膨大な利益確保のためのエネルギー資源の輸送を閉じた「パイプシステム」や
局所的な地域ごとの電力ネットワークで独占する国家によって
許可される住宅・都市建築との全面的対立をとるのは、デザインサイエンスの目的ではない。
自由を拡大するテクノロジーの単純さの方向性である。
「デザインサイエンス」カテゴリーアーカイブ
モバイル・シェルターの環境制御
モバイル・シェルターの環境制御とは
回転する角度・屈折・反射・磁力、重力などの
異なる物理的作用を相互に関連づけながら
選択可能な環境的要素とそれらが織りなすプロセスを
包括的に管理する技術である。
相互に関連する環境的要素とは、
光(エネルギー)、温度(断熱)、太陽の軌道(方位)、空気(流体)、水(湿度)、
植物(光合成)、微生物(共生)、人間の主体(メタフィジックス)である。
抽象的思考
物質から生まれる漸進的変化は、つねに抽象的であるが、
抽象的思考をメカニズムにまで変換するには
それを思考する人生よりも長い時間がかかっている。
抽象性にはパターンが存在しないので
人々はパターンを複製することから始める。
科学的発見方法が一般化できないように、バックミンスター・フラーの抽象性は、
まだ5%も具現化されていない。
予測的デザインサイエンス
自然は何をしようとしているのかを考察し、為すべきことは何かを考える場合、
あるいは、後者の方がより困難な場合に、予測的デザインサイエンスが開始される。
その過程において、
誘導されることが目的化される疑似神秘学につねに憑依されない
自発的な真の目的意識だけが、シナジェティクス原理群へと誘導される。
その過程が実在するいくつかの経験から自己のテクノロジーが形成される。
2点間の最短距離
地球上で、もっとも遠い場所は、移動距離または移動時間からではなく
自分の家からちょうど半周した裏側だ。
この概念から、ジオデシックライン(測地線)が生まれた。
しかし、この球面上の2点間の最短距離の概念こそが
バックミンスター・フラーのジオデシック理論を
特殊理論にしてしまったのだ。
2点間の最短距離の概念から、もっとも経済的で実用的なシェルターはデザイン出来ない。
もっとも経済的で実用的なシェルターは、新たな原理から構成される。
それを証明する一般化したネオ・ジオデシック理論と
そのシナジェティクスモデルは完成している。
報道の自由度
報道の自由度が、もっとも高いノルウェーなどの北欧3国やアイスランドは
石油資本の依存度が低い再生可能エネルギーを推進した地域である。
(アイスランドが銀行を救わずに金融機から脱したのは、
事務所や一般家庭の電力や温水を全て地熱発電で賄うことができたからだ)
火山国の日本で地熱発電を推進すれば、無人で運転可能であるばかりか、
原子力発電所8基分に相当する電力エネルギーを恒久的に供給できる。
ウランや石油などの枯渇性エネルギーに依存した結果、
日本の消費者が支払うエネルギーコストは、先進諸国ではもっとも高い。
地熱発電は、バイオスフィアでの再生可能エネルギーによる
生活の自律度と報道の自由度に影響しているが故に、
日本の地熱発電は、意図的に低くされている。
エネルギーの自律度と報道の自由度は比例する。
より働かない自由
より効果的なテクノロジーを目指している
AI,EV、自動運転、カーシェアリングが、
より働かない自由を拡大するテクノロジーではない。
それらは、19世紀的な住宅コストと、水と食料の放射性汚染問題を解決していない。
失業率と求人倍率を調整する権力テクノロジーと
調和するテクノロジーへと矯正され続けている。
より働かない自由は、テクノロジーの副産物ではなく
人類の目的の一つである。
続)発芽テクノロジー
自然発生的な糧に依存する経済活動から、
大地に働きかける予測的な計画へと移行するに従って、
収穫に対する祈りから、豊饒な喜びへと変化し、
さらに、工業が農業から離脱して形成された都市では
ついに祈りと喜びのすべてが消滅した段階に至り、
生存するのに必要な仕事と富を持てない人々が死んでいく格差社会では
死の脅威のもとで労働することが暗黙に了解される。
植物の生存には、発芽の条件と成長の条件は分離できないが
他者のサバイバルに対する配慮を欠いた暗黙社会では、
自然発生的な糧に依存する経済活動が不可能だと思わされている。
自然は、自然発生的な糧に依存する種々の存在による
経済活動の無数の相互作用の集積である。
発芽テクノロジー
人類は、太陽光と空気、水、そして温度で
植物の発芽を制御する遺伝子をデザインしたわけではない。
その機能を複製し実現するコスト計算はまだ不可能な段階にいる。
火星計画には、バイオスフィアの既成の<土壌と種子>が移住する方法が採用される。
もっとも安全で経済的、かつ軽量だからである。
構造の恣意性
実践的デザインサイエンスは、
テロ対策の背景にある自由と人権に制限を加える政治的な観念、
さらに、人間の生活に関する普遍的必然という観念に対立する。
シナジェティクスにおける構造の分析とは、構造が持っている恣意性を明らかにし、
実践的シナジェティクスは、
普遍的な構造とパターンにおいて自由な空間をいかに享受することができるかという
デザインサイエンスの領域を共有するだろう。
内部空間の質的変化をさらに生み出すことができるかを明らかにする行為が
建築コードと対立しないまま、例えば、モバイルシェルターを支える構造とパターンも
発見されなかっただろう。
これまで発見された自然の構造が、
人間の独創性から生み出された構造と一致したことがないのは、
ほとんどの構造の恣意性が、間違った独創性への欲望から作られているからだ。