日別アーカイブ: 2007年1月2日

流体誘導

地球はとても薄い皮膚を持っている。
そしてその皮膚はさまざまな流体を持っている。
その流体の一つが人間である。
一人の人間の血管の総長は、9万キロメートル、
地球を2周半である。
その63億人分の血管ネットワークが地球の薄い皮膚のなかで互いにうごめいている。「人類は血のつまったただの袋(カフカ)」ではないのだ。

脊椎動物はすべて毛細血管をもっている。
心臓から押し出された血流は大動脈から毛細血管を介して大静脈を循環し、肺を経由してふたたび心臓に至る。この毛細血管は閉鎖血管系にのみ存在する。白血球、血漿などが血管細胞の隙間を利用して、ガス交換・栄養分・老廃物の運搬・移動ができるのは、いわば電磁誘導のような流体誘導である。
血液は血管内に閉じこめられている、つまり閉鎖されているから誘導が発生するのだ。(毛細血管がない開放血管系の軟体動物では、動脈から流れ出た血液は、直接細胞間を経由し静脈へ戻る)。

あなたの閉鎖血管系のうごめきが他の閉鎖血管系に影響しないとは言えない。
増殖する人類の球状血管ネットワークによる無意識のサイレントコミュニケーションは、地球の水と大気という流体ネットワークの薄い皮膚の一部を構成している。  Y.K