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経験と実験

あらゆる教育は自己教育的である。
経験 (experiences)によってのみ、理解できるにちがいない。

あらゆる科学は自己実験的である。
実験(experiments)によってのみ、理解できるにちがいない。

個人の絶えざる試みがなければ、
教育も科学も存在しない。 Y.K

直観

地球上の生命の偉大な再生システムを
傷つけ涸渇させる
あらゆるエントロピー的現実を
瞬時に理解する直観に、うぬぼれたエコロジー的知識は不要だ。

ただし、この直観は直感ではない。  Y.K

完全性(integrity)

原子核を構成する核子の一部分は
結合エネルギーに変換される。

部分を全体と結合させ続けるには
完全性(integrity)が要求される。

物質が存在するように、
われわれが宇宙で存在するには、
誠実さ(integrity)が要求される。       Y.K

殻の厚み

われわれの住居の平均的な壁の厚みは30センチ程度である。
部屋の幅が6m程度とすると、
その厚みは幅の20分の一となる。

人間の頭蓋骨の平均の厚さは6mm 程度で
直径との比率は40分の一以下である。
鳥の卵の殻の厚みと卵の直径の比率は80分の1以下である。
適切にデザインされたテンセグリティ・ジオデシックドームの
その比率は200分の一以下となる。

われわれの細胞膜のこの比率がさらに小さくなるのは
細胞自体がテンセグリティ構造だからである。

壁は圧縮材ではなく張力材として機能すべきである。   Y.K

メタボリック経路

産業は、生物のように本質的にメタボリックにデザインできる。
それらは常に成長する。

蓄積された太陽エネルギーの入力と出力に
それぞれのタイムラグがあるだけである。

現在の権力構造がメタボリックな経路を
選択する意志がないことが露わになった以上、
間接的に太陽エネルギーに課金する時代は終わるだろう。

エネルギーは増えも減りもしない物理的宇宙に
エネルギー危機は存在しないのだから。 Y.K

クロノファイル

読書体験は経験の一部にちがいない。
しかし、この経験から生まれる知識に期待するよりも、
思考することを選ばないことが、
読書の習慣を生んでいる。

自らの思考の履歴を読むことは
読書に優る試行錯誤だ。
それはクロノファイルと呼ばれている情報整理学だ。

クロノファイル型の思考錯誤は、
もっとも効果的な試行錯誤を生む。   Y.K

経験

経験は誰にも貸せないまま、
ぞんざいな扱いを受ける非物質だ。

経験は科学にとっても特殊な未処理の素材である。
しかし、この素材なくして原理の一般化は生まれない。 Y.K

冗長度の経済

構造工学では、ある構造物の支点にどれくらいの余裕があるかを判断するための
冗長性(redundant)を求めてきた。

その結果、冗長性(redundant)は余剰的な豊かさと誤解されている。
つまり、これまで冗長性の獲得は歴史的に
重量の増加なしでは達成できていない。

テンセグリティ構造はこうした概念に対立する。
重量を劇的に軽減しながら、機能の劣化がないばかりか
機能と安全性がむしろ増加する原理を示しているからだ。

1960年代の宇宙工学が最初にテンセグリティ理論の導入に関わったのは、
大気圏外まで必要な効果的な機能だけを
安全にかつ経済的に移動させるためである。

大型ジェット機の全重量を収容乗客数で割ると、
最新の機体ほど劇的な重量の軽減に成功していることが分かるだろう。
燃費が大幅に改善された最新の自動車は、
もはや限界に達したエンジンの燃焼効率の改善ではなく、
車体の剛性を向上させながらも、安全性を劣化することなく
車重を劇的に軽減する方法で燃費が改善されている。

一方、最新の耐震設計に合格した構造物は、例外なくその自重は増加している。
大気圏内の住居テクノロジーが
こうした冗長性(redundant)で利益を確保する時代遅れのテクノロジーである限り、
冗長性を排除するには不向きである。

人々が成功の象徴として重厚な家を指向しているかぎり、
大気圏内の住居テクノロジーに関わるすべての専門家たちは
もっともらしい冗長性(redundant)がもたらす安全性と経済性において
つねに消費者を欺くことができる。

テンセグリティ原理が形成されて半世紀が経過している。
これは20世紀に発見された科学原理の応用段階に到達するには例外的な懐胎期間である。

懐胎期間の意図的な引き延ばしが容易なのは、
専門分化されたテクノロジーの冗長性への見えない依存度のためであるが、
過剰な重量増加は、つねに二酸化炭素の増加問題である。 Y.K