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ドメイン

子どもは積み木が好きだ。
子どもが好きなのは立方体という形態ではなく
それらの結合の方法である。
自然はもリンゴも卵も星も、そして子どもの頭蓋も
立方体以外にデザインした。
われわれの環境だけが立方体で満たされていることは
偶然ではないだろう。
月や火星計画で立方体の装置がほとんど採用されていないのは、
立方体が効率的になるような法律と社会は
大気圏外では効果的に機能しないからだ。
シナジェティクスに積み木という概念は存在しない。
空間は領域(ドメイン)に分割できる。
最小限のドメインを集積するとほとんどは立方体にはならない。
(つまり、立方体は最小限のドメインではない)
最小単位としてのドメインはすべて有限な種類の4面体モジュールとして
この半世紀間に発見されてきた。
4面体モジュールは子どもにとって、積み木よりもおもしろい現実にちがいない。
シナジェティクス・モジュールに関する唯一の日本語の書物は
『コズモグラフィー』シナジェティクス原論
バックミンスター・フラー著(白揚社 2007)である。

責任

巨大プロジェクトに従事させる開発者に
プロジェクトに見合った責任をもたせないのは、
知性が低下するからである。
政治家が兵器の製造や購入の権限を軍部の専門家に委譲したのは、
政治家もまた責任よりも知性を重んじたからである。
あらゆる兵器はこうして開発されている。  Y.K

イメージから

「塵も積もれば山となる」
どんな微少な存在も質量をもっていて、やがて
目に見える鉛直荷重的存在となる場合があるので、
小事をおろそかにするなという戒めから
平凡な蓄財経験主義に堕落したモラルになる。
部分的な仕事を繰り返しても、
日々の蓄積に期待する大変化はやってこない。
個々の出来事の相互関係から全体像はつねに描かれない。
ある日突然、全体像の向上が感じられた時が、
分節化の始まりと考えられる。
ここには鉛直荷重だけで集積する単純な山はなく
出来事の相互関係という張力が介在する。
張力は距離にも断面積にも制限されない。
分節化という最初の統合化の兆しは、
イメージを伴う動詞に表れる。
「はじめにイメージありき」
全体は積もった絶対量ではなく、
質量のないイメージから始まるのである。  Y.K

色彩エコロジー

寒冷地でも黒色の車種が
エレガントな存在として若者の間で支持されている。
砂漠の日中の熱反射から身を守る色が白色であるように、
寒冷地の極低温から断熱する色は黒色ではない。
太陽がない夜間、黒色には他の色よりも物体を効果的に
冷却する冷凍庫のような機能がある。
車内が夏暑く冬寒いとなれば、
一年中エアコンに余計なガソリンを消費するので
寒冷地の黒色のすべての車種により課税する場合の
もっともらしい理由となる。
少なくとも樹は地表温度を上昇させないために
もっとも効果的な色を葉に採用してきた。
その結果、森のすべての葉の表面積は森の大地よりも大きい。
急激な外界の変化に恐竜の体温調節が間に合わなかったのは
体積に対する表面積比であったように、
都市のすべての車と家の表面積はいまや都市全体よりも大きい。
宇宙物理学的に自分の好みで
家や車の外観色を選ぶ商品は時代遅れである。
色彩エコロジーは、開発済みである。  Y.K

酸素

特別な呼吸法を知らないで、5分間空気が遮断されれば、人間は死に至る。
人間は空気に対して選択肢が持てないほどの、
有り余る大気が与えられている。
60億を超えた人口に対してまだ酸素は、不足する事態には至っていない。
(正確には、大気に国境がないので
食料のように不足の状態が作れなかっただけである。)
酸素は、資本主義も共産主義でも最初から社会化されている。
それゆえに課金メータを設置できなかったのである。  Y.K

残像

現象の遅延は単に脳のメカニズムの限界によって生じる。
認識するためには残像を待たなければならない。
モデリングからモデル言語の認識まで1年以上待つことも稀ではない。
シナジェティクスは
固体という概念のミステイクの発見まで、25世紀以上も待った。
概念の遅延は主に言語によって生じるからだ。  Y.K

ファイアウォール

都市は城壁とともに始まった。
それは、物流の拠点としてだけではなかった。
情報もファイアウォールの構築から始まる。
食料自給も「軍の中継点」の
ファイアウォールの構築として始まる。
世界権力機構が意図的に日本の食料自給率を低下させたのは、
稲作の伝統が光合成の非現金化のためのファイアウォールとして
もっとも怖れられたからだ。
(ベトナムもアフガニスタンも稲作地帯である。
中国は小麦・大麦地帯である)
一粒万倍は、計算を基礎にした活動(=logistics)、
つまりシナジーのアジア的非武装ファイアウォールの伝統である。
私が18年間玄米を食べてきたのは、健康のためだけではない。
生存方法としてもっとも自由を拡大するからだ。
たとえば物流とリスクの分散化機能としての見えない城壁である
キャッシュカードや生命保険への依存度を低下させる。  Y.K

短縮系

長い名詞や文節、そして電話番号などは短縮登録できる。
人間は宇宙でもっとも複雑な有機体だったので
宇宙の神秘を意識させないように短縮系にデザインされた。
しばしば無意識に宇宙の記憶が断片的に残っている。
飛躍的な原理の発見をもたらすメタフィジクスは、
経験的に証明可能な可能な状態で
宇宙の記憶を呼び戻すのである。 Y.K

2%

歴史を通じて、人類の 99.9 パーセントは、
地球の全表面のわずか10 パーセントのなかに住んでいたにすぎない。
都市は全表面の2%しか占めていないが、
この瞬間にもエネルギー資源の75%を消費している。
この2%による破滅が宇宙に影響を与えている。
この認識は地球人を地球エコロジーから宇宙エコロジーに移行させるだろう。
さもなくば、2%のエントロピーの勝利にすぎない。  Y.K

腹八分

読みたくないことは気取らず読まず、
書きたくない時は惑わず書かず、
頭がいっぱいになったら
欲張らずそこで考えることを止め、
何もしない快感を開放すること。
メタフィジクス的腹八分で暮らしていれば、
どこでも桃源郷だ。    Y.K