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シナジェティクスへの回帰2

バックミンスター・フラーのクロノファイルには
その単独者たちとのすべてのコミュニケーションが記録されていることを知ったのは、
彼の死後、1984年からクロノファイルが公開され、
その記録からカリフォルニア在住の、後にバックミンスター・フラー研究所のスタッフの紹介によって
世界に拡散している単独者たちが自発的にカリフォルニアに集合した1986年である。

我々は、まぎれもなくネクスト・フラーへの献身的な貢献者たちであったが故に、
直ちに連続的なシナジェティクス・ワークショップを開催できたのである。

そのテーマは、<シナジェティクスモジュール>と<展開型テンセグリティ>であった。

1990年に私が発見した<5回対称性のシナジェティクス・モジュール>をテーマとした
シナジェティクス・ワークショップは、カリフォルニア大学で開催され、
南北アメリカ大陸から総勢100名の参加者があった。

バックミンスター・フラーの
シナジェティクスおよびデザインサイエンスの後継者のほとんどが集合したのである。

シナジェティクスへの回帰1

バックミンスター・フラーのシナジェティクスへの回帰は、
ギリシア的思考の明晰さに執拗に接近する試みから開始された。

見失った思考方法を再考するためではなく、
非弁証法的なシナジェティクスのモデル言語の形成方法と
そのプリセッションによって引き起こされるプロトタイプまでの物質的変換過程において
産業的な様々な応用性をデモンストレーションするためだった。

彼の数学的発見は、数学的な証明方法よりも圧倒している。
プラトンではなく、アルキメデスのようにドローイングとモデリングによって、
幾何的原理とエンジニアリングを統合した先駆者のように。

この認識からシナジェティクスを拡張する冒険者たちは、
アメリカ以外では1970年代当時はそれぞれ単独者であった。

生活器(livingry)

眼鏡は江戸時代には、眼器と言われた。
眼器を通過する光は水晶体と眼球とに相互作用する
外部化された臓器として。

20世紀にバックミンスター・フラーは、
住宅(dwelling machine)を生活器(livingry)と呼んだ。

私がバックミンスター・フラーの翻訳者として
<livingry>を最初に日本語化した1980年代初期に、
生活器(livingry)を、武器(weapony)と対比させると同時に
水晶体と眼球が眼器を通過する光と相互作用するように、
生活器は、その内部で人間が生存するための
外部化されたメタボリックな器官に近いと感じたからだった。

車の自動運転システムが、
すでに運転手を必要としない実用化の段階にあるように、
生活器は、太陽系内で自動的に相互作用する光合成のような自律的システムになるだろう。

シナジェティクスは誰をも模倣しない

宇宙からの情報は、メタフィジックスを統合する。
未知は、既知となったその宇宙を統合する。
自然は未知以上である。
シナジーは自然以上である。

それらすべてを統合するコスミック(Cosmic Integrity)の存在を指し示す
シナジェティクスによって自己もコスミックと化す。

シナジェティクスは、
誰をも模倣しないための思考のtrimtabなのだ。

発明と自己規律

先行する他者のアイデアを盗作したかどうかを
判定する意識的なアイデア盗作判定方法は、
<自己を外部から見る方法>であり、自己規律に属する。

この自己を外部から見る自己規律は、盗作者の場合、
自己と他者を欺く方法として予めインストールされるのである。
そして、しばしば社会的評価に相応しい<動機付け>の捏造にまで遡る。
その<動機付け>さえ、他者の主観的な経験を盗む行為から始まっているのである。

自己規律なくして、自己のテクノロジーを外部化する発明行為は形成されない。

冷蔵庫、自動車、テレビ、パソコン、発酵工学など
21世紀の生活を支える主要な発明・発見のほとんどは、
すべて20世紀の大学の外で為されている。
この重要な理由は、21世紀でも研究されていないが、
産業をリードする発明家に相応しい自己規律は、大学ではほとんど形成できなかったからだろう。

テトラマ®(Tetrama)とは何か 世界初の正4面体の全方位的な世界地図投影法

テトラマ®(Tetrama)とは、全地球的な球状に形成された地理的情報地図に内接する正4面体に、
トポロジー的に変換して投影された4つの全方位的画像を、
同型な2個の連続した正6角形モジュールからなる正4面体の展開図に変換する世界地図の新たな投影図法である。

同型の2個の連続した正6角形状モジュールに変換された正4面体の展開図は、隙間なく平面充填することも可能である。

参照
全方位720度矩形画像モニタリングシステム

シナジェティクス方法序説

言葉は、自分の考えや経験を記録していく不可欠な道具であるが
その道具は、記録していく過程で変容する。
なぜなら、考えや経験は書くことでほとんど形成されるという相互作用を受けるからだ。

例えば、発見したシナジェティクスモデルを自らの手で具現化する時、
適切な材料の構成だけではなく、
それらを加工するための新しい方法の発見を伴う複数の経験から
モデル言語の形成過程と方法が露わになってくる。

しばしば、新たな方法の実験によって
更なるシナジェティクスモデルの発見もやって来るという相互作用は
確実に存在するメタフィジックスである。

この方法は、やがてシナジェティクスの独自な概念に変換される。
すべての発見されたシナジェティクスモデルには、モデル毎の経験の履歴が内包されるが
その情報は階層構造となっているので、非同時的に観察者の思考と経験にしたがって解読されていくかぎり、
理解における半世紀間のタイムラグはそれほど珍しくない。
理解は包含(comprehension)するための時間を必要とする。

「真の理解(comprehension)はつねに非同時的である。」(バックミンスター・フラー)

包括性

起こりえる他の可能性があるにも関わらず、
なぜある特定の出来事の流れに限って、他のプロセスに転位することができず
特殊な枷(かせ)だけが現実に生成されたかを問うことから、包括性への兆しが生まれる。

個別の出来事に包括的な情報が先験的に備わってはいないからこそ、
出来事と出来事との関係から発見される包括性は
他者と共有できる非同時的なリアリティをもたらす。