トリムタブ」カテゴリーアーカイブ

予測 VS運命

未来を予測する主観的方法は、常に失敗しないように傍観することである。
未来を予測する客観的方法は、自ら行動し自分自身をいかに理解するかである。
どちらにも中途半端な人が運命占星学に聞き入っている。  Y.K

デザインサイエンス

デザインサイエンス的解決法は、誰でも素晴らしいと確信できる。しかし、この70年間生活水準をより高め、人類の労働を軽減しながら、なぜ人類に幸福をもたらさなかったのか。

物事は単純にしか理解できない。
人類がそれを有意義に利用するに至っていないからである。
いまのところ、人類の考え方を変えるよりは、原子核構造を変える方が簡単である。
しかし、それには知識と許可が必要なので、人々は普通の手製爆弾を好む。 Y.K

アーティスト・サイエンティスト

われわれは、永遠性よりも日々変動するレートや株価、さらには瞬時に決められるオークションの方を信頼している。法則よりも人為的な偶然性を帯びた人生ゲームに興じることを優位においている。株式会社の平均寿命は25年以下であるにも関わらず、科学的普遍性をつまりは永遠性を容認しない傾向がある。その結果、科学者は総人口の0.1%以下のままである。不幸にも、人類に影響を与える発明家の数はさらに少ない。産業史で描かれる技術革命に実際に関わったのは、こうしたアーティスト・サイエンティスト達である。  Y.K

職業と仕事

利害を超越した独創的な仕事は、芸術や科学だけにあたえられているのではない。
しかし、生産的な活動と生活費を稼ぐこととを同一視しているのは、こどもの将来に愛情を傾ける両親や教師である。
職業と仕事を区別しない思考の条件反射が、義務教育課程で自動的に再生産されやすいのは、職業を決めてから受験科目を決定する思考なき習慣が、彼らが運営するPTA(Parent‐Teacher Association)によって維持されているからではないだろうか。

ライト兄弟は(おそらく最初の宇宙飛行士も)、職業を決めてから受験科目を決定しなかった人たちである。
なぜならそういう専門職は当時の社会に存在していなかった。
利害を超越した独創的な仕事は、しばしば生活費を稼ぐための大多数の職業の起源を説明する。  Y.K

最後の産業革命1

エネルギーの自給自足なき住居は支配であり、手っ取り早い現金収奪装置である。
耐震装置や免震装置があろうがなかろうが、災害非常時にエネルギーと食糧が部分的にも調達できない住居は、すべて生存困難な単なる空間となる(災害の後にたとえ被害を受けない住居として残っても、大地に根ざした町全体のインフラ機能がすべて廃棄されると無価値になる場合がある)。

エネルギー生産装置付住宅による自給自足は、住宅に組み込まれた一種の「生産装置」であり、それによって住民は、経済の悪化によりエネルギー収入がたたれようとも、「とりあえずは生きていくことができる」。それは汎地球的な再生的エコロジーの原点でもある。

これは60年前に、バックミンスター・フラーがダイマクシオンハウスのプロトタイプに、現在の航空機産業でも自動車産業でも到達していない機能をインストールしなけれならなかった理由である。  Y.K

シナジーvsグローカリズム3

発見されていないとするその根拠は、たとえば地球温暖化に対処する過程に露呈している。二酸化炭素の削減によって地球温暖化の加速度を軽減できるという根拠を支持するしか他に方法がないと考えている。しかし、二酸化炭素を削減することによって地球温暖化が可逆的に地球寒冷化に転ずるバイオスフィアの補償システムは何も発見されていないのである。  Y.K

シナジーvsグローカリズム2

一極指導型から地域密着型への変換方法としての「グローバルに考え、ローカルに行動する」は、人為的で政治的な戦略であって、一般的なテクノロジーではない。
そればかりか「グローバルに考え、ローカルに行動する」ことの科学的根拠は発見されていない、ということが忘れ去られている。

歴史上、最大規模で「グローバルに考え、ローカルに行動」した最初の私企業は、東インド会社である。
彼らにとって「グローバルに考え、ローカルに行動する」ことは、球状的に分散した植民地を「分断して征服する」ためのもっとも効果的な戦略であった。  Y.K

シナジーvsグローカリズム1

グローカリズムとは、国境を越えた地球規模の視野と草の根の地域の視点でさまざまな問題を捉えていこうとする考え方である。
「高度情報化社会は、“グローバルに考え、ローカルに行動する”というグローカリズムの時代である。IT推進策は、旧来の一極指導型から地域密着型への変換を余儀なくされる。」
これは情報技術のグローカリティで必ず会話されてきたe-japanの基本的概念でもある。

一方、シナジーとは「どの部分からも推測できない全体のシステムの動き」である。
言い換えれば、水素や酸素の元素を個別に調査しても化合物としての水の特性を予測させる情報はどこにも見当たらない。化合物としての水を化学結合させる場合は水素や酸素の構成要素の元素自体のデザインの変更は不可能である。水という統合された全体システムを発見したときにのみ構成要素の存在とその関係を知ることしかできない。
したがって、ローカルに行動してもグローバルな動きは依然推測できないがばかりか、ローカルに行動する部分を個別にデザインすることも到底不可能なのがシナジー原理である。  Y.K

クリティカル・パス概念の革命

バックミンスター・フラーはクリティカル・パス概念に革命を引き起こした。
「従来のクリティカル・パスの概念は、直線的であり、それ自体十分な情報を与えてくれない。球状に拡大収縮し、軸回転し、極方向に伸開線的-縮閉線的な軌道システムからのフィードバックだけが包括的にかつ鋭敏に情報を与えてくれる。球状軌道的なクリティカル・フィードバック回路は、脈動して周期的な吸収放出を繰り返す。クリティカル・パスの原理的要素は、平面上で互いに重なり合う直線的な構成要素を単位としない。それらは、汎-相関的に再生しつづけるフィードバック回路が、システマティックに互いに螺旋を形成しあっている複合体なのである。」……『シナジェティクス第二巻[改訂版]』 Y.K訳

もう一つの現実

商品の価格は、宇宙で絶え間なく発生するエネルギー変換と相互作用のみに関わる時間とエネルギーコストの科学的な計算結果としてではなく、需要の変動や市場の成り行きで生じる経済システムに支配された結果としてこれまで容認されてきた。

法的な略奪を成し遂げるもっとも単純な方法は、人口増加でますます支払われている家賃やコーヒー代、そしてガソリン代をもっともらしく値下げしない方法である。
この方法は、たとえばパソコンの機能が向上するにしたがって、その価格と重量が減少してきたもう一つの現実に反する。  Y.K