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展開型テンセグリティ構造1995

静止状態の固体現象は発見されなかった。
出来事は物から記述できない。
機能は物からデザインできない。
私が発見したシナジェティクスモデルはすべて動く。
テンセグリティ構造でさえ展開型にデザインできる。
1995年直径11mのモバイルテンセグリティシェルターが制作された。

1995年バックミンスターフラー100年祭(ニューヨーク)で展示された
展開型テンセグリティ構造モデル(直径200㎝) 
構造デザイン 梶川泰司 
制作 シナジェティクス研究所


『宇宙エコロジー』バックミンスターフラー+梶川泰司 著 美術出版社 2004 p352

シェルターの球形化率

最も効率的に飛行する鳥ほど、卵の非対称性または楕円率(楕球率)が高くなる。
そして、卵の形態は産卵数や環境要因、巣の形態とは無関係である。
卵は鳥の飛行経験から航空工学的にデザインされる。
卵黄が卵管に排卵され、卵管内で卵黄の周囲に卵白が形成され
最後に卵殻が形成される。
産卵以外のすべてが飛行中に形成されている。

人間の効果的なモバイルへの要求によって、
激しい風雪に対して
シェルターの球形化率と半球の非対称性を採用し、
その直径に対する2層皮膜の厚み率を
卵の直径と殻の比:1/100よりもさらに低くデザインした。

モバイルシェルターは、定住するためではなく
移動経験から球形にデザインされ、
すべての構成部品は移動中に調達される。

卵と飛行

飛行機能と安全な産卵と巣をデザインした結果、
鳥とその卵の大きさの比は種類毎に異なる。
ウズラの卵は小さいが、鳥と卵の大きさの比が鳥類の中で最大になる。
人間の大きさと住宅との大きさの比は、経済的格差で容易に変動する。
生存用のテンセグリティシェルターの直径は
最小限の重量と構造の相互作用から科学的に設定できる。

動物行動学的に、飛行と産卵の関係はモバイル性と住居との関係である。

形態は構造ではない

船は大波で揺らぐ。
航空機は乱気流で揺らぐ。
嵐で軋む住宅は振動には不向きだ。
エアロダイナミクスとは無縁な形態は
建築の世界では自己表現の手段になる。
形態は構造ではない。

大きな栗の木のある畑の傍で、
春嵐の中でその太い枝よりもスローに揺らいでいられるのは
嵐に共鳴するテンセグリティシェルターだけだ。
畑に係留するだけで収穫までしばらく停泊できる。

非経済的

非効果的な仕事を意図的に考案し
その仕事によってより多くの人が生活費を稼ぐことが出来るように
遂行される場合、全体は非経済的になるが
その仕事の背後にある間違った仮定を
人々はほとんど是正できないと思わされていることが
もっとも非経済性を維持している。

総三角形化

ジオデシックドームは、総三角形化されているから
安定すると考えられている。
しかし、半球状のジオデシックドームの接地面が
少なくとも5角形以上の多角形であるかぎり
総三角形化されていない。
ジオデシックドームは水平な基礎がないかぎり
その構造はけっして安定しない。

選ばれなかった自由

誰にも車やPCを選ぶ自由がある。
しかし、21世紀になっても
住居に関しては経済的な理由から
選ばれなかった自由の方が圧倒的に優勢だ。

さらに、住居を選ぶ自由はインフラで制限されてきたが、
テンセグリティシェルターは
もっとも経済的に、健康的に、
そして望むならば、
移動しながら住む自由の中に選ばれるだろう。

より少ない既製品で空間を構成する

惑星地球の気候の変動と共に環境を安全に制御するためには、
簡単に移動できる自律的な空間構造物が必要である。

折りたたみ傘が、環境を制御するモバイル皮膜構造物であるように、
全天候性の超軽量モバイルテンセグリティシェルターは、
絶えず変化する気候に長期間対応するための
断熱性、遮熱性、耐候性、耐久性を維持する各部品は、
すべて世界中の既製品で代替され、ユーザによって交換可能になる。

すべての機能は、より少ない構成部品から構成されるべきだが、
より少ない既製品で構成することは、もっとも困難なデザインである。

モバイル・テンセグリティシェルターのすべての構成部品は、
世界中の既製品から構成される。
それは92の元素の相互結合の組み合わせよりも困難に違いない。

マルセル・デュッシャンが便器にサインしたように、テンセグリティシェルターは複製される。

分子間の結合のように

剛性と強度を偽装した構造を暴き出すには、
面のない構造フレームだけでは不十分だ。
フレームの各頂点で、剛性の高い結合材によって
相互にフレームを結合している限り。

自然の構造には、
離れた距離で初めて働く電磁気学的な力が存在する。
分子間の結合には、
構造物のような結合材が介在しないように分子間力が働く。

テンセグリティ構造には、剛性や強度のある結合材はいっさい存在しない。
張力材は、圧縮材に圧縮力を生じさせるための張力ネットワークである。
テンセグリティ構造はもっとも軽量で経済的である。
そして安全である。