エネルギーと食料、そして住居のテクノロジーを
支配し、独占することが搾取の歴史的手段であり、
いまやそれらが人口を制御する重要な手段と化しているかぎり
彼らは決して安全で耐久性があり、安価な住居をデザインしない。
それらは、彼らの優先課題ではないからだ。
エネルギーと食料、そして住居のテクノロジーを
支配し、独占することが搾取の歴史的手段であり、
いまやそれらが人口を制御する重要な手段と化しているかぎり
彼らは決して安全で耐久性があり、安価な住居をデザインしない。
それらは、彼らの優先課題ではないからだ。
金融工学は、もはや保護すべき国家や企業の名においてなされるのではない。
局所的な組織を超えて自分たちだけが生き残ることを目的にしてなされ、
人口全体の長期的な破産を前提として
国内外で戦争し殺し合うように訓練するための
包括的な記号テクノロジーを形成している。
国家を超越した企業体の構成員である金融工学者は、
グランチに雇用された経済学・会計学の専門家ではなく
それらを理解した産業テクノロジーにも精通した数学者や科学者である。
彼らはいまや権力テクノロジーの主要な部分である。
家を自分で作るための
自己のテクノロジーに
金融工学者と建築家たちは
これからも協力しない。
借金と長時間労働が
未来の失業者の群れを加速させている側の
<知の体系>と<太陽系>は無関係である。
<太陽系>では
風と光が買えないように
哺乳類は家を買わない。
テンセグリティ構造は、構成要素であるはずの張力材と圧縮材を主体にしても、
分析されえないにも関わらず発見されたのであるが
テンセグリティの全体機能が分かったのは、その発見後である。
このシナジェティクスの非論理性の習得は、子供の時にしか理解できない。
クリティカル・パス[=真理の構造学]における権力メカニズムの分析から、
社会の中で展開される闘争・対決・闘いと
その戦争の諸要素である様々な権力戦術によって
生産される様々な知がどのように作用するかが理解できるようになる。
その理解から生まれる新たな知が
これまでの権力戦術よりも
より統合された知を生んできたところに
真理の構造学がある。
シナジェティクスの探究においても
すべての科学的・数学的な概念形成過程に無関心ではいられない。
私の知る限り、『クリティカル・パス』を深い関心と共に
自発的に読み始めた13歳の少女に、
理科と数学の理解に明解な変化が始まった背景を説明できる。
もちろん、『クリティカル・パス』を写本するだけで
それらの成績が飛躍的に向上したことは
真理の構造学の目的ではなかった。
宇宙の諸規則の対する忠誠(faithful)という考え方が
前世紀から消滅しつつあり、既に消滅してしまった。
『コスモグラフィー』(バックミンスター・フラー著 梶川泰司 訳 白揚社 2007)は
最晩年のバックミンスター・フラーによるシナジェティクスへの入門書でも、遺稿でもない。
神秘とメタフィジックスの不在に応え
かつ<integrityの存在>に応えるべき探求は、
シナジェティクス原理の発見とそのための思考方法となったのである。
地球外探査衛星のように
バイオスフィアを外部から自在に探査する
重さのない一つの思考衛星なのだ。
構造においてすべてを行うことが許されているような建築は一つとしてない。
そして、シナジェティクスは、
創造性によって自由な構造が始まるのではなく、
建築が坐屈(buckling)の境界と
超えるべからざる記号のテクノロジーと共に始まるのだということを知っている。
シナジェティクスは、概念モデルの発見の無限性と同時に生じる
<概念の牢獄>の破壊によって、
はじめて坐屈を無化する構造が
支えられているのだということを絶えず再考する。
金融商品(デリバディブ)という
21世紀の見えない大量破壊兵器を作成した専門家は
経済学者ではなく、数学者や科学者である。
リーマンショックだけでも
その被曝者は、5千万人を超えていた。
個人住宅の所有は、金融兵器製造の始まりである。
生き残るためには、住宅を決してローンで購入してはいけない。
モバイルシェルターは、政府と銀行によって計画的に製造されてこなかった。
シナジェティクスは、複数のモデル言語を
それらの多様な現象的存在において差異化し
それらに固有の永続性において
階層化するシステムである。
「国家は犠牲と協力で人々が団結するストーリーをこしらえ、
優れた功績を認めるようになります。
しかし、自分たちとは違う人々を抑圧し、人間性を奪うため、
こうしたものと同様のストーリーが頻繁に利用されたのです。」
———2016年5月27日 オバマ大統領の広島スピーチから引用
これは、アメリカの現職大統領が自ら権力構造から
最初にステップアウトした公式スピーチかもしれない。
これが、ノーベル平和賞の唯一の役割かもしれない。
「核保有国は、恐怖の論理から逃れるべき」だが
その恐怖の論理を人々に教育しているのはその国家だけではなく、
被曝者の悲惨な人生も自分たちとは違う敵国の人々を抑圧し
その論理の構築に頻繁に利用される幻想メカニズムは
いまや市民社会に浸透したのである。
その幻想メカニズムがすべての核を生産しているのである。
物質(ウラニウム)と精神の分裂エネルギーこそ、
権力構造を効果的に維持できるからである。
☆
step out=一時的に引退する行為