デザインサイエンス」カテゴリーアーカイブ

矯正する空間

住宅の空間機能は人間の意識を
矯正する空間になるばかりか
精神病を発現させる可能性が高い。

仮設住宅でその隠れた機能は
短期間に、そして
最大限に現実化する。

本来の空間機能は
物事の在り方に気づき、同時に自己との関わりを向上させる。

自分を住み家を、自分で作り出し
自分で管理し、修理できない哺乳類は
人類だけである。
住み家制作を専門分化し、その所有のみに従事したのは
怠惰に矯正された結果である。

これまでの住宅の空間機能に
エネルギーと食糧、そして水の包括的な再生装置が
まだ組み込まれていないのは、
意識的な進化を自負する哺乳類としては、もっとも不完全で
不健全である。

シナジェティクス3へと続く

驚くほどシナジェティクスが枯渇していると感じ
デザインサイエンスが21世紀で
もはや望ましいものでないとするなら
クリティカル・パス方法を更新し
新たなデザインサイエンスを発明するか
シナジェティクスに代わる
別のシナジェティクスを発見しなければならない。

さもなくば、バックミンスター・フラーなき
1983年以後の停滞した余分なものとしての
シナジェティクス3に違いない。

シナジェティクス3の探査が
デザインサイエンス革命という課題によって支配されていないかぎり。

浮遊する構造

構造物の基礎部分が大地に依存するかぎり
そして、大地にその構造物のすべての自重を流し続けるかぎり
すべての構造は、マントルに浮かぶ大地につねに浮遊しているのである。

不動産を支える疑似構造学が
注文住宅のオリジナルデザインによって
建築ビジネスに埋没している間に、

外洋の荒波や乱気流でも
破壊されないで快適に浮遊する空間構造は
すでに開発済みだ。

船舶や航空機以外で大気圏内を浮遊し移動する空間構造は
テンセグリティによって
もっとも現実化したのである。

すべての浮遊し移動する構造は、
もっとも安全である。

徐々にではなく、つねに急激に

宇宙の原理の発見によって
産業の次に経済が、経済後の政治によって、
それまでの人々の生活水準に関する種々の制限を
徐々にではなく、つねに急激に突破してきた科学産業史を
政治は無視していることで政治は成立する。

人権や自由は、
エネルギーや食糧と同様に、工業化の諸段階において
徐々に制限されるべきだなどとは
企業にも政府、そしてメディアにも言えないのだ。

アジア的デザインサイエンス

雨水から、そして生活雑水やトイレの複合タンクから完全に
飲料水を再生し、永遠に循環させるた独自な自律的インフラを設備する
非・資本主義的なモバイル・シェルターは、
西欧文化の圏外にしか生まれないにちがいない。

アジア的デザインサイエンスは
あまりにも資本主義に特有な権力構造によるインフラ課金形態を
越えなければならない。

アジア的デザインサイエンスにクライアントは不要だ。
宇宙の原理群の純粋なユーザとなることによって
最小限の大気圏内モバイル用の宇宙船を建造できる。

アジア的デザインサイエンスは
エネルギー生産だけではなく
稲作を中心とした食糧生産のテクノロジーと
水の完全再生テクノロジーとを統合するであろう。

動くシェルターは、つねに動くバイオスフィアと相互作用する。

クリティカル・パスの形成

デザインサイエンスは
可能な解決を退けるような
専門分化した解決方法や批判を破壊するのではなく
プロトタイプによって
それらを陳腐化する実践行為とそれを支える理論化過程を含む。

その過程で
はじめてモデル言語を理解することができる。
その言語形成の能力が
講義や読書などの学習形態から習得されることはないだろう。

アンチ・リダンダンシー

建築ビジネスに於いて
構造設計家は安全率を高くするために
構造計算の結果よりも
数倍の無駄な補強を構造に与える保守的な態度によって
自らリダンダンシーの奴隷になっているかもしれない。

