床下浸水しない船

アジアの農村地帯のほとんどの高床式家屋は、
堤防のない河川流域に建造される。
高床式家屋は床下浸水がない船という概念でデザインされてきた。
浮遊する筏付きの高床式家屋も存在する。
洪水時には水が引くまでデッキから釣りができる。
子どもたちは学校がない日々を楽しみにしている。

アジアの農村地帯

高床式Small House

気象変動に備えてSmall Houseも高床式になるだろう。
土地と一緒に家を買う習慣から離脱できるサバイバルのための
モバイル用の軽量化されたSmall Houseは
剛性の高いオクテットトラスが最適である。
床下浸水や豪雪に耐え、床下収納機能も兼ねる。

SYNERGETICS RBF 2018 Octet Truss

床下浸水は当たり前

東南アジアでは床下浸水は当たり前だとする伝統的な住宅デザインがある。
洪水と湿度と昆虫から遠ざかる縄文の高床構造や弥生からの米倉構造は
河川工事よりも地勢的に安定している。柱は水に強い栗木。

縄文の高床構造は米倉構造に継承されるSmall House

自然の地勢(topography)

今回浸水した場所や水没した流域はその記憶がある場所とは限らない。
人工の針葉樹林が地表水の分水嶺に影響を与え気象にも影響を与えている。
分水嶺をコントロールする自然の地勢(topography)はデザインできない。
地勢は自然の知性だ。

「川だけ地図」を見る限り、日本のダムは静脈瘤にちかい。
All Rivers – Ground Interface
http://www.gridscapes.net/AllRivers/#5/33.980/138.494

インフレ−タブル・カヤック

バイオスフィアの予告なき水圏の拡張に備えて
軒下やマンションのベランダには
ポンプ付きカヤックとテントを常備しなくてはならないだろう。
気候の変動期に、水・陸のモバイル機能はもはやオプションではない。
自然は隠れた水脈を船の水路として絶えず再生する。
それらは水面下の土地資本主義には無用だ。

驚異的な軽さとコンパクト性を誇るカヤック
艇内に侵入した水を自動で排水する機能付き

複製されない「スピルカ」

日本初の乳酸菌飲料カルピスは馬乳酒中の酵母による独自性を
維持するために、ヨーグルトなどと違って
複製されないように完全に殺菌されている。
しかし、子ども頃のカルピスの方が遙かに美味しかった。
脱脂粉乳と砂糖が原料だが、
雪花菜(おから)から作られるオリゴ糖が入っていなかったからか。
変わったのはパッケージだけではない。
脱脂粉乳もおからも先進工業国では産業廃棄物だ。

カルピスの変遷 

水たまりを複合発酵させる

細かすぎるコーヒー豆でドリップするとフィルターが目詰まりするように、
土質粒子が細かく窪んだ場所が
降雨で土質粒子が一時的に飽和状態に達するとすぐに水たまりとなる。
この水たまりを酵素で複合発酵させると浸透性が短時間に高まる。
互いに異なる微生物群が隙間を形成するからだ。
道や畑などの水たまりは土木工事で水平に改善する必要性はない。

M.C.Escher

言葉を発明する能力

もっとも重要な経験は、言葉を発明する能力に目覚めることに違いない。
他人とは異なる経験をそれまでの経験から翻訳する限界から
言葉を発明する能力が生まれる。
それは自己とは異なる他者の特性と固有性の翻訳を通して真実への誘導であり
単独ではなし得ない他者性の始まりである。

機能はそれ自体では存在できない

機能はそれ自体では存在できない。
機能は他の機能とのみ相補的に共存する。
柔軟な強度をシナジー的に形成するテンセグリティ構造においては、
張力と圧縮力は非同時的にまたは同時的に共変動する。
それは現象からでしか認識できない。
最初に構造モデルありきである。

SYNERGETICS RBF 1975

豪雨による破壊的段波

豪雨による段波はその進行につれ分散し分散波列を形成し
波状段波となりより破壊的となる。
小さな河川で頻発する段波の原因のほとんどは戦後の人工林の杉林にある。
土木工学では破壊的段波の防御方法は高コストである。
人工林の杉林を雑木林に変換する科学はもっとも経済的である。