する私の方法と目的は
1981年の夏、バックミンスター・フラーの推薦と紹介で
最初にアメリカの教育財団によって採用され実行された。
この純粋な教育実験は、バックミンスター・フラー研究所にも近い
フィラデルフィアのフランクリン・ミュージアムで毎週日曜日に行われた。
アシスタントは高校の数学教師であった。
10歳児の知的爆発時期までに
この反対称性のシナジェティクスモデルとそのモデリングを
自発的に実践できる教育プログラムは、その後改良を続け
『コズモグラフィー』に記述された革命的なシナジェティクスモデル
とシナジェティクスの後継者による新たなシナジェティクスモデル群と共に
現在のシナジェティクス入門講座や
シナジェティクス・ワークショップでも使用されてきた。
そして、、私のワークショップ参加者(主に大学生や一般社会人)たちは
こどもの時に受講していたらもっと科学に興味が持てただろうという
率直な感想も含めて5歳児からのこども用のシナジェティクス教育プログラムと
大学院生までのシナジェティクス教育プログラムの基本的プログラムに
まったく差異がないという事実にだれも気づかなかったことである。
10歳児特有の知的爆発時期までとその後の教育プログラムの開発は、
21世紀においても惑星探査プロジェクトと同じように
未知なる存在とその形式を探査する行為に他ならない。

反対称性と非対称性

シナジェティクスの探究によって
「生命世界の非対称性―自然はなぜアンバランスを選択するか」ではなく
生命はどのように反対称性によって非対称性を回避しているのかを
説明できるにちがいない。
非対称性が均衡を破壊しているように見えるのは
あるいは、対称性が破れているように見えるのは
観察者の局所的な経験によって制限されている可能性がある。
シナジェティクスは、
反対称性と非対称性(鏡像対称性)とを明確に分離できる
シナジェティクスモデルを1981年に発見している。
反対称性のシナジェティクスモデルが発見されも
それまでの対称性の概念がまだ生き残っているのは
社会的な認識上のタイムラグではなく
モデルによる思考言語の破壊の方法にある。