遅延

現実を認識するためには
残像を待たなければならない。
テレビの同時中継でさえ
画面の無数の走査線の
初めと終わりでは時間差がある。
<同時>という仮想現実に生きているよりも
はるかに<非同時>の現実を生きている。

独占方法

新しい技術が仕事に有利さを
もたらすためのもっとも有効な方法は
見せびらかしから始まり、そして
十分にじらすことによって
いつの間にか人々に独占させることである。

基準

すべての経験は一時的である。
経験と経験とを繋ぐ関係は、
メタフィジックスであり
その関係を実在するものに変換できない。
絶対的で無条件なものは、
変換不可能であり
つねに静止的である。
したがって、経験的には無意味である。
しかし、独裁者は
その静止的な基準ゆえに独占したいのだ。

係留されたバイオスフィア

鋼鉄製電車の一両分の車体重量は40トン程度あり
現在主流のステンレス製やアルミ制の車両でも30トン弱もある。
1967年にバックミンスター・フラーがデザインした直径約90mの
透明なバイオスフィア(=モントリオール博のアメリカ館)の全重量は
最新車両の1両分にも満たなかった。
バイオスフィアの垂直荷重を受けるために
予め用意された基礎部に実際は
一時的に係留されていただけである。
この構造デザインは
垂直荷重計算に浮力計算が伴う
大気圏に浮かぶ前駆体エデンドームだったのである。
大地に依存しない
最初の自律的な構造デザインから半世紀が経過し
浮遊するテクノロジーの懐胎期間は
すでに終わっている。

シンタックス

既知なる構造をどれほど集めても
新しい構造デザインは生まれない。
思考の革命なくして
シンタックスは生まれない。
シナジェティクスは観察から生まれない。
シナジェティクスは自然を模倣しないまま
シンタックスを生む。

<有理>と<無理>

シナジェティクスの諸原理を構成している
自然の<理>は教えられない。
包括的デザインサイエンスの専門的作業やその項目、
そして、それに関連した科学的・数学的な一般式に関してのみ
教えることができる。
この教育の不可能性は、現代ではほとんど教育されない。
自然の理は、宇宙の神秘と調和に遭遇するための
メタフィジックスに属する。
そのメタフィジックスには
自己を教育するための
<有理>と<無理>が存在する。

客観的プロセス

仮説理論の試行錯誤から実践するまでの
全プロセスを客観的という。
その全過程をほとんどデスクトップで
完了できると考えるのはまだ主観的である。
シナジェティクスでは
仮説理論の試行錯誤から実践するプロセスに移行する
デザインサイエンスまでに
何度もシナジェティクス・モデリングを繰り返す。
———-従来の概念の破壊をより純粋にするための。

パリティ(parity)の物質化

パリティ(平衡、偶奇性)の相補性は
不等価、非平衡であり
イメージの反転(鏡像対称)ではない。
相補性は鏡像対称性とは異なる。
パリティ対称性が保存されない物理的な事実が発見されて
ほぼ60年が経過している。
しかし、世界を二分するイデオロギーは
概念の鏡像対称性によって
戦争と平和を維持してきたので
宇宙でも<左>と<右>の概念が
応用できると考えている。
自然は、パリティ(parity)の相補性、
または、非平衡の物質化において
鏡像を使わない。

同一性(identity)

自分自身でありたい欲望は
その他の試みがことごとく失敗してきた
経験から生まれる。
脳が形成するこの特殊な自己同一性(self identity)から
普遍化は生まれない。
同一性が損なわれると
社会での役割拡散や排除性が生まれるのではなく
(たとえ、同一性が獲得されたとしても)
宇宙における人間の役割が
除外される過程が反復されるだけである。