デザインサイエンス」カテゴリーアーカイブ

バイオフィードバック

掃除機で掃除機を掃除できる掃除機能は、
掃除機自身には装備されていない。
同様に、洗濯機を洗濯する洗濯機能は
洗濯機には存在しない。

ウオッシュレットを掃除できるウオッシュレットはあるが
トイレ全体を掃除する便器はまだ存在しない。

しかし、人間にはバイオフィードバック(生体自己制御)は可能だ。
この機能は、自己のテクノロジーに含まれる。

シナジェティクス・スタジオ

『シナジェティクス1&2』を読んでいた頃にとったノートやモデリング
そして、バックミンスター・フラーの講義ノートやビデオ映像などは
引越しの度に整理したけれども
5年前の引越しの時には新しいスタジオまで10トン車で移送しなければならなかった。

私のメタフィジックスのすべては
バックミンスター・フラーのシナジェティクスの読解によって決定された。

そしてデザインサイエンスのプロトタイプは
シナジェティクス・モデリングによる発見によってデザインされてきた。

次の引越しは、このプロトタイプになるだろう。
否、移動という概念はもはやこの居住機械には相応しくない。

シンメトリックな対称性を発生させる
回転軸のない居住機械は太陽系に居住できない。

対称性こそがモバイル機能を形成するモジュールをデザインしている。

テンセグリティ・シェルター

どのような単純な要素を使って構造が組み立てられるかは
テンセグリティの発見から始まった。

どのような既製品を使って空間が構築されるかは
テンセグリティシェルターの開発から始まった。

5年の歳月が費やされ
フライズアイのモノコック構造を
テンセグリティ・シェルターに変換できたのは
偶然のデザインではない。

この動くシェルターは
シナジェティクスもデザインサイエンスも書き換えられるまでに
漸進的変化を遂げなければならなかった。

「デザインとは異なった原理の調整」(バックミンスター・フラー)なのである。

小さなスタジオ

土地に働きかけようとしなかったなら
死を受け入れる情況から
生存するのに必要な道具を発明し
生産する方法を他者と共有しなければ
死を意味する産業化から
仕事をするのに銀行に働きかけようとしなかったなら
社会的に存続できなくなる金融化を
通過した段階においても
デザインサイエンスはよりいっそう効果的に展開される。

軍事的球状情報ネットワークが
個人へのインターネットの普及コストをユーザに負担させることによって
意図的に加速させて軍事的インフラを強化したように
先進的なあらゆる素材とその加工方法と加工技術に関する情報とコストは
インターネットから求められる。

小さなスタジオの生産性に関する全機能は
かつての企業の巨大工場の設備から得られる機能を
凌駕しているのである。

この21世紀的エフェメラリゼーションは
部分から推測できない全体への到達時間を
明らかに短縮しているのである。

デザインサイエンスのプロトタイプ

それは構造を分析することでも、その分析の基礎を構築することでもない。
デザインサイエンスの目的は、構造とパターンにおいて
人間が空間に服従化されている
様々な空間様式についての歴史から
数学的に科学的に、そして心理的に離脱することであった。

モバイル・テンセグリティシェルターを自らデザインし、
プロトタイプを製作し、
そして複製化可能な製品化へのプロセスは
そのもっとも効果的な手段を形成する。

個人化のための空間形成によって
主体化を矯正するこれまでの空間産業化が存続できないように。

デザインサイエンスのプロトタイプとは
国家とそれに結び付けられた
都市集合型の個人化の企てから解放する概念の母型を物質化する
包括的な行為である。

そして最軽量化された構造こそ
原理とその発見によって
もっとも非物質化された構造とパターンを内在しているのである。

5年を経過したデザインサイエンスプロジェクトは
いよいよ原寸大のモジュール製作に移行する。

純粋な数学

デザインサイエンスに対して距離を取りつつ
ついにシナジェティクスを学問化する考えに批判的だ。

シナジェティクスなきデザインサイエンスも
デザインサイエンスなきシナジェティクスも存在しないからだ。

デザインサイエンスを直接に実践すると同時に
シナジェティクスを探究するべきだからではなく
デザインサイエンスを遂行する人々がつねに
シナジェティクスの諸原理を発見してきたからである。

新たなシナジェティクスモデル群の存在を公開する前に
デザインサイエンスのプロトタイプを完成させるプロセスにこそ
最大のプリセッションが介在するだろう

デザインサイエンスの実践理論とその経験を通じて
シナジェティクスのモデル言語は漸進的変化を遂げる。

シナジェティクスは純粋な数学に止まれない。

コスト計算

デザインサイエンスを装ったコンセプトに
気取ったシナジェティクスモデル、あるいは
懲りすぎたテンセグリティモデル以外に
その根拠が見出されない場合
先行技術をなにも超えていない事実を
いかに隠すかというある種の技術に始終する。
たとえば、コスト計算から合理性を得るような方法とか。

真の技法は、
しばしばモデルの中に潜んでいる。
それらが劇的なコスト計算をもたらすのである。

足場のない構造

テンセグリティについては、
<張力材のある>ものと<張力材のない>ものとの対比や、
圧縮材主体の優位性と固体性、
これまで考案されたテンセグリティモデルの生成過程
(学習用のテンセグリティモデルの生成過程ほど
テンセグリティから逸脱していくものはないのである)と
構造に対する定義を放棄しなければならない。

認識の主体から生み出された概念ではないとしたら
テンセグリティの起源は
新たな認識形態と認識領域を規定するにちがいない。

自然におけるテンセグリティは
足場のない構造の生成を前提にしている。

原型的構造

個人を監視し、管理し、動機を排除しながら学習させ、
繰り返し矯正していく仕組みに追い込まれることに順応させ
日常的に個人を圧迫する言動や組織を支持するシステムを
最終的に教室やスーパーや道路上、そして映画館でさえも拒絶するのは、
自由への原型的構造である。

そして、それはデザインサイエンスを試行する
鋳型(=プロトタイプ)形成への前提である。

原型的構造は監視された動機からは生まれない。