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個性

すべての個人の経験は異なっている。
違いは形成されるまえに与えられている。
もしこの違いが与えられなかったならば、
完全性は試行されないだろう。
まして宇宙とは調整不可能だ。

理解

実践する情熱は理解から生まれる。
それは他者との競争心からは生まれない。
理解する情熱は、
自己の能力を証明する時に生まれる。

野菜

野菜を有機農業、無農薬で栽培しても
植物の成長は無機質で制御されている。
無機質は土壌中の微生物によって
植物の根が吸収できるイオン(=水中に溶け込んだ無機質)に変換される。
つまり、微生物が無機質に分解するからではなく、
イオン交換されてはじめて水に溶ける。
その微生物の働きは
ほぼ雑草と昆虫を制御している。

野菜よりも雑草のほうが、
そして
動物よりも昆虫のほうが
昆虫よりも
微生物のほうが
種類と数が多いからだ。
そして
それらすべては
水によって制御されている。

こども

発明することが無益な行為として
説き伏せられるまでの期間に
どう生き延びるかで発明の才は決まる。

ひらめき

優れた提案や名案は
意図しない対話(=ダイアローグ)から生まれやすい。
しかし、提案だけに終わる知性は、
つねに分断されたひらめきのコレクションにすぎない。

映画

映画では人が生まれるより
死んでいく場面のほうが圧倒的に多い。
人口増加に対して映画のシナリオは
もっとも敏感に対応している。

検索

思考は出来事の相互関係の最小限の集合から形成されるが
ニュースは出来事の断片の集合から成る。
これらの集合は
結合と分離を繰り返す化学結合のように
情報の無限の組み合わせを生み出している。
検索機能のない新聞やテレビ、そして出版は
すでに廃れている。

不連続性

3日前に誰かと交わした会話が私の思考に影響を与えることはあるが、
3日前に誰かと一緒に食べたランチが
現在の私の体にどのような影響を与えたかは
まったく知ることはできない。
食べることは、思考以上に無意識に包まれている。
しかし、アミノ酸を合成できることと
人間に必要なアミノ酸の成分の量と配合が不明確であることは
不均衡な知性に違いない。

システム

孤独を求めないように
共同性にも期待しない。
あるいは、
静寂に身を置きながら、
夕暮れの雑踏を懐かしんだりするように、
思考はいつもよろめいている。
システムが目的に向かって動いているにもかかわらず。

16歳のとき私は同じ夢を何度も見ていた。
その夢では暗い大きな森と向かう分かれ道でいつも躊躇して
やがて目覚めてしまう。
人の通らぬ道を選ぶ時の名状しがたい不安から
目が覚めるのである。
夢で道を選べれば、すべてが変わることも、
そして、森に入れば無意識が案内することも
私はなぜか知っていた。
しかし、理解したのはずっと後だった。