裏庭(背戸)」カテゴリーアーカイブ

続)落葉

人間の発明も
南半球よりも北半球のほうが多いのは
寒冷による凍死の危険性からだ。
危機的な環境の変化に機敏に適応するために
われわれはどのような生産手段を放棄し
何を発明するのだろうか。
日本権力構造は環境の変化に機敏に適応できなかったからこそ
何も放棄しなかった。

落葉

植物は成長に適さない環境の変化、
例えば乾燥や寒冷などの環境の変化に対応できなくなると、
最初は葉を小さく、あるいは厚くするという戦略を採用する。
それでも適応できない場合は、最終的に葉をすべて放棄する。
植物は重要なエネルギー生産手段を放棄すると同時に
エネルギーを保存する方法を発明したのだ。
北半球の寒冷地でも生き延びるために。
落葉.JPG

ニジマス(Rainbow trout)

渓流で捕獲された自然のニジマスは
絶えず湧水で満たされる栄養豊富な池にリリースすると
60センチに達するまでに
その体型は急激に変化する。
彼らの原産地はカリフォルニアで
日本の河川に放流された後に定着した外来種であるが
驚くことに彼らはスナックやおにぎりが大好きだ。
湧水のように水流が一定にありながら
その速度が遅い場所に棲み続けると
完全な淡水型として適応できるが
頭部が際だって大きい不格好な流線型になるばかりか
やがて体側部に赤紫色の斑点が連続する美しい虹も
輝きを失っていく。
遺伝子ではなく
風雪や雨で著しく変化する渓流の速度こそが
美しい自然の流線型を生むのだ。

台風の目

台風が去る前の
台風の目から
満月がもっともきれいに見えたのは
もっとも空気が澄んでいるからだろう。
その空気は淀んだ都市の周辺部からではなく
上空1万メートル以上から吸引排気されてきたからだ。
台風は本来、巨大なロボット掃除機であり
同時に空気清浄機である。
台風の目はバイオスフィアの
自律的なアイロボットなのである。

風は粘性の強い見えない流体である。
山脈の頂上や尾根付近の稜線を覆う
背の低い高山植物群は
その流れの方向と強さを記録している。
特に2千メートルを超える山岳地帯の頂上や尾根では
見えない流体はしばしば海辺のような美しい砂浜を形成する。
小さな小石は大きな岩石を砕いた結果としてよりも
より多くの砂や埃になる次なる過程を準備している。
極地の岩石や植物は
大地に静止しているように見えるが
相対的に航空機の翼と同じように
つねに空力学的な作用を受けているのである。

結び目

解きたいときにすぐに解けるノットは
海のロープワークには不可欠だ。
解けにくい結び目のパターンは
信頼性では優れているが
解きたいときにすぐに解ける結び目は
一時的な有用性を優先するが故に
長期的な安全性を犠牲にしがちだった。
ロープワークを学んできて
解きたいときにすぐに解けながら
もっとも信頼できるノットを探していたが
必要なパターンは過去の蓄積には存在していなかった。
そしてついに自ら発見によって解決しなければ
ある特殊な問題を超えられない現実が見えてきた。

秋雨

<ひと雨ごとに秋がやってくる>
はずだが、このまま雨がほとんど降らないなら
広葉樹が温度差で紅葉する余裕が失われ
秋らしさがほとんどないまま
いきなり冬が来ることもあるだろう。
今頃よく見かけるカマキリの産卵場所や蜂の巣の位置から
雪に埋もれない高さの予知能力を
彼らに期待するのは誤りである。
森の倒木から得られる薪を
どんなに燃しても二酸化炭素の増加にはならないが
いまからかなりの薪を準備しなくてはならない。
秋までの薪の備蓄量でその住人の気象予測能力が分かる。