シナジェティクス」カテゴリーアーカイブ

熟考(consideration)

熟考(consideration)とは、語源的に
con(主体的に)sider(星々)との相互関係を構築する行為である。

デザインサイエンスにおける主体的な熟考は、
複製を前提にした設計図と直面する工具類と素材を
クリティカル・パスで対応する過程において
日々変化する環境を物理的に整備する行為と共にある。

個々の素材と様々な工具との相互関係が
単純化されていく時は、
素材と工具の配置パターンを劇的に変容させる。

シナジェティクス触媒(Synergetics catalysis)

数学的知識はその構造デザインの数学的背景を分析するには有用だが、
その知識は、シナジェティクスを習得し実践する
デザインサイエンティストの包括的経験から積み上げた
ユーザの想像力を誘発する単純化されたデザインに比べれば部分的でしかない。

原理的理解から発するシナジェティクスモデルに
可能な限り接近するための構造デザインを構成する
最小限の素材間の相互作用が
予測を超えた物理的機能に変換されてるからだろう。

シナジェティクスが、
明らかな触媒反応(‎Catalytic reaction)を引き起こしている時、
デザインサイエンティストは、
数学的知識には現れない物質変換に関わっている。

そして、コスモグラフィーからの不変の重さのない情報によって
引き起こされる構造の強度と剛性を加速する反応(シナジー)を再生させる。

続)シナジー>自然>未知という階層構造を超えて

シナジー>自然>未知という階層構造をさらに超えていくのは
宇宙の統合性(Cosmic Integrity)の存在である。

目的論と共に、宇宙の統合性を人間の生存空間において
再生するために物質化された装置<trimtab>の一つが
モバイル・テンセグリティシェルターである。

モバイル・テンセグリティシェルターは
水と食料とエネルギーが再生され続ける
<シナジェティクス回路>(=無柱、無管、無線、無軌道)に接続される。

不動産と絶縁するためのモバイル用の<trimtab>の開発に
必要なテクノロジーと部品類は、
ほとんどが既成品とその改造(2次加工)によって達成可能だ。

都市の課金装置ともっとも経済的に短期間に絶縁可能な<trimtab>の
開発に従事するのは、21世紀のアーティストサイエンティストである。

彼らのクライアントは、Cosmic Integrityの不可視の富だ。

シナジー>自然>未知の階層構造を超えて

自然を形態(form)だけから模倣できないように
未知(unknown)は、自然に含まれる。

シナジェティクスは
つねに未知の領域からやって来る信号(beep)を
直観によって解読することから始まる。

未知なる存在を包括する自然が
ついにシナジーを誘発する過程(process)と方法を
シナジェティクスは、視覚化してきた。

その過程と方法の再現において、
ユーティリティ(有用性)の物質化という要求から実践する方法は、
デザインサイエンスと呼ばれる。

道具と素材

局所的に従属化した種々の固有な方法を
その場から転位させ
予測できなかった効果的な方法を思い描き
再びその場でその機能の存在を確認できた場合、
局所的な分析に先行する
工学的方法の批判に基づいた発明に留まることなく
原理にまで遡ることができることを証明する機会なのだ。

つまり、もっとも効果的な方法は
入手可能な道具と素材だけでは解決しないのだ。

一般的な道具と素材は、
野生のメタフィジックスより、つねに遅れてやってくる。

反・建築コード(building code)

自動車のハンドルの左右の位置が、走行ラインの反転や
交差点内での異なる交通法規を生むように、
構造から空間をレイアウトする方法や
そのインテリアデザインなどによって
建造物の内部での動作や姿勢に関する習慣が生まれる。

思考方法や感情が人間の身体に対して
物理的に医学的に異なった影響を生むように。

形態と建築コードの相補的な関係をパラメータ化することで
形態と安全性とコストとの可能性を拡張するテクノロジーは
建築コードによって制限される。

しかし、意識や思考に作用するよりも
人間の身体に対して効果的に物理的に生理的に行使できるからこそ
建築物は、建築コードによって管理されてきた。

人々を物理的・空間的に配置する方法に従事する建築家やデザイナーは、
分断された専門家ゆえに
身体の政治的テクノロジーに関与していることに無関心を装う。

自然が採用する構造とパターンから生成された
超軽量で大地から自律する
無柱、無線、無管、無軌道のテクノロジーによって
生存方法の自律性とその自由度を生む
モバイル・テンセグリティ・シェルターは
本質的にだれの許可も要らない。

平均的な革命 

 「宇宙はテクノロジーである」そして「物理的宇宙は、
それ自体がすべてのテクノロジーを生み出している。」

このフラーの確信によって、
あらゆるエネルギーの無料化を達成できるテクノロジーを
支配する世界権力機構が科学者フラーを徹底的に孤立させた。

なぜなら、すでに発見された宇宙のテクノロジーに依存すれば、
「個人が必要とする(もの)はすべて、すでに支給されている」
という事実が露わになるからである。 

☆『宇宙エコロジー』
「平均的な革命」梶川泰司 2004
(バックミンスター・フラー+梶川泰司=著 18、19ページ)

クロノロジー(chronology)

バックミンスター・フラーが
デザインサイエンス革命の実践方法において
自ら革命と定義したとき、
彼のデザインサイエンスとシナジェティクスの講義を理解して
彼と直接コンタクトした世界中の学生の名簿を、フィラデルフィアではなく
ロサンゼルス時代のフラー研究所のアーカイブで見たことがある。
そこには、六千名のリストがあった。
私の名前も日本の古い住所のままでそこにあった。

片方向的なフォロワー(追従者)が
いま何を考えて、何を実践しているかに関わらず、
予知的な徴としての価値を持つ経験やシナジェティクス・モデルを、
アーカイブの内部から取り出す方法はつねに革命的である。

それは、クロノロジー(chronology)に基づくいた
<クロノファイル>と呼ばれている。

自らの行為の誤りとその正しさの客観性を主張する根拠は
<クロノファイル>が生成する時間(chronos)にある。

最初の素材

構造への尽きない興味は
最初の素材とはまったく異なった物質にする
統合力の見えないプロセスにあるに違いない。

構造は、非物質化に誘導しようとしている。
つまり、統合力そのものを
取り出すことは出来ないという現実に。