原子力掃除機

これからふたたび携帯もネットもない辺境に移動する。
往復1600キロの旅だ。
しばらくの間、犬のしっぽは更新できないが
原爆の日のヒロシマから更新できるだろう。
父と原爆のネガを引き延ばして
過去をつくり直すのだ。
キノコ雲に吹き飛ばされた人はいない。
みんな放射性物質と一緒に吸われたのだ。
キノコ雲は巨大な竜巻型掃除機だった。
黒い雨は原子力掃除機から1時間後に排気された元安川の水だ。