長老

誰も価値判断してくれる者がいなくても
自分のアイデアは自分の言葉で判断しなくてはならない。
そのためにはまず誰も価値判断できないほどの発明が必要だ。
そのときはじめて他人のアイデアの価値判断ができるだろう。
ところが発明の報酬である特許権の独占のために
人々は自分と他人とのアイデアの境界を設けてしまう。
発明とその価値判断には
自分と他人とのアイデアの境界を設けない訓練以上に
アイデアに対する尊敬が必要だ。
尊敬は学習からだけでは生まれない。
高度に単純なアイデアほど宇宙の原理に関与しているからだ。
学習不可能なものがあることを知るためのカリキュラムは
いまの学校には存在しない。
すべての先進工業国から長老はいなくなった。
これがグランチの教育カリキュラムだからである。
地下資源を採掘するテクノロジーよりも採掘権の所有のように、
グランチは発明する才能ではなく
特許権の所有方法にしか興味をもたない。