シナジェティクス」カテゴリーアーカイブ

変換効率

建築の単位体積あたりの重量・エネルギーコストは、
植物の有機体システムを構成する細胞単位あたりのそれらと比較されたことがない。
エンジンの燃費は、決して植物の光エネルギー変換効率と比較されない。

デザインサイエンスは
包括的な変換効率から生命のための構造をデザインする。

構造の歴史

構造は構造安定性について、
振動を有害なものとして疎外する言語でしか語ることができなかった。
構造への批判または構造学自体への批判を通してしか
耐震・制振・免震に関するすべての構造の概念は
存在できないのである。

しかし、テンセグリティ構造は
振動を有益な者として受容するのではなく
外力などの振動を分散する過程で
振動そのものが構造自体を形成しているのである。

しばしば地震によって
テンセグリティ構造はより強化されるのである。

振動しない原子核が存在しないように。

偽装したエコロジー

エコロジーの起源は
ダーウィン一派の適者生存説を推進していた
動物分類学の権威ヘッケルにより、
生物学の一専門分野として創設されたにすぎない。

科学で偽装したエコロジーは
先験的メタフィジックスが決定的に不足したまま開始された。

分断されたエコロジーは
その後、地球温暖化説に利用されたのだ。

計画的偶然(precession)

デザインサイエンスが
自己に関わる現実のプロセスを反映したデザインから形成されると
思い込んでしまう一方で、
デザインサイエンスのプロトタイプ制作は
その資金調達において
もっとも平凡な方法に陥ってしまった。

デザインサイエンスのプロトタイプ制作に
必要な道具類や素材、そして制作環境は
プリセッション(計画的偶然)から始まる。

デザインサイエンスに
資金調達のためのプレゼンテーションは存在しない。

原理の発見のみが
デザインサイエンスの開発エネルギーと物質を誘導する。

非論理性

テンセグリティ構造は、構成要素であるはずの張力材と圧縮材を主体にしても、
分析されえないにも関わらず発見されたのであるが
テンセグリティの全体機能が分かったのは、その発見後である。

このシナジェティクスの非論理性の習得は、子供の時にしか理解できない。

真理の構造学

クリティカル・パス[=真理の構造学]における権力メカニズムの分析から、
社会の中で展開される闘争・対決・闘いと
その戦争の諸要素である様々な権力戦術によって
生産される様々な知がどのように作用するかが理解できるようになる。

その理解から生まれる新たな知が
これまでの権力戦術よりも
より統合された知を生んできたところに
真理の構造学がある。

シナジェティクスの探究においても
すべての科学的・数学的な概念形成過程に無関心ではいられない。

私の知る限り、『クリティカル・パス』を深い関心と共に
自発的に読み始めた13歳の少女に、
理科と数学の理解に明解な変化が始まった背景を説明できる。

もちろん、『クリティカル・パス』を写本するだけで
それらの成績が飛躍的に向上したことは
真理の構造学の目的ではなかった。

思考衛星

宇宙の諸規則の対する忠誠(faithful)という考え方が
前世紀から消滅しつつあり、既に消滅してしまった。

『コスモグラフィー』(バックミンスター・フラー著 梶川泰司 訳 白揚社 2007)は
最晩年のバックミンスター・フラーによるシナジェティクスへの入門書でも、遺稿でもない。

神秘とメタフィジックスの不在に応え
かつ<integrityの存在>に応えるべき探求は、
シナジェティクス原理の発見とそのための思考方法となったのである。

地球外探査衛星のように
バイオスフィアを外部から自在に探査する
重さのない一つの思考衛星なのだ。

構造における坐屈(buckling)

構造においてすべてを行うことが許されているような建築は一つとしてない。

そして、シナジェティクスは、
創造性によって自由な構造が始まるのではなく、
建築が坐屈(buckling)の境界と
超えるべからざる記号のテクノロジーと共に始まるのだということを知っている。

シナジェティクスは、概念モデルの発見の無限性と同時に生じる
<概念の牢獄>の破壊によって、
はじめて坐屈を無化する構造が
支えられているのだということを絶えず再考する。

階層化

シナジェティクスは、複数のモデル言語を
それらの多様な現象的存在において差異化し
それらに固有の永続性において
階層化するシステムである。

アンチ・トレードオフ(Trade-off)へ

デザインサイエンスにトレードオフ(Trade-off)は存在しない。
トレードオフとは、
一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという段階の概念である。

シナジーが、より少ない資源、エネルギー、時間によって
効果的な機能を生成する過程に
どんなトレードオフも存在しない。

トレードオフ(Trade-off)を必要とする存在形態は
予測される部分の寄せ集めの全体にすぎない。