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反対称性

ドストエフスキーの描く
囚人に対するもっとも残酷な極刑は、残忍な肉体的拷問ではなく、
深い穴を掘らせ、掘らせた後にまた埋めさせるような
無限の繰り返しによって、短期間に囚人から存在意義を奪う方法である。
囚人にとって遂に自殺こそが、自由意志が残る唯一の選択となる。

一方、発明、発見は、宇宙に無数に存在するという論証不可能な前提こそが、
科学者が失敗を覚悟で自然を探求する時の、目的存在理由を与えているのである。
これらの概念には明白な反対称性がある。  Y.K

情報

水が高いところから低いところに流れるのは位置エネルギーがあるからだ。
情報も高いところから低いところに流れる。
新聞の家庭欄に記載された科学情報で研究成果は得られない。

では情報の位置エネルギーとは何か。
情報が「ある位置」にあることで情報に蓄積されるエネルギーのこと。
位置エネルギーが高い情報ほど、不安定で、動き出そうとする性質を秘めている。

未知こそ最高度の位置エネルギーを潜めている。
ただし未知は、「位置」情報すら特定できない場合なのである。  Y.K

一般化


天文学者と航海士は、任意の時刻に地球上の任意の地点から観測した場合に不変的な天体の相互配置パターンを収集して蓄積するノウハウを共同で確立していた。

才能ある直観的な船乗りは豊富な経験から、肉眼で見える任意の星はいずれも、任意の日にクロノメーターで記録した任意の時刻に、コンパスが示す任意の方向で観測者から見える地平線上の高さを角度で測定した後、球面三角法で計算すると同時に、地球上の観測者の位置をも正確に計算できることが発見された。

AとBの間には科学史的には数千年間の隔たりがある。
にもかかわらず、
われわれはAとBを除外して、いきなり三角関数を学習する社会を受け入れている。
これは、数学に限ったことではない。  Y.K

世界時( World Time)2

世界の誰かと話をするには世界時が必要である。
人間には睡眠があるからである。これは常識かもしれない。
しかし、世界時とは時計を意味しない。時計は世界時に準拠しているから。
世界のどこかに孤独に移動する場合も、世界時が必要である。
地球が太陽系を回転しているからだ。  Y.K

世界時( World Time)1

科学史では、900年頃すでに、ギリシア北部マグネシア(Magnesia )で磁石が知られていた。
1100年頃、中国で羅針盤が使用されていた。つまりすでに方位磁石が実用化されていた。
しかし、磁石が示す北極と南極は、地理上の北極、南極程度離れていて、しかも地磁気の北極、南極は小円を描いて常に位置を変えていることが人工衛星からの観測で分かった。地球の回転慣性とプリセッションから磁石が示す北極と南極は不動ではない。
つまり、磁気コンパスだけのナビゲーションだけでは、誤差が大きすぎて安全な航海を保証できない。
紀元前から航海術に天測が利用され、ジャイロスコープ*や磁気コンパスがなくても外洋航路を自由に行き来していたというテクノロジーは、地球を外部から見るという天球儀を発明した古代の神官たちの蓄積したノウハウに依存していることを現代人は理解したのである。
天測とは正確な世界時と三角関数の体系化である。正確な世界時とは太陽による隔時観測法であるが、時計のない時代の隔時観測法は北極星を中心としたの星座の回転角度から時間を割り出した。マストという鉛直線があれば十分である。  Y.K

*航空機や宇ロケットのナビはジャイロスコープ (gyroscope) を搭載する。物体に働く角速度を検出する計測器。

金貸し

この世に金貸しはつきものであるが太陽系に金貸しは存在しない。
太陽系には風があるだけだ。
太陽系を離れるにつれて次第に強い銀河宇宙線が検出されるのはなぜか。

太陽風は強大なエネルギーを持つ銀河宇宙線から地球生命を守るために、太陽系外から流入する銀河宇宙線を防御しているからだ。
太陽系には誰にも貸せない風があるだけだ。  Y.K

人類採取

昆虫の種類は3百万種から3千万種あるらしい。
人類の分類において、コーカソイド、モンゴロイド、ネグロイド、オーストラロイドといった分類からアジア人、白人、黒人、原住民、少数民族、原始人など人文学的に見る場合、つまり民族は5000〜1万種に分類されるが、人類は、生物学的にはたった1種である。
だから人類採取よりも昆虫採取がおもしろい。

人類が人類や昆虫を撲滅して生き残るシステムよりも昆虫の存在システムの方が原理的である。  Y.K