コスモグラフィー」カテゴリーアーカイブ

無尽蔵的に、そして無差別に

新しいアイデアを作り出すには
昨日までのアイデアを
掛け替えることがアイデア以上に必要である。
昨日のアイデアの死なくして
いかなる更新もなく
その死なくしていかなる発見もない。
ウォークマンの死が遅すぎたように
どんな製品にも理論にも死が訪れる。
<掛け替えのない>アイデアは存在しない。
アイデアは無尽蔵的に
欠点は無差別に発見される。
そして、人間が思考した存在ではない
原理だけが生き残る。

大気圏の内部化

マルセル・デュシャンの『パリの空気50cc』 (Air de Paris) (1919年)
よりもはやく大気圏を内部化した人間はいない。
「パリの空気」は芸術作品であるが
内部化された空気のなかに住み続けるには工学が必要だ。
もっとも少ない材料で短時間に
組立と分解を反復して
移動するための『地球の空気』は
テンセグリティ・モバイルシェルター(2008年 by Yasushi Kajikawa)
によって内部化される。

続2)デルス・ウザーラーーーーLife Packingの原型

何らかの方法で自分以外の環境をデザインすると同時に
宇宙との関係性に変化を与える<Life Packing>は
21世紀の個人的な所有物の組み合わせからは構成できない。
モバイル用シェルターがまだ含まれていないのは
耐久性・耐候性・断熱性などの長期の生存機能に欠けた
アウトドア用のテントしか存在していないからだ。
極地的な用途で生まれたアウトドア用のドームテントは
軽量化を最優先にしたために長期間外部での使用には耐えられない。
最優先されるべき生活空間のテクノロジーは
大気圏という外部を未だ内部化できていない。

デルス・ウザーラ———-Life Packingの原型

デルス・ウザーラは狩猟採集民族の末裔であった。
食料や住居を確保するための最適な選択を日々しなければ
家族の死につながっていた。
シナジェティクスのモデル言語は
出来事の関係を空間的にかつ物理的に変換する能力を強化するために
その能力は生存の最優先課題であるシェルターの
デザインと製造という仕事に応用可能である。
出来事の関係を空間的にかつ物理的に変換する能力を強化するために
自律した空間構造をより少ない材料とエネルギーと時間で達成する作業こそは
かなりの知力を必要とする仕事である。
むしろ、野生の知力を呼び戻すための方法と
その探査がその仕事の中心かもしれない。
その知力が<自然選択>を推進した拡張領域に比べれば
現代人の<デザインによる選択>の範囲は
それほど縮退していないとしても、
食料や住居を確保するための最適な方法は
明らかに交換可能な知識や労働力
そして金融化された富だけでは達成できないのである。
生き残るための<Life Packing>に
モデル言語=メタフィジックスが関与する直観的な方法こそ
<海馬>にデフォルトとして設定済みの
超軽量でさえない重さのない最初のトリム・タブなのである。
しかし、モバイルを止めると急速に<海馬>が
干涸らびていくメタ言語系なので
人々は相変わらず、Life Packingグッズにその機能を求めている。

続)モデル言語とシナジェティクス

新しい概念に出会うために、
その概念を構成する言語を壊すことから始めるなら
新しい概念に出会う最大のチャンスがやってくるように
新しいシナジェティクスモデルに出会うために
そのモデルを構成する概念を壊すことから始めるなら
新しい言語に出会う最大のチャンスがやってくる。
モデル言語もまた
新たな言語形式を産出する生得的能力による
非物質化なのである。
それゆえに、シナジェティクスモデルは
具体性に置き換えられた存在ではない。
例えば
バッキーボールがテンセグリティに置き換えられる前に
テンセグリティが発見されていた事実を
説明できないだろう。

Cosmic Fishing

玄関から出て学校にいくよりも
裏口から出て裏山に出かけるほうが近く
そして、一日が長かったように
Cosmic Fishingに出かけた時の日没は
とても眩しく
そして、長く留まっている。
Cosmic Fishingとは
偶然に発見され、しかし、未だ言語化されない
シナジェティクスモデルとその原理の存在に触れた
瞬間からのすべての出来事だ。

モデル言語とシナジェティクス

美しいシナジェティクスモデルを作るのと
シナジェティクスモデルを美しく作るのとは違う。
しかし、シナジェティクスを学ぶときは
どちらも放棄すべき方法だ。
惨めな動機に出会ってはいけない。
単純にシナジェティクスモデルを作るのと
単純なシナジェティクスモデルを作るのとは違う。
シナジェティクスを学ぶなら
どちらにも挑戦すべき方法だ。
思考方法をより単純にするために。
しかし、もっとも困難なことは
単純なシナジェティクスモデルを発見することだ。
新たなシナジェティクスモデルを発見するためには
より包括的な思考方法を同時的に、
あるいは非同時的に発見しなけれならない。
自然には人間のような思考のルールが無いが
モデル言語は探査の過程に出現する。

続)構造について

構造の原理の発見者が
建築家であることは稀である。
建築(Architect)は、 構造ではなく
支配(arch)の歴史である。
支配(arch)は階級組織(hierarchy)を形成する。
支配(arch)は圧縮の歴史である。
そして、反建築とは、無政府(an-archy)を意味する。
構造を安定化させる原理は
本質的に無秩序(anarchic=支配のない状態)
から発見されてきた。

構造について

構造の安定性に自己表現は不要だ。
構造デザインに
オリジナリティは介在しない。
テンセグリティは
新しい構造をデザインした結果ではなかった。
原理の発見がこそが
前例のない工学的な閃きをもたらすだろう。

動的な順応

インフルエンザウイルスは、
有機体生命の細胞外では短時間しか生存できないので
その細胞内では自らの構造とパターンを
短時間に複製して生存する。
人間は社会の外では短時間しか生存できないので
社会の構造とパターンの模倣によって長期的に生存する。
その生存方法の歴史のほとんどは、
宇宙の中の人間の最適化のための順応ではなく
人間社会への服従にプログラムされる歴史である。
その服従のシステムを個々人が作り上げたプログラムに見せかける
個人主義的な世界像と刷り替える間に
ウイルスはより多くの細胞内で生き残るために
RNA情報革命を繰り返してきた。
彼らの情報革命は産業効率や搾取のためには使われない。
生存のための宇宙における最良の構造とパターンへの
動的な順応方法だ。