オオカミを飼い慣らして犬にしたように、
オオカミは人間の赤ん坊を育てて、オオカミ人間にできる。
だが、お互いに変わり果てるのだ。
熊は人間を育てたりしない。
だからまだ森で生き延びている。 Y.K
オオカミを飼い慣らして犬にしたように、
オオカミは人間の赤ん坊を育てて、オオカミ人間にできる。
だが、お互いに変わり果てるのだ。
熊は人間を育てたりしない。
だからまだ森で生き延びている。 Y.K
天の川も見えるほどに、水蒸気は去っていた。
千キロも離れた台風によって雲の動きが反転して、
いつもになく、星がすばらしくきれいに輝いていた。
人工衛星よりも多く見える
流れ星に願いごとばかりしても
夜空もつまらないだろう。
夜となく昼となく降り注ぐ日々100トンの隕石は
私たちの脳には見えないだけだ。
夜がなくても星々は輝いている。 Y.K
都市は、滞在するにはよい場所であるが、
訪ねるにはのには寂しい場所である。
田舎は、訪ねるにはよい場所であるが、
滞在するのには寂しい場所である。
この反対称性は、都市と農村をけっして交流させない。
都市に人口が集まる理由でもある。 Y.K
霧とドライミストとの違いは、その粒子の生成過程にある。
植物の蒸散効果によってもたらされる
気温低下機能の再現を目的にしたドライミストは、
水圧とノズルによって霧状に噴霧させると同時に
風による移送で空間の熱を拡散させるテクノロジーである。
一方、霧は暖かく湿った空気が冷たい空気と混ざって発生する。
暖かく湿った空気が水温の低い海や陸地に移動した場合、
温度差によって霧という水分子の粒子を
電気的に浮遊させる自然のテクノロジーである。
晴れた日の早朝には、山の谷に沿って湿った空気が上昇し、
露点に達したところで発生する霧が上昇しているのが見える。
露点とは水蒸気を含む空気を冷却したとき、凝結が始まる温度であるが、
露点をもたらすエネルギー源はもちろん太陽である。
霧は地表面から熱が放射され地面が冷える冷却によって発生するのであって、
霧が表面を冷却しているわけではない。
ドライミストは太陽光でつくられるバイオスフィアの霧とは
本質的に異なっている。
そして自然界に存在しない電気的ではない極微粒子の人体に対する影響力は
未知なままである。 Y.K
板間で寝っ転がって本を読んでいると
ヒグラシが部屋に飛んできて鳴き始めた。
何という音量だろう。
物悲しい秋の気配とはほど遠い。
あんな小さな空洞のお腹が共鳴箱になっているだけで
耳をつんざくような音響効果をもたらす原理を解明すれば、
最小で最軽量のラウドスピーカーができるだろう。
しかも低音から高音まで澄んだ音域を再現できる。
これらのモバイラー用の昆虫型共鳴箱は、透明であるばかりか
特定の振動板ではなく、直接に振動体の一部として共につねに機能している。
そして、彼らは樹木に対して点接触であり、
場合によれば飛行しながら音源を増幅できることを考えれば、
これまでの固体的据え置きスピーカーボックスとは本質的に異なっている。
ちなみにipod用としてロック音楽専用の
クマゼミ型スピーカーも開発されるだろう。
もちろん、電車内では使用禁止だ。 Y.K
バイオマス運動が権力機構と対立するエコロジー運動であった例はない。
なぜなら、バイオマスエネルギーの利用は燃料電池のように
積極的に燃焼の化学から離脱し、
二酸化炭素を介在させないテクノロジーで、
地球の表面温度を低下させる方法ではないからだ。
バイオマスが地球温暖化に効果的だとしても、
使わない農地を森に返すほどの効果も期待できない。
化石燃料の矛盾を縮小させる
権力の下請け機能の部分を担っているだけである。
下草ばかりを刈って杉を植えすぎた里山を管理するほどなら
広葉樹の森に返すべきだ。
そして、あとは静かに待つことに耐えられないなら、
熊のいなくなった里山を捨てて、
クマゼミよりも鋭敏に、そして予測的に
もっと北に移住すべきだ。 Y.K
フラットな耕作地の草の場合よりも森林の樹冠の凸凹によって、
大気圏への水蒸気の運搬能力は大きくなる。
森林の蒸発・蒸散の量を最大にするには、葉の数以外に、
凸凹の表面積が関与する。
山脈の深いシワの総面積を拡大することが
温暖化防止に直結している。
蒸発・蒸散によって、表面温度は奪われる。
草原や耕作地よりは、森の樹冠の凸凹は有効だ。
そして藻類が群生する海の表面積と温度にも同じことが言えるだろう。 Y.K
ダイマクシオン・ハウスは、
上下水道がない無管デザインである。
水分を空気中から回収するために
温度差で冷却された金属面に
蒸気が凝結する作用を利用している。
除湿器の水を湧かしてコーヒーを飲む場合、
除湿器の電気エネルギー代は
ペットボトルを購入するよりもはるかに安価である。
1時間に6リットルも回収できる。
このところ霧雲のなかにいるのでその純度は保障できる。
ブナの森の近くの私のアトリエの空気からつくる
天然水は、さらに価値があるはずである。 Y.K
マクロコズムとミクロコズムを通底する宇宙論には
いくつかの重要な飛躍があった。
五月闇のなかで
私はやっと仕事を終えた。
天才の最後の遺稿に示された
構造と意味を完全に復元した。
五月晴れとは
本来、梅雨の晴れ間のことであった。
身も心も五月晴れだ。
こんな日はめったにない。 Y.K
動物を見ていると優しい気持ちになる。
カエルは犬ではない。猫はそのことを疑問に思っていない。
しかし、みんなそれぞれ雨のことは気にしている。
それは神秘な関係だ。 Y.K