水害でインフラが破壊されても地下水脈のネットワークは安定している。
停電した場所でも手押しポンプから汲み上げた新鮮な地下水を
太陽光で沸かすこともできる。
病院や学校、そして避難所となる体育館や集会所には
井戸と手押しポンプがほとんど設備されていない。
地下水脈は自然のインフラだ。
「裏庭(背戸)」カテゴリーアーカイブ
時間に対する動的関係
局所的な気象も大地も動く。
空間に関する静的関係よりも時間に対する動的関係から
より大きなパターンを見る抽象能力がある。
谷や沢にある神社は存在しない。
人間の干渉をすべて停止した時、
自然が支持する潜在自然植生を予測できるのは
パターンの包括的関係に基づいている。
淀まないテクノロジー
ビーバーは淀まないテクノロジーを選択する。
決壊しても広葉樹で再生できる。
淀んだテクノロジー
大気圏と水圏を結ぶすべての分水流を堰き止める
淀んだテクノロジーは存続できない。
宇宙自体が再生的に変換するテクノロジーである。
宇宙に存在する局所的に複合したテクノロジーを人間は組織できるが、
宇宙に対して加算するテクノロジーは何もない。
ダムの湖底の腐敗
満水時も渇水時も水流のない湖底は腐敗している。
水中での光合成は失われている。
浄化機能のない貯水
発電用ダムで堰き止められた水はどこも濁っている。
水流を失った貯水の酸素不足を好む微生物によって腐敗し始めている。
気候条件によって水温が上昇した湖底から大量にメタンガスが発生する。
浄化機能のない過剰な貯水で水力発電しても温暖化は解消できない。
大規模な湖底の腐敗
ビーバーの利己的なダム
ビーバーがつくるダムには密閉された巣がある。
天敵の侵入を巧妙に防ぐだけではなく
自分の生存のためにつくる装置によって
岸辺の距離を拡張する。
鋭い歯で樹木を短時間で切断して
環境を変えるこの利己的なダムは
結果的に森の生態系を統合している。
自然はダムと共存する。
ビーバーの鋭い頑丈な歯は太い樹木を短時間で切断できる。
砂防ダムの決壊
今回の土石災害の中で砂防ダムの決壊は二次災害ではなく一次災害だ。
浮力のある流木の目詰まり防止対策のある砂防ダムは僅かしかない。
生物学と統合されないかぎり過渡期的な構造デザインである。
改良型砂防ダム
表層エコロジー
流失した家屋や車両、そして大破したインフラの復旧とは、
破壊される前の状態に戻すことである。
大量の土石が山林の表層流失ならば、
これらの土石は海底や川底の表面への堆積物となる。
海や川の表層エコロジーは復旧には含まれない。
人間は表層エコロジーを形成するバイオマスの一部だ。
選択的な排除
家屋や橋脚、そして堤防を破壊したのは土石流だけではない。
浮力のある圧倒的な流木群が破壊力を加速している。
その大半は針葉樹の太い長い幹の集合体である。
気象変動期の自然は、人間の有用性で形成された針葉樹森を
選択的に排除している。
この大規模な排除までに70年の歳月を準備した。
浮力のある圧倒的な流木群の破壊力