月別アーカイブ: 2008年7月

原子力掃除機

これからふたたび携帯もネットもない辺境に移動する。
往復1600キロの旅だ。
しばらくの間、犬のしっぽは更新できないが
原爆の日のヒロシマから更新できるだろう。
父と原爆のネガを引き延ばして
過去をつくり直すのだ。
キノコ雲に吹き飛ばされた人はいない。
みんな放射性物質と一緒に吸われたのだ。
キノコ雲は巨大な竜巻型掃除機だった。
黒い雨は原子力掃除機から1時間後に排気された元安川の水だ。

引力という張力

原子核に固体は存在しない。
核子間の核力が電磁気的反発力を超えた引力として作用し
原子核を安定化させている。
この引力による構造安定性が固体という概念を破壊する。
最も安定な原子核は、鉄の原子核である。
土壌中にもっとも豊富に含まれる金属原子である。
それゆえに、鉄と権力は融合しやすかったのである。
城壁はそれにつづく固体的建築様式である。
しかし、
あらゆる張力的な可能性は、物質の表面に賦与(デフォルト)されている。
圧縮力はつねにより高い張力の振動数である。
真の宇宙の構成要素は引力を受けるのである。
にもかかわらず、21世紀の個人は社会構造のなかで
つねにプレッシャーを受ける圧縮材としてのみ機能している。
彼らには挫屈という構造の不安定性が待っている。

ミツバチ

巣分かれした日本ミツバチの塊が
裏庭にやってきて、あっという間にあかげらが開けた板塀の穴を利用して
巣作りを始めたのは1ヶ月前だ。
仕事場の窓から見るかぎり、晴れた湿気のあまりない快適な日にしか
彼らは、巣からは飛び立たない。
彼らは、けっして働き蜂のように働いていない。
動物は気候に合わせて行動のパターンを変えているが、
天気のいい日は、より効果的に行動している。
天気のいい日は、実に少ないからだ。
天気に関して、彼らはギャンブルをしない。

最初の詩

フィジカルにしか発明できない。
そして、
メタフィジカルにしか発見できない事態は、
シナジェティクスの諸原理を
物質に変換できる有利な条件である。
あるいは、
最初の詩が書ける環境にちがいない。

経験

合金はもっともシナジー的な存在だ。
そして、経験もある種の合金だ。
しかし、経験自体に合金の希少性を求めてはいけない。
合金を構成する要素はつねにありふれているから、
われわれにはすべてが与えられている。

概念

宇宙について考える場合、
宇宙から何かを取りだして思考する。
それが概念である。
この定義可能な概念は、
最初の宇宙の機能に関する部分集合となる。
宇宙から機能を取り出せるようにデザインされているが
宇宙そのものを取り出すことはできないのである。
ゆえに、エコロジーに全宇宙は含まれない。
このメタフィジクスでさえ部分集合である。
たとえば、二酸化炭素から取り出せる概念から
バイオスフィアの機能は僅かしか説明できない。

波乗り

理解できる明確なことからは、
波が自分の側を通過するときのような
触知できる相互作用をうける。
だから、その瞬間に波と同期して移動できるのだ。
そして優れたサーファーは
次のもっと大きな波を予測できる。

比率

氷河が溶けるのは、大気中の間違った化学的燃焼の結果であるが、
山が崩落するのは、間違った生物学的植生の結果である。
杉の過剰な植林で、多くのダムは危険な土石の貯蔵庫になっている。
針葉樹の人工林の分布を変えるだけで、
僅か半世紀で、魚も海草もなくなったように、
バイオスフィアには固有の比率が存在する。
比率を人為的に変更すれば、氷河も山脈も溶け始める。
バイオスフィアには固体は存在しない。

クラスター

話す、書く、読む、見る、そして聞く・・・・・
これらのすべての行為における僅かな差異を
分離してクラスターが形成される。
これらのクラスターは経験と呼ばれている。
このクラスターはつねに粘菌のように変形している。
これからある考えを纏めるための最大3千キロの旅に出る。
それだけでこのクラスターはより分離されるだろう。