構造的違和感

テンセグリティからの分析は
これまでの構造が持っている恣意性を明らかにし
自由への空間をこれから如何に享受することができるか、
そのための自律的エネルギーをモバイルシステムで
生み出す実験から
具体的なプロトタイプを経済的に物質化できるかである。

しかし、テンセグリティを生命との関係で構造化するには
個人は疲弊しすぎている。

12歳までの子供の教育システムと英才教育システムへの
構造的違和感なくして
テンセグリティ原理の力学的相互作用と
その優れた諸機能は感受できないのである。

レオナルド・ダ・ビンチ

バックミンスター・フラーは
しばしば20世紀のレオナルド・ダ・ビンチと形容されてきた。

芸術家・科学者(アーティスト・サイエンティスト)を
60年代以降の<独創性>によって図るのは
ある種の政治的意図から生まれている。
ーーーー<独創性>が自由経済の証として映るように。

独創性を、政治的、社会的要因によって影響を受けない
自律的な自然的要素とみなすのは、危険な視点である。

真の<独創性>とは、存在の起源にまで到達するビジョンである。
それは、共有された政治的、社会的現実を一瞬にして破壊する作用がある。

シナジェティクス考古学

バックミンスター・フラーのクロノファイルから
実際に確認できることが
本当に存在したものとして認識されることは容易ではない。

長いテクストを伴う『シナジェティクス』でさえ
モデリングからしか解読できない場合がある。

60トンもある彼のクロノファイルに分け入って、
シナジェティクスについてモデリングのまま保存された
新しい<構造と意味>を解読する作業は
考古学に近い。

それは、フラーが亡くなった当時、西海岸に移転したフラー研究所での
シナジェティクス研究のための
その<思考の幾何学>における概念的な探査を
私が3ヶ月で中断した理由でもある。

それは、シナジェティクス的解決方法への問題意識がない時の
クロノファイルの探査をすべて排除したときである。

経験を通した理解は、つねに同時的でかつ非同時的であるからだ。

バイオフィードバック

掃除機で掃除機を掃除できる掃除機能は、
掃除機自身には装備されていない。
同様に、洗濯機を洗濯する洗濯機能は
洗濯機には存在しない。

ウオッシュレットを掃除できるウオッシュレットはあるが
トイレ全体を掃除する便器はまだ存在しない。

しかし、人間にはバイオフィードバック(生体自己制御)は可能だ。
この機能は、自己のテクノロジーに含まれる。

シナジェティクス・スタジオ

『シナジェティクス1&2』を読んでいた頃にとったノートやモデリング
そして、バックミンスター・フラーの講義ノートやビデオ映像などは
引越しの度に整理したけれども
5年前の引越しの時には新しいスタジオまで10トン車で移送しなければならなかった。

私のメタフィジックスのすべては
バックミンスター・フラーのシナジェティクスの読解によって決定された。

そしてデザインサイエンスのプロトタイプは
シナジェティクス・モデリングによる発見によってデザインされてきた。

次の引越しは、このプロトタイプになるだろう。
否、移動という概念はもはやこの居住機械には相応しくない。

シンメトリックな対称性を発生させる
回転軸のない居住機械は太陽系に居住できない。

対称性こそがモバイル機能を形成するモジュールをデザインしている。

操作主義

自己の思考と行為。そして存在の在り方に対する
一定の操作を実現することができる。

天球儀はそのような意識操作からデザインされたのだろうか。

その過程にシナジェティクスモデリングとの
相違はほとんどない。

概念の視覚化

モデル言語とは何か、
モデリングによる未知の概念の視覚化という驚くべき経験は、
いったいどにような操作から形成されるのか。

モデル言語が
未だ存在していない概念の
未だ存在していないモデリングから形成されるかぎり
シナジェティクスは、この問題を再発見しつつある。

自由であるはずの一人の認識主体だけの操作からは
発見され得ない。

テンセグリティ・シェルター

どのような単純な要素を使って構造が組み立てられるかは
テンセグリティの発見から始まった。

どのような既製品を使って空間が構築されるかは
テンセグリティシェルターの開発から始まった。

5年の歳月が費やされ
フライズアイのモノコック構造を
テンセグリティ・シェルターに変換できたのは
偶然のデザインではない。

この動くシェルターは
シナジェティクスもデザインサイエンスも書き換えられるまでに
漸進的変化を遂げなければならなかった。

「デザインとは異なった原理の調整」(バックミンスター・フラー)なのである。

空虚

廃炉にするかさえ決定できない空虚
もはや消滅した人間が残した空虚の中で
利益率を最大限に上げて暮らす企業体とは何か。

この空虚は
埋めるべき欠落を補充するものでも
まして、システムを陥没させるものでもない。

空虚という非存在は
いまや法律的な存在に成りすましている。