安全率が大きい場合、予測の不確実性が大きいので
リダンダンシーという概念を用意したとも言える。

より高く長距離で飛行するための
より大きな鳥の翼は
余剰の多さを受容する方法を排除して
歩行にはまったく不向きになっている。

航空機の構造デザインでも
予測の不確実性のために
素材の重量増加に依存する習慣は排除されてきた。

必要最低限のものに加えて余分や重複を許容する態度や
そのような余剰の多さを受容する方法は
有機体生物の場合は確実に絶滅の要素となっている。

その絶滅の要素こそが
リダンダンシーによって利益率を高くする方法であり
ほとんど詐欺師のノウハウである。

専門分化したエンドユーザ

ほとんどの建築家は
建築コードと構造解析プログラムの
単なるエンドユーザである。

彼らはそれらを変化させることはない範囲の
安全率(safety factor)で建築ビジネスを運用する。

もし、そうでないなかったなら
この現在の仮設住宅に関する前世紀の法律を
前世紀までにすっかり陳腐化できていただろう。

ジャンボジェットの翼は
ナイアガラの滝の上から
機体を自由落下させてもその翼は機体から
もぎ取られないように構造全体が設計されている。

さもなければ、上空一万メートルで発生する
エアータービランス(乱気流)の中を安全に飛行できないのだ。
エアータービランスの衝撃はマグニチュード8をはるかに超える。

安全率を意図的に高くできることは
危険性を予測する不確実性が高い事実を隠蔽できると共に、
自分たちの責任回避の手段に利用することができる。

安全率の高さは必ずしも安全性の高さではないことは
大災害ですでに証明されてきた。

すべての構造に関する専門家は、
法律上の安全率が提供するマージン (margin) に依存した
エンドユーザであってはならない。

机上の耐震基準では生存できない理由

1.
すべての構造は
最終的にその構造毎に破壊実験をしなければ
耐震基準を満たしているかどうかは不明である。

2.
さらに、耐震基準は
同一の構造でも設計者の方針によって異なる数値となるので
構造解析プログラムを用いてほとんど簡易に算定されている。

3.
基本設計を担う建築家は
この構造解析プログラムにはまったく不慣れである。
彼らは専門性によって構造解析を分業する。

4.
しかし、設計者自らが構造解析プログラムと連動してデザインする自動車や飛行機は
量産される前に破壊実験をしている。
その設計方法の根拠は破壊実験を通してのみ
構造解析プログラムが修正される関係にあるからである。
(量産されるプレハブ構造以外では経済的に破壊実験を実施するのは不可能である。)

5.
耐震基準と実際の構造物は
つねに机上の理論(desk theory)で仮想的に関係してるだけである。

6.
土地資本主義から引き継がれた
グランチの時代遅れの方法論で建築ビジネスが維持される時
建造物の崩壊で死ぬ可能性は机上の耐震基準ではけっして軽減されない。

7.
真の構造は仮想的な関係を
完全に排除する科学から生まれるのではなく
その科学的方法によって発見されるだけである。

以上の理由から
人類は、机上の耐震基準ではバイオスフィア内には生存できない。

デザインサイエンスの目的論

テクノロジーの社会的役割は
記号的現象の上にその現象に抗して
新たな記号を打ち立てると共に
その記号に新たな現象の生成と目的を与えることにあるだろう。

テクノロジーは
個人による自由な発明という形式のもとで
新たな記号と目的論を相互に相殺する機能を持っている。

アインシュタインによる冷蔵庫の初期の発明には
力学的、熱、化学、電気、光などのエネルギーは
それぞれの形態に移り変わるがエネルギーの総和は変化しない
というエネルギー保存の法則による
具体的な操作主義が介在していたように。

そして、第一次世界大戦において
その兵器ではない発明が
外洋上の兵站戦の最重要な軍事的テクノロジーを形成したように。

21世紀のデザインサイエンスによる
テクノロジーと目的論は
モバイルシェルターの発明なくして
ほとんど機能しないだろう。