掃除機で掃除機を掃除できる掃除機能は、
掃除機自身には装備されていない。
同様に、洗濯機を洗濯する洗濯機能は
洗濯機には存在しない。
ウオッシュレットを掃除できるウオッシュレットはあるが
トイレ全体を掃除する便器はまだ存在しない。
しかし、人間にはバイオフィードバック(生体自己制御)は可能だ。
この機能は、自己のテクノロジーに含まれる。
掃除機で掃除機を掃除できる掃除機能は、
掃除機自身には装備されていない。
同様に、洗濯機を洗濯する洗濯機能は
洗濯機には存在しない。
ウオッシュレットを掃除できるウオッシュレットはあるが
トイレ全体を掃除する便器はまだ存在しない。
しかし、人間にはバイオフィードバック(生体自己制御)は可能だ。
この機能は、自己のテクノロジーに含まれる。
『シナジェティクス1&2』を読んでいた頃にとったノートやモデリング
そして、バックミンスター・フラーの講義ノートやビデオ映像などは
引越しの度に整理したけれども
5年前の引越しの時には新しいスタジオまで10トン車で移送しなければならなかった。
私のメタフィジックスのすべては
バックミンスター・フラーのシナジェティクスの読解によって決定された。
そしてデザインサイエンスのプロトタイプは
シナジェティクス・モデリングによる発見によってデザインされてきた。
次の引越しは、このプロトタイプになるだろう。
否、移動という概念はもはやこの居住機械には相応しくない。
シンメトリックな対称性を発生させる
回転軸のない居住機械は太陽系に居住できない。
対称性こそがモバイル機能を形成するモジュールをデザインしている。
自己の思考と行為。そして存在の在り方に対する
一定の操作を実現することができる。
天球儀はそのような意識操作からデザインされたのだろうか。
その過程にシナジェティクスモデリングとの
相違はほとんどない。
モデル言語とは何か、
モデリングによる未知の概念の視覚化という驚くべき経験は、
いったいどにような操作から形成されるのか。
モデル言語が
未だ存在していない概念の
未だ存在していないモデリングから形成されるかぎり
シナジェティクスは、この問題を再発見しつつある。
自由であるはずの一人の認識主体だけの操作からは
発見され得ない。
シナジェティクスの魅力は
原理の発見によって
最初の矯正された自己を否定する視点を
失うことがないことかもしれない。
正当なる人間の異常さを超えるための
神秘との出会いとを。
どのような単純な要素を使って構造が組み立てられるかは
テンセグリティの発見から始まった。
どのような既製品を使って空間が構築されるかは
テンセグリティシェルターの開発から始まった。
5年の歳月が費やされ
フライズアイのモノコック構造を
テンセグリティ・シェルターに変換できたのは
偶然のデザインではない。
この動くシェルターは
シナジェティクスもデザインサイエンスも書き換えられるまでに
漸進的変化を遂げなければならなかった。
「デザインとは異なった原理の調整」(バックミンスター・フラー)なのである。
土地に働きかけようとしなかったなら
死を受け入れる情況から
生存するのに必要な道具を発明し
生産する方法を他者と共有しなければ
死を意味する産業化から
仕事をするのに銀行に働きかけようとしなかったなら
社会的に存続できなくなる金融化を
通過した段階においても
デザインサイエンスはよりいっそう効果的に展開される。
軍事的球状情報ネットワークが
個人へのインターネットの普及コストをユーザに負担させることによって
意図的に加速させて軍事的インフラを強化したように
先進的なあらゆる素材とその加工方法と加工技術に関する情報とコストは
インターネットから求められる。
小さなスタジオの生産性に関する全機能は
かつての企業の巨大工場の設備から得られる機能を
凌駕しているのである。
この21世紀的エフェメラリゼーションは
部分から推測できない全体への到達時間を
明らかに短縮しているのである。
学校における学力と所得の階層化を通じて個性化が求められる時代に
シナジェティクスとデザインサイエンス教育があるとすれば
個性化の破壊プログラムとして映るに違いない。
実際、個性化とは独創性を封じ込めるための
一種の身体矯正なのである。
シナジェティクスとデザインサイエンスは
成長段階のこどもの集団性によるモデル言語の創出から開始されるからであり
学校が管理維持する権力による記号システムが最も恐れているのは
その生得的な力なのである。
シナジェティクスは、反個性化へのメタフィジックスである。
それは構造を分析することでも、その分析の基礎を構築することでもない。
デザインサイエンスの目的は、構造とパターンにおいて
人間が空間に服従化されている
様々な空間様式についての歴史から
数学的に科学的に、そして心理的に離脱することであった。
モバイル・テンセグリティシェルターを自らデザインし、
プロトタイプを製作し、
そして複製化可能な製品化へのプロセスは
そのもっとも効果的な手段を形成する。
個人化のための空間形成によって
主体化を矯正するこれまでの空間産業化が存続できないように。
デザインサイエンスのプロトタイプとは
国家とそれに結び付けられた
都市集合型の個人化の企てから解放する概念の母型を物質化する
包括的な行為である。
そして最軽量化された構造こそ
原理とその発見によって
もっとも非物質化された構造とパターンを内在しているのである。
5年を経過したデザインサイエンスプロジェクトは
いよいよ原寸大のモジュール製作に移行する。
戦争の危機からの解放ではなく
国家と経済に結び付いた戦争化への企てから
自らを解放する方法とは何か。
その企てを拒否するプロセスによって
主体性への操作主義を加速していく方法に違いない。